「少女は鋼のコルセットを身に纏う ~スチームパンク・クロニクル~」

 2014-05-04
今週も、「本館」の更新に先駆けた読了本紹介を行いたいと思います。

イギリス人、アメリカ人、カナダ人といった人々が、自分達の祖先の暮らしていた時代である大英帝国の絶頂期であったヴィクトリア朝に寄せる気持ちは、一体どういったものなのか。
憧れなのか、懐かしさなのか、その辺は当事者ではない私には分かりかねます。

しかし、ひとまず言えることは、英米の作家が歴史改変モノ等のSF系作品を書く場合に往々にして、ヴィクトリア朝のロンドンが舞台になるということ。

産業革命で蒸気機関が普及していく時代でもあるし(だからこその「スチーム」パンクですからね)、万国博覧会とクリスタルパレス、ダーウィンが『種の起源』を刊行し、世界初の地下鉄が営業を開始するなど、単純に舞台として魅力的というのもあるのでしょう。
例えばそれを日本に当てはめて言うならば、江戸時代の元禄文化や化政文化だったり明治維新や大正デモクラシーというような時代を背景に、架空の歴史だったり科学だったりをベースにした物語を書くような行為に近いのではないかと考えれば、何となく納得ができる話のように思えます。

空想、妄想の翼を広げやすい時代ですから。

前置きが長くなりましたが、そんな感じでスチームパンクの定番を踏襲してヴィクトリア朝のロンドンを舞台にした、ケイディ・クロスの『少女は鋼のコルセットを身に纏う ~スチームパンク・クロニクル~』を読了しました。

この作品、翻訳を担当した小林美幸さんも後書きで書いていますけれども、とにかくこれでもかと過剰にベタな要素が盛り込まれています。
しかも、細かい理屈やリアリティなどはどうでもいいとばかりに、かなり何でもあり状態な能力まで主人公達にはあるという基本設定。
これは、アレですかね、私には結構色濃く日本のアニメだったりラノベだったりの影響があるように思えるのですけれども、実際のところはどうなのでしょう。
その答えがどうであれ、本作が、アニメやラノベにずっと親しんできた私にとって、親和性が高いというか、すんなりと入ってきて500ページの厚さを一気に読み切れるようなものであったのは確かなことです。

翻訳モノにありがちな文体のクセは、普段日本人作家の作品しか読んでいないような人にはちょっとしたハードルになるかもしれませんけれども、サービス精神旺盛なストーリーはなかなか面白かったですし、普段はラノベを主に読んでいるような人にも、ちょっとお薦めな作品だと言えるかも。

あとは、あれですね、本作を出版した竹書房が続編もきちんと翻訳刊行してくれることを願うだけです。

少女は鋼のコルセットを身に纏う ~スチームパンク・クロニクル~ (竹書房文庫)少女は鋼のコルセットを身に纏う
~スチームパンク・クロニクル~
(竹書房文庫)

(2014/01/30)
ケイディ・クロス
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