「高天原探題」

 2013-10-25
「本館」更新に先駆けての読了本紹介、今回は、書店で見かけて興味を覚えてこれは読んでみなければなるまいと購入した、三島浩司の『高天原探題』をセレクト。

なお、本作の書名は「たかまがはらたんだい」ではなく、「たかあまはらたんだい」と読みます。
一般的には「たかまがはら」という読みが広まっていると思いますが、ちょっと調べてみたら、古事記では「あま」と読むようにという指示がある、ということでもあるようです。
つまりは、どちらで読んでもいいけれども、古事記に則して行こうというならば、「たかあまはら」と読めばいい、ということになるのでしょうか。

が、まあ、それは本作の内容には特に関係の無い話。

本作は古事記と日本書紀の、いわゆる「記紀神話」に題材を求めた伝奇SF。
京都周辺に出現する、人の「動機」を殺して行動不能状態に陥らせる弁識不能体「シノバズ」を討伐する組織に所属する主人公の、シノバズとの戦いと、純愛を描いています。

なかなか独特の設定を持ち込んでいる作品で、使っている材料はかなり魅力的なものの、その料理の段でもう少し何かできなかったかなという、もったいなさを覚えた作品でもありました。
作中における神話や三種の神器の使い方、神と人との関係性などは好みなのですけれど、その設定を生かし切れていないように感じたのです。

本作のボリュームは文庫で300ページ程ですが、これ、最低でもあと100ページ程度、できれば200ページぐらい加算して色々なところをもっとじっくりと描いてくれれば、物語の深みがしっかりしたものとなってグッと面白さが増したのではないでしょうか。

最後に恋愛に絡めてきた締め方は好みなのですけれど、ボリュームが更にあればその部分についても、もっと味わいだったり余韻だったりは感じられたかな、と。

高天原探題 (ハヤカワ文庫JA)高天原探題
(ハヤカワ文庫JA)

(2013/08/23)
三島 浩司
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