「脱・限界集落株式会社」

 2015-05-11
今回、「本館」更新に先行する読了本紹介に選んだ黒野伸一の「脱・限界集落株式会社」は、新年早々の今年1月2日に紹介した作品の続編。
過疎化の進む村落の再生を描いた前作に対し、今回は、大規模ショッピングモールの進出に揺れる、地方駅のシャッター通り商店街が題材となっています。

もちろん、ショッピングモールの出店が即ち「悪」ではなく、確かに便利なことも数多くあります。
けれど、一方でそれは地元経済を破壊するかもしれない諸刃の剣という性格も持つものでもあることを、忘れてはいけません。
つまり、グローバル資本主義の倫理で経営されるモールは、一度採算が合わないということになれば撤退するのも案外と素早かったりするということです。
そしてその後には、以前にも増してすっかり寂れ果てた商店街の抜け殻だけが残る、という事態になってしまう。
その辺りが、モールの進出に際してしばしば問題とされることであり、実例を探すのには困りません。
本作が採り上げるのも、つまりそういうテーマです。

なお、本作には前作の主役も登場しますけれども、あくまで今回の主役は別の人物。

生活費を捻出する為のアルバイト生活に疲れ家賃の安さに惹かれ東京から田舎にきた青年が、やがてが地域経済再生の為に大きな力を発揮するようになっていく。
確かに都合のいい展開です。
実際の世の中はそんな風に上手くは回らないかもしれません。
特にラストの展開は、ご都合主義と言われても仕方が無いと思います。
しかし、前作の時にも書いたように、これはフィクションであり、娯楽小説なのだから、むしろ多少強引だとしてもハッピーエンドであるべきだ、いうのが、前作を読んだ時と共通する私の感想。

テナントの去ったショッピングモールが廃墟となり、一方の商店街も全ての店舗のシャッターが下りて軒並み潰れてしまっている、なんて救いの無いバッドエンドは、誰も好んで見たくはありませんからね。

脱・限界集落株式会社
(2014/11/26)
黒野 伸一
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