「西川麻子は地理が好き。」

 2015-06-01
今週は、昨年紹介した 『国語、数学、理科、誘拐』 のスピンオフ作品である、青柳碧人の 『西川麻子は地理が好き。』 を、「本館」に先がける読了本紹介として選んでみました。

何がどうスピンオフなのか、ということですけれども、要は『国語~』に登場した塾講師バイトの中の1人、社会科担当で地理好きの西川麻子が本編の主人公なのです。
大学を卒業後、小さな出版社で学習用テキストの編集者として地理の知識を生かした仕事している彼女が、恋人である刑事から受ける捜査に関する相談を、地理に関するトリビアを使って解決して行くというのが基本ラインとなっている連作短編で、全6編が収録されています。

なお、このうちの5作目である「大将の地図記号」だけは、他の短編とは違って、恋人以外からの依頼。
で、その依頼をしてきた人物というのが、『国語~』の登場人物である、麻子とは小学校からの腐れ縁である本庄拓郎だという辺りは、『国語~』を読んでいる読者へのサービスと言っていいでしょう。

本作は基本的に最初から犯人が分かっている、もしくはこれが犯人だろうと推測される人物が明確である状況がスタート地点となっているスタイルを採用。
読みどころとなるのは、その犯人のアリバイ等を主人公の地理に関する知識がどのように崩していくのか、というところ。作者の連作短編で推理的な作品と言うことで連想されたのが、早川書房から出した『ヘンたて』(早川文庫JA)シリーズなのですけれど……
あちらが、いくらなんでも現実的では無いのではないかとしか思えない建物を出して推理を広げているせいで地に足がついていない感じが拭えなかったのに対し、本作は実際の地理トリビアがネタになっている分、そういう点では安定しているという印象です。
個人的には、圧倒的に本作の方が面白かった、かな。

なお、スピンオフだからといって、本作を読むにあたって大元の『国語~』を読んでいなければ駄目、というようなことは全くありません。
なので、とりあえずこちらから読んでみるというのも、アリだと思います。

 西川麻子は地理が好き。
 (2014/11/07)
 青柳 碧人
 商品詳細を見る

タグ :
コメント












管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
トラックバックURL:

http://pantarheibekkan.blog110.fc2.com/tb.php/1436-09ebb502

≪ トップページへこのページの先頭へ  ≫