「聖女の結婚Ⅲ 策士恋に落ちる」

 2015-06-22

3部作の完結編、夏目翠の『聖女の結婚Ⅲ 策士恋に落ちる』が、今回、「本館」更新前の読了本紹介に選んだ1冊。

貴族のお家騒動、跡継ぎ騒動というものを題材にした本作は、読み始めた当初から予想された、まさにその通りのところに物語が着地したという点では意外性の無い、ある意味で平凡な作品だったと言ってしまえるのかもしれません。
しかし、それはつまらないということと同義ではなくて、主人公のキャラクターにいい味が出ているので、それで十分以上に読ませてくれる、面白い小説になっていました。

ただ、作者の他作品を読んだ際に感じた、サブキャラ、特に敵役もしくはライバルになるべき位置にいるキャラに関する描写不足、深み不足というマイナス点は、本作でも同じだったかもしれません。
どうせベタに行くのであれば、王弟にもう少しスポットを当てて、恋の鞘当てとか、そういうものを入れてみるのも1つの手だったのではないかというように思うのですが……
とはいえ、私でもすぐに思い浮かぶようなことは、さすがに作者も編集も検討はしているのでしょうから、それだと上手いこと構成がハマらなかったとか、今のボリュームでのノベルス3部作という形に適度な感じでは収まらないという判断が働いたとか、そういうことでも、あったのかもしれません。

そういう不満点があったりもしましたけれど、ここまで読んだ夏目翠作品の中では、デビュー作の『翡翠の封印』と並んで、これがお薦めできる、かな。
なお、本作を読んでいる間、何となくジャクリーン・ケアリーの『クシエル』シリーズを連想していたのですけれども、残念ながら、その完成度については『クシエル』の方が圧倒的に上だったというのが実際のところ。
夏目翠は、あるいはあのシリーズを当面の目標としてみるのも、いいかもしれません。
あのテイストは、夏目翠の作風と相性がいいように思うので。
どちらかというと本格派よりのライトファンタジーも書かせてもらえるC・NOVELSファンタジアというレーベルを発表の場としているのも、そちらの方向を模索してみるのには合っているでしょうし。

 聖女の結婚Ⅲ 策士恋に落ちる
 (C・NOVELSファンタジア)

 (2014/01/24)
 夏目 翠
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