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「Gene Mapper -full build-」

 2014-08-29
今年の2月に発売になった長編第2作『オービタル・クラウド』が、各所で高評価を得ているのを目にして、これはこの著者の作品は読んでみなければなるまいという興味が出たのが、藤井太洋。
そこで、本命の前にまずはその前作からということで、『GENE MAPPER -full build-』を読みました。

これはこれでSFファンにも評判の高かった作品で、かなり期待して読み始めたのですが、なる程、これはなかなか面白い作品です。

既に今、現実に流通しているような遺伝子組換植物というレベルでは無く、1から遺伝情報を設計した「蒸留植物」が農業の主流になっている近未来。
本作は、そんな「蒸留植物」の先進的な農場で、自身が中心となってデザインした作物が変異・遺伝子崩壊をしたという報を受け、遺伝子デザイナーの主人公がその謎を追う、という物語になっています。
拡張現実などの要素も上手く盛り込んでいて、読み手の想像力が掻き立てられるような、なかなか「読ませてくれる」ものになっていました。

これは、評判が良かったというのも、良く分かります。

ただし、扱っている題材、テーマに対して小説として全体のボリュームが少ないというか、もうちょっと話に厚みが出ているといいのにな、というようにも感じたのが惜しいところ。
タイトルにも「full build」とあるように、これでも、当初電子書籍として個人出版された初期バージョンに比べると、その分量が 1.8倍になっているらしいのですが、個人的には現状の更に 1.5倍は欲しかった。
それで、その増えた分で物語にディティールを増やしてくれた方が、より内容が充実したと思うのです。
展開にご都合主義なところが含まれるだけに、その違和感を緩和させる為にも、色々と更なる掘り下げをしてくれていれば、と。

そういう物足りなさはありましたが、それも『オービタル・クラウド』を読む前の前菜だと思えば、それはそれ、という風に考えてしまうと、むやみやたらにハードルを上げてしまっている気もしますが、でも、これは、『オービタル~』も結構楽しませてくれそうです。

そんなわけで、「本館」の次回更新前に先行紹介する読了本、今回はこんな感じになりました。

Gene Mapper -full build- (ハヤカワ文庫JA)Gene Mapper -full build-
(ハヤカワ文庫JA)

(2013/04/30)
藤井 太洋
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