「ハケンアニメ」

 2015-11-27
今回「本館」更新に先がけて紹介するのは、辻村深月の『ハケンアニメ!』。

正直、最初にこのタイトルを書店で見かけた時には、いわゆる「クールジャパン」的な辺りに便乗して書かれた一山幾ら的なものなんだろうなと思って、さほど興味も惹かれませんでした。
けれど、私が良く利用している書店の手書きPOPその他、そこそこの高評価を得ているのをあちこちで目にしたので、これは一応呼んでおこうかなと思って本屋大賞にノミネートされた辺りで購入。
とはいえ、その時点では他に先に読んでしまいたい本等もあったものですから、そのまましばらく積読状態にしていました。

で、まぁ、刊行から1年以上過ぎて読んでみたわけですけれど……
これはアレですね、当初私が思っていたような「頑張ってアニメ作ってます」的な軽くてポジティブで萌えを盛り込んだ小説というよりも、業界の中で自分の仕事にプライドを持って働いている3人の女性を描く「お仕事小説」ですね。
そういう意味では、アニメ業界を舞台にしている必然性はそこまで無くて、実のところ、全く別の業界を題材にしたとしても、特にこれと言って大きな変化は生じないのではないかという気がします。

全体的に、アニメ業界ならではの部分が薄いですし、作中に出てくる架空のアニメ作品についても提示される情報が少ないので、余計に、これって別にアニメ業界でなくてもこのまま成り立つ話だよね、というように感じてしまうのです。
特に、後者の部分は結構大きなポイントで、彼女等とその周囲の様々な人達が全てを賭けて取り組んでいる作品がどういうものなのかという辺りの描写が足りないことが、その仕事に対するリアリティーを損なわせているというところは、「お仕事小説」としてはマズいのではないでしょうか。
一生懸命働いている私と恋愛、的なところは、さすが『anan』に連載されていたというだけあってしっかり押さえられており、働く女性の恋愛モノとして読む分にはとりたてて言わなければいけないような問題はないのですけれど、なまじ「お仕事小説」な体裁が整っているだけに、ちょっと中途半端になってしまったかな、という印象。

面白いか面白くないかで言えば、面白く読ませてはもらったのですけれど。

 ハケンアニメ!
 (2014/8/22)
 辻村 深月
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