「少女は黄昏に住む マコトとコトノの事件簿」

 2013-08-08
某国家試験へのチャレンジが、今年も終わりました。
なので、次回更新の本館「雑記」で紹介する本から1冊をセレクトし、この「別館」にその紹介文を掲載することを再開させていただきます。

今回採り上げるのは、山田彩人の『少女は黄昏に住む マコトとコトノの事件簿』。

いわゆる萌え産業、オタクマーケットの購買力に擦り寄ろうというというだけの意図ではなくて、装丁などをとっつきやすくすることで従来はそのジャンルに手を出してくれなかったような読者、更に言うならば普段はそこまで本を読まないような読者をも取り込もうというのでしょうか。
色々な分野の小説がラノベ(またはより広義な感じでYAと言ってもいいでしょう)や萌え系の作品のようなイラストを表紙に持ってくることで一見さんの眼を惹こうという商品が、最近は増えてきていますよね。

ミステリーやSF、青春小説などなど、基本になるジャンルは様々で、いわゆるキャラクター小説にそのものになっているような作品からそうでもないものまで、テイストも色々。
良くあるパターンで言うと、大体イラストは表紙のみで、判型はB6のソフトカバーという体裁。
そういう本、皆さんも書店で見かけることがあると思います。

少女は黄昏に住む マコトとコトノの事件簿少女は黄昏に住む
マコトとコトノの事件簿

(2013/03/09)
山田 彩人
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そんな中の1冊である本作は、殺人や密室といった事件とトリックやロジックの謎解きをキャラクター小説的なカリカチュアライズされた主要人物で描くユーモアミステリー。

引きこもり気味のオタク毒舌女子高生である綾川琴乃が探偵役で、女装が似合いそうな童顔で、しかし高倉健の任侠映画を好み「日本男児」たらんと望む25歳の刑事、姫山誠がワトソン役にして作品の語り手という配役になっています。
思い切り定型化された、陳腐とも言えるようなキャラ属性を付与しつつ、推理小説の様式に忠実に推理が行われるところが、本作のミソ。

なお、琴乃が興味があるのはあくまで「ハウダニット(How Had Done It)」の部分であって、「フーダニット(Who Had Done It)」や「ホワイダニット(Why Had Done It)」にはあまり感心が無いということになっています。
作中ではそちらの方向にはほんのわずか程度しか(しかも間接的にのみ)触れられていませんけれど、この設定と、序盤からの琴乃とその父である綾川元刑事の言動を深読みしようと思えば、ちょっとできないことも無いところは個人的にツボでした。

傑作とまではちょっと言いきれないところもありますが、できれば結構面白かったので、続編を出してほしい作品の1つです。

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