「富士学校まめたん研究分室」

 2014-01-21
「本館」に先行する読了本紹介、今回は、陸上自衛隊に勤務する人付き合いが下手で会話が苦手な30代の工学系女性技官を主人公に、彼女が従来にないロボット戦車の開発をする経緯を描く、柴村裕吏の『富士学校まめたん研究分室』をセレクト。

この主人公、口下手とコミュニケーション下手が極まって行った挙句、かなり面倒くさい方向に性格がこじれています。
それでも、作者がそんな彼女に向ける視線が暖かく、(主人公だからという補正はあるのでしょうが)好意的な描写がされている為、その面倒くささがある種の魅力に転じているように私には思えました。

人を翻弄し振り回す系統の面倒くささの相手をするのは正直御免ですが、この主人公のような不器用な面倒くささは、嫌いではありません。
そういうわけで、主人公のキャラクター設定というそもそもの段階で、まずちょっとした得点を叩きだした本作。
それ以外の点でも、日本を取り巻く周辺諸国との緊迫した外交状況、ロボット戦車開発を巡る国内の政治的なプロセスなどなど、そういうところを主人公の恋愛模様に絡めて語っていて、なかなか面白く読ませてもらいました。

なお、最終局面は当然、ロボット戦車たちが活躍するシーンとなります。
それがどういうシチュエーションによるものなのか、戦う相手はどういう勢力なのかとか、そういうことについてはネタバレを防ぐ為に書かずにおきますが……
作者自身があとがきで断っているように、ここで書かれている技術的な話だったり組織的な話だったりはあくまでもフィクションであり、物語をドラマとして成り立たせる為に、リアルさを失っているものもあるでしょう。
けれども、こちらとしても別に現実に即したリアリスティックな自衛隊装備開発物語を読みたいと思っているわけではありません。
なので、ストーリーが楽しめるのであれば、その辺りは問題無し、です。

富士学校まめたん研究分室 (ハヤカワ文庫JA)富士学校まめたん研究分室
(ハヤカワ文庫JA)

(2013/10/25)
芝村 裕吏
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