「カント・アンジェリコ」

 2013-10-05
「本館」更新前の読了本先行紹介につき、今回選んだのは、ドストエフスキーへのオマージュ『カラマーゾフの妹』で昨年、第58回江戸川乱歩賞を受賞した高野史緒が1996年に発表したデビュー2作目の長編、『カント・アンジェリコ』。

実に発表から16年半ほど過ぎた今年の3月になって、これが急に文庫化されることになったのは、明らかに『カラマーゾフの妹』が話題になった影響なのでしょう。
経緯はどうあれ、以前から読みたいと思っていた作品の1つですし、これは買わない選択肢はありません。
そこで、発売日に即座に購入しました。
ならばすぐに読めばいいようなものではあるのですが、ちょっと他の本から先に読んだりしているうちに、某国家試験の時期になったりして、何だかんだ、実際に本作に取り掛かるまでに半年かかってしまいました。

で、いざ読んでみたのですけど、これは、実に高野史緒らしい作品です。

電気文明が街を覆う18世紀のパリで、去勢歌手であるカストラートと亡国の姫君とイタリアからきた教皇使節とイギリスのスパイといった登場人物達が、電話網をハッキングしその全てを掌握できるとされる最上位アカウントを握る存在を巡って、ルイ14世がヴェルサイユに去った後の過剰な電飾に満ちルーヴル宮殿で繰り広げる物語。
本作を(やや強引に)総括するならば、そんな感じになるでしょうか。

歴史改変ジャンルの小説というか、サイバーパンクやスチームパンクというか、この空気感は中毒性があります。

作者自身がやりたいこと、書きたいことを、あまり厳密に選別・整理をせずに詰め込めるだけ詰め込んだという印象もちょっとある本作。
その分だけ読みにくさもあるのですが、非常に濃厚な物語を楽しめました。

カント・アンジェリコ (講談社文庫)カント・アンジェリコ
(講談社文庫)

(2013/03/15)
高野 史緒
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