「藍のエチュード」

 2015-05-25
以前に読んだ「ミリオンセラーガール」が良かったので、ひとつ里見蘭の別の作品も読んでみようかと思って手にした「藍のエチュード」が、今回の、「本館」更新に先がけた読了本の紹介作品。

本作が描くのは、上野にある東京藝術大学で、剣道部に所属する男女の青春模様です。
絵画で、あるいは楽器で食べていくことができるようになるのか、プロになることができるのかという葛藤と恋愛に、部活動としての剣道が絡んでくるという群像劇で、かなり面白く読ませてもらいました。

昨今はこういう題材を扱うエンタメ小説では、現実にはこんなのはいないよというような極端に強調され劇画化された性格のキャラクターが登場して、ストーリーを強引に走らせるようなものになりがち。
ですが本作の場合はあくまでも、これなら実際にもいそうかなと感じられる人物達の物語になっているところがミソでしょうか。
とはいえ、全くもって平凡なキャラでは、それはそれで物語が動かないですから、本作の登場人物も実際にはそれぞれに事情を抱え、クセがある設定になってます。
それなのに、自然な造形に感じられるというのは、舞台となっているのが藝大だからということで、芸術家・音楽家志望の人々はそういうものだよなと納得させられるというのももちろんですが、あくまで無理のない描写がされているから、というのも大きな理由としてあるでしょう。

青春のやるせなさや切なさ、どうしようもなさも感じられて、1つの青春小説として、なかなかの作品だと思います。

 藍のエチュード
 (2014/06/24)
 里見 蘭
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