「クローバー・リーフをもう一杯」

 2015-09-05
今回、「本館」更新前の読了本紹介に選んだ円居挽の『クローバー・リーフをもう一杯』は、京都を舞台にした日常の謎系の青春ライトミステリー。
ページ数こそ300弱とそこそこあるものの、実際に手にとって本を開いてみると、ページ当たりの活字数が少なめの構成なのでサクっと最後まで読み切ることができました。

京都が舞台のこの手の青春小説系の作品には、森見登美彦の一連の「くされ学生モノ」だったり、森田季節の「エトランゼのすべて」といった先達があります。
つまり、それ等の面白さがかなり印象的であったが故に、どうしても本作もそれを比べずにはおれません。
一方で、逆に言えばそれらがあったことに恩恵として、「京都が舞台」「京大生の青春モノ」というだけで評価が底上げされるという側面もあったりするわけで、このへんは損得両面あると言えるでしょうか。

ちなみに本作は上記のような京都学生モノの要素に、最近やたらに増えてきている印象のカフェを舞台にしたアームチェア・ディテクティブ小説を絡ませてきたという、美味しいところ取りを狙っているような、そういう意味ではちょっとイヤらしい作品でもあります。
それもこれも全て踏まえて本作の評価をしてみるならば、一定の雰囲気づくりはできていましたし、とりあえず面白く書けていたというところでしょうか。
ただ、これに加えてもうちょっと毒っ気があるとか、バカバカしき青春絵巻があるとか、情けなさがあるとか、そういう読み手に対してフックになるようなものがあれば、もっと良かったのではないかと感じました。
そういったものが欠けているからなのか、今一つ心に残らない作品になっている感があります。
薄味を求めるならばこれでもいいのでしょうけれども……
私個人の好みから言わせてもらうならば、もうちょっと個性というか、クセが出てもいいかな、と。

 クローバー・リーフをもう一杯
 今宵、謎解きバー「三号館」へ
  (角川書店単行本)

 (2014/09/30)
 円居 挽
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