「キアズマ」

 2013-09-06
「本館」の「雑記」に掲載予定読了本の先行紹介、今回選んだのは、近藤史恵の自転車ロードレース小説第4弾、『キアズマ』。
以前、こんな本を買いましたよ、とリストアップだけはしていた作品ですので、その紹介も、この「別館」でやっておかなければならないかな、と(その辺は、前回の森見登美彦『聖なる怠け者の冒険』も同様です)。

さて、本作は、『サクリファイス』、『エデン』、『サヴァイヴ』というこれまでの3作品とは大きく舞台を変えてきて、プロの世界では無く、大学の自転車部が題材となっています。

とはいえ、これまでのシリーズに出てきた登場人物が本作では全く出てこないというわけではありません。
題材が共通して自転車ロードレースだというだけでは無く。その点からも、しっかりシリーズの系譜に連なる作品と言えます。
ただ、過去作の登場人物がほんの一瞬出てくるだけですし、この辺で一旦仕切り直しを試みたとでもいうか、新しい視点を持ち込んでみた作品ということで、今までの3作の続編という捉え方を必要以上にする必要は無いかな、という感じです。

それはつまり、これまでの作品を読んでいない人がいきなり本作から読み始めるのでも、全然問題ないということを意味します。

一般に向けたエンタメ小説としての娯楽の追及、これ1冊で完結させる為のセールス的な事情など、その辺は色々とあるのでしょうが、内容的に、これはさすがに無理がある、あるいはご都合主義的な展開なのではないかと思わせられてしまうところがあるのはちょっと問題とも言えるのですが……
さすがと評するべきか、この『キアズマ』、物語としてきっちりと、しっかりと楽しめる作品になっていました。

例えば、今まで自転車ロードレースという競技を知らなかったり観たことが無かったという人に、興味を持ってもらおうとするにあたり、このシリーズはかなりいい材料になると感じています。

自転車ロードレースがそもそもどういう競技なのか。
中継放送などを観戦する際には、どういうところに注目して観るべきかなどなど。
基本的なことを物語を楽しみながら知ってもらう、その点で非常に優れていると思いますし、それに、そういうのを抜きにしても、単純に面白い作品だと思うのです。

2作目の『エデン』までは文庫化もされていますし、未読の方は、良かったら是非、1度、読んでみて下さい。

キアズマキアズマ
(2013/04/22)
近藤 史恵
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サクリファイス (新潮文庫) エデン (新潮文庫) サヴァイヴ
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