「たんぽぽ娘」

 2014-07-14
昔から、SFファンの高い評価の声はあちこちで目にすることがありながら、残念ながらそれが収録された文庫が絶版の為に長らく読むことができなかった短編、「たんぽぽ娘」。
個人的にも望んでいた復刊が成り、河出書房新社の「奇想コレクション」シリーズから、同作が収録された短編集『たんぽぽ娘』が刊行されたのは、昨年の5月のことでした。

私がこの短編のことを知ったのは、竹宮恵子のマンガ『私を月に連れてって!』の中の1つのエピソードで題材として取り上げられていたからなのですが、それ以来、一度原典を読んでみたいと思っていたので、これは非常に嬉しいことでした。
最近では、三上延の『「ビブリア古書堂の事件手帖3』でも、この作品が題材になったりしているので、そちらの方で知った、という人も一定数、いらっしゃいそうです。

とはいえ、他の本から先に手を付けたり、仕事や勉強に忙殺されたりとしている内に、気が付けば発売から1年以上が過ぎました。
待ちわびていた割には、随分と時間が経ってから読み始めることとなってしまったわけです。
どの本をいつ読むか、というのは基本的にその時の体調や気分で左右されるので、つまり、なんだかんだでそちらの方向に思いが向かなかったということなのですが、あっさりと読み終えてしまうのがもったいないと感じた、というのもあるかなぁ。

さて、ここには、「たんぽぽ娘」を始めとして全部で13作品が収録されています。

先には一応これを「短編集」と書きましたが、実際には、短編11に中編2つ、というところなので、純然たる「短編集」では無い、とも言えるかも。
なかなか読みごたえのあるボリュームです。

全体的な印象としては、ロマンスの匂いを感じる作品が多かったですね。
表題作の「たんぽぽ娘」自体からして、もともとボーイ・ミーツ・ガールの絡む時間SFの傑作として名高かったわけですし、私を含む読者も、ヤングの短編集、それも「たんぽぽ娘というタイトルの本となれば、その手のラインナップを期待していたでしょうから、これは妥当なところだと言えるでしょう。

こういう短編集では、どうしても収録作品の好き嫌いがでるものですが、この短編集についても、楽しめたところもありましたし、微妙なところもありました。
しかしまぁ、全体的な感想を述べるのであれば、まずまず面白かった、という感じです。
1960~70年代に書かれた作品がメインなので、どうしても古臭さくて今読むには物足りないこともありました。
ちなみに、「たんぽぽ娘」はその中でもやはり一番と言っていいくらいに面白く、なる程、これを読んで一発で魅了された人が多かったというのも分かります。

そしてヤングの「たんぽぽ娘」といえばあまりに有名なのが次のセリフ。

「おとといは兎を見たわ。きのうは鹿。今日はあなた」

どんな局面で、どんな意味を込めて言われるものなのか、是非、本作を読んで確かめてみてください。

たんぽぽ娘 (奇想コレクション)たんぽぽ娘
(奇想コレクション)

(2013/05/30)
ロバート・F・ヤング
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