「環八イレギュラーズ」

 2015-03-23
これがデビュー作であるという、佐伯瑠伽の『環八イレギュラーズ』が、今回、「本館」更新前の読了本紹介として選んだ1冊。

杉並区の荻窪、杉並辺りを舞台にして、自身を刑事であるという異星の情報体生命に憑依された、ややコミュニティー障害ぎみの女子高生が、仲間と共にその刑事の追う、同じく情報体生命の脱獄囚を追う、という物語です。
こう書いてみると一目瞭然のように、これ自体はさほど目新しくも無い、昔から良くあるネタだと言えるでしょう。
例えば、ウルトラマンなんかも、このジャンルですしね。
一応、情報体生命の憑依に関する制限条件の付け方とか、意思疎通の方法等に捻りが加えられていて、その辺りが独自部分なのかなとも思うのですが、全てのSF作品をチェックしているわけでもないので、類似のものが他にあったかどうか、本当のところは分かりません。

本作を読み始めて最初に感じたのは地の文のリズム感が今一つ合わないな、ということ。
小説として成立しないというようなことはなくて、ある程度こなれているのは確かなのですけれども、私のリズムと微妙にずれる、というレベルです。
また、高校生にしては随分と大人びすぎている会話の不自然さには、例えば機本伸司あたりの著作と同じような違和感を覚えたりもしました。
それと、用語の使い方についても、若干、私の好みとは違うかな、というところがあったのすが、これについては、もしも本作がラノベ媒体で発表された物であれば気にならなかったのではないかという気もするかな、というレベルの話です。

以上、とりわけ気になってしまったマイナス要素から先に書きましたけれども、全体としては、360ページの厚さをいいペースで読み進めてしまうくらいの面白さのある、デビュー作としては上々なのではないかと思われる作品になっていたのではないかと思います。
端役への無駄なキャラ付けや、その他にも細かい突っ込みどころは満載ですし、ご都合主義的な部分も多い(多すぎる、とも言えそう)のですが、次回作にもちょっと期待ができるかもしれない作家かな、と感じました。

環八イレギュラーズ環八イレギュラーズ
(2014/09/24)
佐伯 瑠伽
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