「緑陽のクエスタ・リリカ 魂の彫塑」

 2016-04-02
いわゆる積読状態が半年近くになっていますし、そろそろ読んでおこうかなとページをめくったのが、相沢沙呼の「緑陽のクエスタ・リリカ 魂の彫塑」。
今回は、これを、「本館」更新前の読了本紹介作品に選んでみました。

ちなみに、Twitter で「ラノベを書きたい」と呟いたことがきっかけで担当編集からの連絡がきて執筆することになった、というのが本作が刊行されるにいたった経緯とのこと。
どこで誰が見ているのか分からないのだから、何でも言ってみるものだということになるでしょうか。
もともと作者は鮎川哲也賞で推理小説家デビューする前には様々な会社のラノベの賞に応募し続けていたそうなので、これはある意味、本願成就とも言える作品なのかもしれません。

作者自身がこれまで好んで読んできた作品の影響に加え、あとがきによれば、本作にはネット経由で遊んでいたファンタージーTRPGの影響も無視できないのだとのこと。
つまり、直球で王道なキャラクター重視のライトファンタジー。
かつてラノベにおいて1つのスタンダードジャンルであったものの、最近ではあまり見かけなくなったそれを、「復権させよう」とまでは考えていないのでしょうけれど、「ならば自分で書く」とは思ったということであり、その結果出来上がったのが、本作というわけ。

ところどころに挿入されるお色気シーン、差別問題という重めなテーマと恐ろしい敵、というところはありつつも、キャラ設定や配置も含め、基本的に本作は地味な作品です。

世界の謎といったようなものは、今後もシリーズが続いたとして、おそらくずっと絡んでこないでしょうし、大掛かりな戦争が起きるとか、華麗なイベントの発生といったようなものは、ここでは見られません。
全体的な話の作りはまさしくTRPGという感じで、筋肉質なおっさんだったり、神経質で皮肉屋の男性冒険者だったりというような、かつてのラノベファンタジーには良く登場していたパーティーの仲間ではなくて、主人公を取り巻くのが美少女中心という辺りは、今風にアレンジされているところでしょう。
そこはまぁ、今の読者にもこういうジャンル、こういう作品を受け入れてもらう必要がある以上は、当然のことです。

実際、結構面白く読ませてもらいましたし、読者へのウケもそこそこ良かったよう。
それは、ラノベというジャンルのことを考えても、ちょっと良いことだと思います。
十代の頃にこういうライトファンタジーをよく読んだなと、昔をついつい思い出してしまったりして、懐かしさ交じりに大いに楽しませてもらいました。

 緑陽のクエスタ・リリカ
 魂の彫塑

 (2015/10/23)
 相沢 沙呼
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