「青藍病治療マニュアル」

 2016-03-12
今回、「本館」に先がけて紹介する読了本に選んだ似鳥鶏の『青藍病治療マニュアル』は、ふとしたきっかけで超能力を使えるようになってしまった人達を描く連作短編。

この作品では登場人物達が能力に目覚めるきっかけとなった現象を一種の病気と捉えて「青藍病」と呼んでいます。
実際にそれが病気かどうかということになると、精神的なものが発症の引き金になることが示唆されていますが、作品上の設定としてある程度は「そういうものなのだ」として流すとしても、作中で明確に「これは病気である」と確定しているわけではありません。
原因の把握もできぬまま、あくまで対症療法的に医師が対応している状況です。

作中、この「青藍病」に関する研究はまだそういう段階ですので、超能力が発揮できるようになったからといって、それを抜本的に抑制したり封印したりといったことができるわけではありません。
それは確かに超能力を持っていることが公になったら面倒が多いし、場合によっては政府等の監視下に入ったりしなければいけなくなるかもしれないけれど、超能力が使えるというのは基本的に便利なもののはずだから、誰にもバレないようにこっそりと使っている分には、別に封じることも無いだろう、と思われるかもしれません。

しかしそれは使い勝手が良くて有益な能力が目覚めた場合の話。

「青藍病」によって得られるのは、例えば「動物全般から威嚇、攻撃される能力」といったような、まるでプラスに思えないものもあったりして、面倒ばかりが増えるようなこともあるとなれば、メリットよりもデメリットの方が多いように見えます。
そんな能力を抱え、それに振り回される人の姿を描くのが本作で、読み始める前には青柳碧人の『希土類少女』のようなものを期待していたものですから、ちょっと肩透かしをくらったというか、微妙な作品だな、という印象。

小奇麗にまとめてしまっているのがつまらないというか、多少の破綻は無視して思いっきり一歩を踏みこむくらいのものがあれば、もっと良かったのかな?

 青藍病治療マニュアル
 (2015/2/26)
 似鳥 鶏
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