「トワイライト・テールズ 夏と少女と怪獣と」

 2016-05-28
以前に紹介した山本弘の『MM9』シリーズ(東京創元社 創元SF文庫)は、全3冊でそのストーリーがひと段落となりました。
が、それとは出版社、レーベルを変えて出版された同一世界を舞台にする短編集が、今回、「本館」更新に先がけて紹介する読了本に選んだ、『トワイライト・テールズ 夏と少女と怪獣と』(KADOKAWA 角川文庫)です。
シリーズの主役であった気象庁特異生物対策部、通称「気特対」の面々が出てくるエピソードもありますから、これはむしろ『MM9』のスピンオフ作品だと言ってもいいのかもしれません。
……出版元は、違いますけれどね。

この『トワイライト・テールズ』には全部で4編が収録されています。
それぞれ舞台となっている場所は日本、アメリカ、タイ、コンゴ共和国と、大きく異なっており、その時代もまちまちとなっています。
が、基本的なシチュエーションは「怪獣と人間」との関係性を描くというところに徹しているという印象があります。
といっても、いわゆる平均的な普通の日常生活を送っている人の生活環境に怪獣が出現して云々、というのではなくて、主流からは外れているような社会的弱者や虐げられた者のところに、人には抗えないような圧倒的な暴力を携えて怪獣が現れる。
そこから生まれてくる物語は時にやるせなさや切なさを漂わせ、読み手の心にグッとくるのですが、その辺りの詳細はネタバレ回避の為にここには書かずにおきましょう。
本編(と言っていいのかは分かりませんが)である『MM9』シリーズとはちょっと読み味の違うエピソードを読めて、面白かったです。

『MM9 -destruction-』に掲載されているこの世界の年表には、まだ小説として描かれていない事件もありますし、この連作短編の形であれば、まだ色々と続けようと思えば続けられる作品でもある、わけですが……
その辺り、山本弘本人としてはどう考えているのでしょう。
まぁ、作者の意向がどうあれ、出版社サイドがそれに同意しなければ、新作の出版は無いわけですが。

 トワイライト・テールズ
 夏と少女と怪獣と
 (角川文庫)

 (2015/11/25)
 山本 弘
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