「ゲームウォーズ」

 2014-11-28
石油などの化石燃料の枯渇からエネルギー危機に陥っている世界で、人々が没頭するネットワーク型ヴァーチャルリアリティ OASIS。
その開発者にして運営会社のオーナーであるジェームズ・ハリデーが残した遺言により、その遺産の全ては、彼の提示した謎を解き OASISI 内に隠されたイースターエッグを一番先に見つけることに成功した者に譲られることになった、という導入から始まる、アーネスト・クラインの『ゲームウォーズ』上下巻(SBクリエイティブ SB文庫)。
「本館」更新に先がけた読了本紹介として、今回はこれを選んでみました。

めぐまれない環境で育った主人公も、このイースターエッグを巡る獲得戦「エッグハント」に参戦するのですが、そんな彼がどのようにそれを制して行くか、が、当然、この物語の粗筋ということになります。
なお、このゲームをクリアするには、ハリデーが愛してやまない(彼が青春時代を過ごした)1980年代の、ゲーム、アニメ、映画その他のポップカルチャーへの深い知識が要求される、というのが本作のキモとなる部分。
ハリデーの遺産は金銭的な意味だけでも莫大なものなのですが、それ以上に、OASIS の運営をその手にできるのが大きな報酬となっています。
それを目的としてルールの抜け道をついて悪辣な手を使う者もあらわれており、主人公は友人たちと競いながら、その悪辣な集団とも戦っていくという、なかなか熱くなれる展開で、一気にラストまで読み終えてしまいました。

ストーリーの基本的な構造は非常にオーソドックスで、奇をてらっていたり新鮮な驚きがあったりというようなことは無いのですが、全編に散りばめられた80年代への愛情が、本作をうまく個性づけています。
それもあって、ありきたりなものを読んだ、というような気を抱かされませんでした。

アメリカ人の作家がアメリカを舞台に書いた作品なので、その80年代のネタもアメリカのマニア層で流行っていたもの(流行っていないものも含まれているかもしれませんが)になっており、正直、私にはちょっと分からないものもあります。
ですが、そこはそれ。
雰囲気でそのまま読めるので、大した問題ではありません。

世界設定などを説明して行く序盤がややダレますけれども、そこを過ぎてからはページを捲る手を止められない面白さです。
ラストシーンも良くあるテンプレートではあるのですが、その予定調和も含めて、むしろこうでなくてはいけないと感じられるものでした。

ゲームウォーズ(上) (SB文庫)ゲームウォーズ(上)
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(2014/05/19)
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