「天冥の標Ⅶ 新世界ハーブC」

 2014-01-15
「本館」に先行する読了本紹介ですが、今回は、2009年9月から刊行が始まった全10巻(全10冊、という意味ではありません)の一大SF年代記である小川一水の『天冥の標』シリーズ最新刊、昨年末に発売された『天冥の標Ⅶ 新世界ハーブC』を選んでみました。

前作『天冥の標Ⅵ 宿怨』PART1~3 において、決定的な破綻が訪れた世界において、冥王斑に感染せずにかろうじて地下施設に逃れた少年少女が味わうことになる絶望を描く今回の物語。
これまでのシリーズでは無かったことですけれども、前作の直後から始まり、主要登場人物もそのまま引き継ぐこととなっています。
それはむしろ通常のシリーズ小説としては当たり前と言ってしまえばそれまでのことですけれども、この『天冥の標』の場合は人類社会の年代史という形態を採っているので、これまでは各エピソードはそれぞれに別の年代、独立した視点で語られる個々の物語(しかし全体としては1つの大きな物語を形成しているわけです、当然)だっただけに、こういうのは、ちょっと新鮮です。

さて、資源の限られた閉鎖空間に、キャパ以上の人間が緊急的に対比して暮らす、それも成人前の者がほとんどということになると、そこで起こることがどういうものになるのか、それはもう、察しが付こうというもの。
さすがに、ウィリアム・ゴールディングの『蠅の王』のようなところまでは行かないのですが。
そして、ここに来て第1巻の『天冥の標Ⅰ メニー・メニー・シープ』上下巻に直接的に繋がるところまで、話は進んできました。
植民惑星ハーブCの秘密、そして、第1部のラストで提示された謎の答えの手掛かりになりそうな情報を幾つか開示されてきており、そこからは色々と推察することもできるし私なりの予想もあるのですが、まぁ、それはここでは書かないが華でしょう。

こういうのは、読み手がそれぞれ個々に想像するのが楽しいのですから。

シリーズ続巻『天冥の標Ⅷ ジャイアント・アーク』(仮題)は来年の夏に刊行予定とのこと。
とはいえ、今回のこれも、本来は2013年夏発売となっていたのが結局年末までずれ込んだわけで、実際に第8巻がいつ出るのかはまだまだ分かりません。
けれども、これから残るところ3巻のエピソードを経て、この物語が、せめて穏やかな終わりを迎えることができるよう、願わずにはいられません。

天冥の標Ⅶ 新世界ハーブC (ハヤカワ文庫JA)天冥の標Ⅶ
新世界ハーブC
(ハヤカワ文庫JA)

(2013/12/19)
小川 一水
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