「ブタカン! 〜池谷美咲の演劇部日誌〜」

 2015-04-13
青柳碧人の「ブタカン ~池谷美咲の演劇部日誌~」は、高校演劇を題材にした青春小説。
主人公が典型的な巻き込まれ型であり、かつ、その他の部員が変人揃いだというのは、この手のジャンルにおいては王道ですね。
過去に自身が書いてきた幾つもの作品で青柳碧人自身も、散々この手の変人を出してきていますから、その辺はお手の物だと言えるでしょう。

本作の場合はそこに、高校の部活動や文化祭、そもそも主人公は親友が病気で入院したことにより代理で演劇部に入部することになったという、それはどこの「もしドラ」ですか、というような3要素が加わって成り立っている作品。
とはいえ、そもそも「もしドラ」自体が、よくあるネタを使っている作品でもありましたから、本作も「もしドラ」の類似作というよりは、ジャンルのお約束を忠実にトレースしただけで、特定の作品をコピーしたわけでは無いのだと言うこともできるでしょう。

ちなみに、タイトルの「ブタカン」とは「舞台監督」の略。
前述の通り、親友のピンチヒッターという立場で演劇部に入ることになった主人公が、部内で担当することになる役職が舞台監督なのです。

正直、メンバーの数が限られた高校部活動とはいえ、今まで演劇にかかわっていなかった人間にいきなり舞台監督をやらせはしないだろうと疑問を覚えないでもないのですが……
こういう作品では、そこは言うだけヤボかも。

裏表紙の後書きによると、本作は「青春ミステリ」とジャンル付けされていますが、実際に読んでみて、本作がミステリーであるとは全く感じませんでした。
確かに、一応謎解きと言えなくもないところもありますが、どちらかというとストーリーの展開の上で普通にそうなっているという印象が強く、それをしてミステリーと言うには少々ミステリー成分が不足しているように思えます。
もちろん、本作がミステリーであるのか否かが物語としての面白さを左右するわけでは無いので、それはどうだっていいじゃないか、ということも可能です。
しかし、それならば裏表紙および腰巻の帯に「青春ミステリ」という売り文句を記載すべきでは無いでしょう。
それ等を目にして、高校部活モノの日常系ミステリーを読みたいと思って本作を手にした読者に怒られるレベルの話ですよ、これは。
青春部活小説としても、もう一捻りあると良かったとは思いますが、ラノベとしては、まず及第点でそれなりに面白く読める、かな。

ブタカン!
〜池谷美咲の演劇部日誌〜
(新潮文庫)

(2014/10/28)
青柳 碧人
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