「十三番目の王子」

 2015-12-21
裏表紙の粗筋を読んで、これはどんなものになっているのかなという興味を覚えて買ってみた、岡田剛の『十三番目の王子』が、今回の、「本館」更新に先がけた読了本紹介。
日本では主流では無い、重厚な本格ファンタジー小説を久し振りに読んでみたくなったのです。
こういうものを出すレーベルは、例えば創元文庫かハヤカワ文庫か、あるいは中央公論新社のC・NOVELSファンタジアの一部作品くらいで、刊行点数もどうしても少な目ですから、ある意味、貴重な存在とも言えるのですが……うーん、これは、ちょっとイマイチかな。

最大の問題は、全体のバランスが良くないということ。
明らかに、出だしから始まるキャラクターと状況の設定に時間をかけ過ぎています。
もちろんそれは大事なことではあるのですが、そこにページを思いきり割いている割に、社会構造その他のところで描写がいかにも足りていないのは、大問題。

全体的に重苦しくて、終始息が詰まるような空気感の物語なのは、もともとそういうものを読みたくて本書を手にしたので希望通り。
救いのあまり感じられない終わり方そのものは別に嫌いでは無いのでそれはそれ、という感じなのですが……
いかんせん、この色々と説明不足なところは致命的かもしれません。

また、冒頭部分に大きくページを使った影響もあるのかどうか、最後の展開、ラスボスとのバトルが駆け足になって描写不足(あるいは書き手側の筆力不足)であり、そこでどういった戦いが繰り広げられているのかが把握できないようになってしまっていたのも、かなりのマイナス点。
そのシーンは本来、この作品にとって一番の見せ場であるはずなのに、それがきちんと読み手の頭に入ってこないというのはいただけません。

総評として、面白くなくは無い、むしろもっと面白いモノにできそうな要素があるのに、料理に失敗したな、というような作品だったと思います。

 十三番目の王子
 (創元推理文庫)

 (2014/5/30)
 岡田 剛
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