「ボーパルバニー」

 2016-03-26

今回、「本館」更新前の読了紹介本に選んだ江波光則の『ボーパルバニー』は、ロクでもない作品です。

作品がダメダメでどうしようもないと、いう意味ではありません。

では何がロクでもないのかというと、登場人物の全員が「人として壊れている」という点で、ロクでもない。
そしてまた、本国に送る前に一時的に保管されていた中華マフィアの闇金があり、それを強奪しようとしている別の中華マフィアが存在することに乗じて横から掠め取った6人の若者と、その報復に現れた殺し屋との戦いを綴るという物語の流れが、ロクでもないのです。

その殺し屋はもともとそういう存在なのでまだいいとしても、彼女の襲撃を受ける側の6人の誰一人として、社会的な意味で「まとも」ではなく、いわゆる倫理観というものが欠落しているというところが、本作のミソであり味。
ですが、それが故に受け付けないという人も、また多かろうなと思います。
つまり、これは非常に尖った作品であり、まがりなりにも今の時代にラノベのレーベルを名乗っているところがこういうのを出すというのは、ある意味かなりリスキーかもしれないのですが、そこをやってくるからこその「ガガガ文庫」ですよね。

なお、上記の「人として壊れている」とか「倫理観という者が欠落」というのは、あくまで人間というものを同じ種族が群れて社会生活を営んでいる存在として考えた場合にそうなる、ということであって、自分の中にある善悪の基準や行動原則、己の欲求に忠実であるという点で言えば、この6人はむしろ誰よりも純粋であると言えるかもしれません。
それに対して、殺し屋の方がむしろ、様々なしがらみにがんじがらめになっている、というのも、本作の面白い部分です。
ある意味で好き勝手に行動した6人に対し、一応の理由付はあるのですが、殺し屋が下の表紙画像にあるようにバニーガールの格好をしている、つまり、かなり記号化された存在になっている、というところ。
そして、救いの無い終わり方とエピローグ。
いやぁ、これは(褒め言葉としてこの表現を使わせていただきますが)タチが悪い。

他人にはほぼ薦めない類の本ですが、面白かったです。

 ボーパルバニー
 (2015/9/18)
 江波 光則
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