「桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活」

 2016-02-27
以前に紹介した『モーダルな事象』と主人公を一にする作品が、今回、「本館」に先がけての読了本紹介に採り上げた『桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活』。
実際に読んでみると、時系列的にも一応『モーダル~』の続編になっていました。
ただし、内容的には一部、繋がりの無い部分、整合性のとれない部分がありますので、純然たる続編かというと微妙かもしれません。

一歩引いたところから登場人物を生暖かく,、優しく、かつ諧謔的なところもあるユーモアで語るテイストは、両作品に共通しているものではあります。
ですが、中井英夫の『虚無への供物』へのオマージュかな、と感じられた本格推理寄りの『モーダル~』に対し、本作は完全にクワコー准教授の駄目中年っぷりを楽しむユーモアミステリーになっています。
いっそ別の作品だと言ってもいいくらいでしょう。

どちらのスタイルもそれぞれの魅力があって、読んでいて楽しいのですが……
強いていえば、シンプルにユーモア小説に徹している分だけ、本作の方が一般に読みやすいと言えそうです。

なお、ミステリー要素はかなり薄め。
加えて、「日常の謎」系のものなので、本格推理のような、謎解の醍醐味を期待してはいけません。
あくまでこれは、主人公であるクワコーのふがいなさや情けなさといったものと、そんな彼を取り巻く たらちね国際大学文芸部 の変人女子などの面々の個性を楽しむ小説です。

いやぁ、面白かった。
クワコーシリーズはもう1冊出ているので、それも早めに読むとしましょう。

 桑潟幸一准教授の
 スタイリッシュな生活
 (文春文庫)

 (2013/11/8)
 奥泉 光
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