「サカサマのパテマ」

 2013-11-16
吉浦康裕監督の『さかさまのパテマ』を、新宿の角川シネマで観てきました。

かつて人類を襲った大異変、重力をエネルギーに転換しようという実験の失敗で重力の方向が逆転し多くの人々等が空に落ちたという出来事から時代を経て、空に落ちた人々を罪人として空を忌み嫌う都市に育った少年と、地下都市で育った(少年とは重力の方向が逆の)少女とのボーイ・ミーツ・ガールな作品です。
基本的な設定は私の好みですし、物語の展開も非常にオーソドックスで、オチも含めて良質なジュヴナイルという感じ。

それは良いのですが、ただ、およそ100分という一般的な劇場映画の尺にまとまるのには、さすがに無理があったように思います。

結果、キャラクターの掘り下げがほとんど無くなってしまい、悪役とその側近がひどく薄っぺらに思えたり、主人公2人の周辺のキャラがほとんどお飾りのようになってしまって、せっかく使い勝手の良さそうなポジションに置かれているのに、それを全く生かし切れていなくてもったいない、と感じられたりというようなことに。
素材はいいものを揃えているのに、料理が中途半端になってしまったようなものだ、と書けば分かりやすいでしょうか。
ラストシーンにおける某サブキャラ同士の会話も、そこまでの描写が薄かったからか、話をまとめる目的で取って付けたようなものに聞こえてしまいました。

正直、この素材であれば、せめてあと30分、いや、1時間は欲しかったかな。

ただ、劇場アニメで2時間半の上映時間とかやってしまうと、回転率の問題(つまり収益性の問題)を敢えて無視するとしても、途中で観客が疲れてしまって作品に付いてきてくれないという事態になることが、容易に想定できます。
と、いうことは、この物語にとって一番良いスタイルは、1話1時間くらいのボリュームでの映画上映とか、4~5巻くらいのOVAとか、そういうものだったのかも。
制作体制、予算の問題その他、諸々の制約が実際にはあって、その中でベストなのが今回の、100分程度の劇場版という形だったのでしょうが、何だか程よくまとめたダイジェスト版を観ているような気になってしまったんですよね。

そんな中でも、オチの部分とかに下手に説明セリフを挟まず、状況から観客が読み取るような形にしたのは、良かったと思います。
上下が逆転した「さかさま」の感覚を効果的に演出できていましたし、プラス要素も多く見受けられただけに、上記のマイナス要素が余計に目立って感じられてしまったのかもしれません。
……惜しいなぁ。

サカサマのパテマ 公式設定資料集サカサマのパテマ
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(2013/11/13)
ポストメディア編集部
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