「雨の降る日は学校に行かない」

 2015-04-20
今回、「本館」に先行した読了本紹介に選んだ相沢沙呼の「雨の降る日は学校に行かない」は、雑誌「小説すばる」に掲載された6つの作品を収録した連作短編集。

これ等は全て女子中学生が主人公で、スクール・カーストやいじめ問題を扱った、ちょっと、いや、かなり重くてシビアな、そんな話になっているのが大きな特徴となっています。
その為、読んで爽快、というような作品では無いのは確かなところでしょう。
ただし、絶望の中に取り残されて終わる、というような話の構成ではありません。
一応、どの短編においても、最後にちょっとした光が差し込む予感は感じさせる終わり方にはなっています。

もちろん、小説というものは絶対的にハッピーエンドで心地良くなければならない、なんて決まりは一切ありません。
名作と呼ばれる中にも、後味の悪い作品は実際に山ほどあります。
そういうこともあるので、読後感が微妙だからということを以って、本作の評価が下がるということはありません。

ただ、甘ったれた意見かもしれませんけれど、こういう年代の子供のこういうネタを使うのであれば、もう少し明確に救いが欲しかったかも。
どう考えても現実にはあり得ないようなご都合主義で楽観的で調子のいい救済が欲しい、というようなことを望んでいるわけではありませんけれど……

まあ、これはこれで、十分面白いですし、リアルな学生生活はこうなのでしょう。
著者のTwitter からの情報によれば学校図書館などからの発注も多いそうで、そこから本作が中高生に読まれている、ということがうかがえます。
変に大団円にしない、現実味のある展開がそういう層に支持されているのでしょうね。

雨の降る日は学校に行かない
(2014/03/05)
相沢 沙呼
商品詳細を見る
タグ :
コメント
こんにちは。
TBありがとうございます。
どの話も最後に少しだけ救いがあるのは良かったと思います。
絶望のまま終わるのは悲しいですしね。
最後の章を読んだ時、最初の章とつながっていることが分かり、想像を上回る深刻な状況に読んでいて重い心境になりました。
限界を迎えてしまった時は無理して行く必要はないし、休んで良いと思います。
【2015/04/30 17:08】 | はまかぜ #mQop/nM. | [edit]
はまかぜ さま、こちらこそ、トラックバック、ありがとうございます。

本文中にも書きましたが、安易でご都合主義な方向に逃げず、題材とまっすぐ取り組んだところが、本作のいいところだと思っています。
その分、はまかぜ さま のおっしゃる通り、読後感は重いのですが……

じわじわとセールスが伸びていったというのも良く分かる、地味ですが、実にいい作品ですよね。
【2015/05/01 00:04】 | たっぷ #7aaudPik | [edit]












管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
トラックバックURL:

http://pantarheibekkan.blog110.fc2.com/tb.php/1419-13a53a22

  • 相沢沙呼 『雨の降る日は学校に行かない』【こみち】
    JUGEMテーマ:読書感想文     『酉乃初の事件簿シリーズ』や『マツリカシリーズ』のような   ミステリアスな女性が本書でも登場せず   ちょっと意気消沈していましたが   冒頭と最後のストーリーが繋がっており   ...
【2015/04/20 07:45】
  • 「雨の降る日は学校に行かない」相沢沙呼【読書日和】
    今回ご紹介するのは「雨の降る日は学校に行かない」(著:相沢沙呼)です。 -----内容----- 昼下がりの保健室。 そこは教室に居場所のないサエとナツのささやかな楽園だった。 けれどサエが突然“自分のクラスに戻る”と言い出して―(『ねぇ,卵の殻が付いている』より)。 “...
【2015/04/30 17:09】
≪ トップページへこのページの先頭へ  ≫