「電脳コイル」

 2014-11-22
なんで今頃になって、と思うかもしれませんが、宮村優子の手によるノベライズ作品『電脳コイル』を、最終第13巻まで読み終えました。いやぁ、これは面白かった。

これは「ノベライズ」とは言いつつも、実際は、アニメ版の設定を借りて描かれたアナザーストーリーとでも呼ぶべきもの。
前半については、まだアニメ版を踏襲している部分が多いものの、作品の後半部分は、アニメ版とはかなり異なるオリジナル展開になっています。

この手のオリジナル展開というのは、なまじアニメ版のできが良ければ良いだけ、マイナスに働くことも多いものです。
が、本作の場合には、1巻からしっかりと築き上げてきていた作品の雰囲気にも綺麗にハマっていて、こういうストーリーであれば、こうならなければいけない、というような、そんなように感じられました。
少女少年の成長物語として優れた物語になっていると思います。
結構細かく心理描写もされていますし、丁寧に執筆されたのだろうな、ということが推察されるのも、好印象です。

ちなみに、本作には、日曜に放送されている番組に出演している人気者、「お悩み解決美女」マリリンマリーンという登場人物が登場しています。
「彼女」は作中のあちこちにおいて一定の役割を担っているのですが、その正体が果たして誰なのか、ということについては、最終13巻においても、はっきりとした言及はされていません。
ネットを見ていると、その点について、結局最後までマリリンマリーンが誰かの説明が無かった、語られなかった、という意見も出ているようなのですけれど……

いやいや、これ、丸わかりじゃないでしょうか。
ここまで情報が示されていたら、答えは1つしか無いでしょう。

まぁ、そうだとしても、作中でもはっきりと「マリリンマリーンは〇〇である」と触れられていないというのは事実ではありますけれど、何でもかんでも「これはこういうことなんですよ」という答えをはっきりと書けばいいものでもありますまい。
99%以上の確率で正解と思われる答えを推測するだけの材料はあちこちで与えられているのですから、それくらいは読者の側で想像してもいいのではないでしょうか。
マリリンマリーンの正体を明言しないからこそ生まれる余韻、というものもあったと思いますし。

ボリュームもありますし、さすがに最終巻が発売された2010年からそれなりの時間も経過してしまっている現在は店頭に並んでいることも少ないでしょう。
なので、ちょっと気軽に本屋で中身を確認してみるとか、とりあえず第1巻だけ買ってみる、というようなこともやりにくいでしょうけれど……
良質のジュヴィナイルSFであり、結構お薦めだと言えます。

そんなわけで、今回の、「本館」更新前の読了本紹介には、この作品を選んでみました。
アニメ版を知らなくても、これ単体でしっかり楽しめますよ。

電脳コイル 13 (トクマ・ノベルズEdge)電脳コイル 13
(トクマ・ノベルズEdge)

(2010/11/18)
宮村 優子
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