「星界の断章III」

 2014-05-26
昨年発売の『星海の戦旗Ⅴ 宿命の調べ』で第一部完、となっている森岡浩之の「星界シリーズ」最新刊となる短編集、『星界の断章Ⅲ』(早川書房 ハヤカワ文庫JA)を、今回、「本館」に先がけて紹介する読了本として選んでみました。

発売月である3月から2カ月遅れで読むことになった本作。
表紙絵からいかにもラノベ的な作品を期待していると、実は何気にもっとシリアスでしっかりとしたSF作品だったりする「星界シリーズ」の3冊めの短編集になります。

ちなみに、全部で7つある収録短編の内の6つが既に「SFマガジン」他の雑誌等に掲載されたもので、最後を飾る1編が書下ろしというのが本作の構成。
これ等の短編では、本編である「星界の戦旗」では書かれない比較的日常的なエピソードが綴られています。
もともと架空言語を始め世界設定や人物設定等を非常に細かく作り込んでいるシリーズですから、その1つ1つについ少し触れていくだけでも、短編のネタはいくらでもあるのかもしれません。

無論、いくらネタの源泉がたくさんあったとしてもそれを実際に書けるかどうかは別の問題。
更に、小説として面白いかどうかも違う話です。

設定を語ることに執心して肝心の「面白さ」に欠けている作品集になっては仕方がないのですが、しかし、本作についてはその心配は不要でした。

森岡浩之はこういう短編が、やはり上手いなあ。

それでも強いて難点を言うとするならば、これがあくまで「星界シリーズ」の短編集なこと。
つまり、本編である『星界の紋章』全3巻と、続編の『星界の戦旗』1~5巻を読んでからこの「星界の断章Ⅲ」を読むようにしないと、意味不明になるだろうところが多々あるのです。

逆に言うならば、このシリーズが好きな人には、実にたまらない短編集ということですけれども。

星界の断章Ⅲ (ハヤカワ文庫JA)星界の断章Ⅲ
(ハヤカワ文庫JA)

(2014/03/20)
森岡 浩之
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