フルーム、サガン、クィンターナ

 2013-07-23
第100回記念のツール・ド・フランスは、現地時間21日(日本では22日早朝)に行われた第21ステージを以って、無事全日程を終了しています。
今年は例年と違って特別に最終ステージを夕闇のシャンゼリゼにゴールする時間の開催に変更しているので、その為に、中継放送の時間がいつもと違うことになり、普通に仕事のある私はさすがに生で試聴できず、翌日に録画しておいたものを観ることとなりました。

そんな2013年ツール・ド・フランスの各賞の結果を、ざっとご報告しておきましょう。


総合優勝は、チーム・スカイのクリス・フルーム。
アシストを含めたチームの強さには以前より定評があるスカイですけれども、今回はとにかくフルーム個人の強さが目立っていて、山岳でライバルを一気に引き離す強力な登坂がとにかく印象に強く残りました。
サクソ・ティンコフバンクのアルベルト・コンタドールが第一線に躍り出た時も、ちょうどこんな感じだったなと思い出されます。

今回はフルームがあまりに突出して強かったもので、証拠もなくドーピング疑惑をメディアが言い出したりと、何かと周辺が騒がしくなってしまったことなども含め、これからグラン・ツールを何勝もしていくような偉大なるチャンピオンが誕生したのかもと、そんなことを考えさせられた勝利っぷりでした。

私の応援したコンタドールやエヴァンスは、明らかに調整に失敗したという感じで、結局、最終日の表彰台に乗ることもできずにツールを終えました。
最有力だったライバルが不調だった分だけ、フルームにとってはタイム差を開くことができたということも側面もありはするのでしょうが、しかし、今年のツールで一番強かったのは間違いなくクリス・フルームであったということは、誰しもが疑問の余地なく頷く結果と思います。

昨年の覇者となった(同じくチームスカイ所属の)ブラッドリー・ウィギンスの登坂はコンスタントにペースで刻んで行くスタイルで、クレバーすぎて今一つ好きになれませんでしたけれども、フルームの場合は一旦火が付くと爆発的なアタックで攻撃的な走りをみせるという登坂スタイル。
どうしても、まずコンタドールとエヴァンスのことを応援してしまうのでフルームについてはなかなか素直に応援できないところがありましたけれども、ちょっとやんちゃな性格も含め、基本的には私の好きなタイプの選手なので、フルームについては、実はちょっと好意的に観ていたりします。

コンタドールは30歳でフルームは28歳。
ここだけ捉えると世代交代というような年齢差ではありません。
ですが、ベテラン選手達の残した成績、若手が残した成績を考えると、世代交代の波がヒタヒタと押し寄せてきているのかな、という気がしてくる、そんなツールだったと思います。


ポイント賞は、これも断トツの首位でキャノンデールのペーター・サガンが2年連続で獲得。
ステージ優勝の数は去年ほどではないのですけれども、ピュアスプリンターが遅れるようなアップダウンの多いコースでもしっかり先頭グループに残ってポイントを稼ぎ、中間スプリントポイントや平坦ステージのゴールスプリントでも、頭こそ取れないながらも、必ずいい順位に入っていましたから、これも文句なしの結果です。
レースが第2週目に入った頃には、ライバルとなるスプリンター勢も、実質的にこの賞については諦めているようなところがありましたし。


山岳賞は、2級以下の山岳へのポイント配分が少なく、さらに頂上ゴールはポイントが2倍になるという大会ルールが勝負の行方を大きく左右した形。
結果、第19ステージ最後のアヌシー・セムノスで頂上ゴールを制してステージ優勝をしたモヴィスターのコロンビア人選手、ナイロ・クィンターナがこの賞を獲得しました。
新城幸也の同僚であるユーロップカーのピエール・ローランも懸命にチャレンジをし続けたのですが、頂上ゴールで1回も上位ゴールできなかったことが大きく響いて山岳3位に終わっています。


なお、クィンターナはその登坂力で、総合でも2位に入ってみせるなどの大活躍。
彼はまだ23歳の若手選手なので、山岳賞と同時に、25歳以下が対象の新人賞も獲得しています。
新人賞についてはオメガファルマ・クイックステップの期待の若手、ポーランド人のミカル・クヴィアトコウスキーも頑張って健闘してはいたのですけれども、クィンターナには届きませんでした。
この両名には今後、総合系の選手として大きく成長してくれそうな期待が持てるので、数年後のツール・ド・フランスを占う意味で、大いに注目すべき選手だと言えそうです。


そして、シャンゼリゼのスプリントを制して100回記念大会の最後に花を添えたのは、アルゴス・シマノのマルセル・キッテルでした。
最終日のシャンゼリゼといえば、ここ4年間連続してオメガファルマ・クイックステップのマーク・カヴェンディッシュが名誉ある勝利をその手にし続けてきていたのですけれども、カヴの抱いていた5連覇の野望は達成なりませんでした。
カヴはシャンゼリゼでの周回に入ってから前輪のパンクがあって集団復帰にちょっと足を使うことになったりもしていたので、その影響が全く無いことはないのでしょう。
でも、これはガチンコ対決で力負けした、というようにも見える勝負でした。
とはいえ、カヴェンディッシュが衰えたというよりもキッテルが成長してきた、というべきでしょう。


第20ステージ コースマップ は こちら から




ちなみに、唯一の日本人選手、第5ステージで逃げに乗るなどの見せ場も作った新城幸也は、4度目のツールとなった今回も無事に3週間を完走しています。
期待されている日本人ツール初ステージ勝利はまた来年以降に持越しですが、史上初めて日本チャンピオンジャージがツールを走った姿を堪能できたのは、10年以上この競技のファンを続けている身としては非常に嬉しいことでした。

このように日本人がグラン・ツールに出場し、しかも全日程を完走するということが、かなり普通のことになってきたなという感がありますが、新城や別府、宮澤などといった選手に続く若手が、どれだけ出てくるのかが日本自転車ロードレース界にとっての次の問題でしょう。


今大会の最終第21ステージのスタート地点がヴェルサイユ宮殿になると最初に聞いた時には、ルイ14世の騎馬像がある正門前広場から公道に出るような構成になっているのかと思いました。
ですが、実際にはグランカナルを1周するような形で思い切りヴェルサイユの庭園の中を走ってから公道に出るルートとなっていたのには、放送を観ていて、ちょっと驚かされたことの1つです(もちろん、実際にレースが始まるアクチュアルスタートは公道に出た後で、ヴェウサイユ内はパレード走行でしたけれど)。
あと、映像を観ていた限り、ヴェルサイユ宮殿の庭園で実際に走ったルートと、公式サイトに掲載されているルートは、結構違っているようです。
だからどうした、という程のことではないのですけれど、ちょっと気になったものですから、一応、ここに書いておきます。

シャンゼリゼでの周回コースも例年と違って、いつも通りにちょうど凱旋門の手前になる地点で折り返すことなく、その奥、中央に凱旋門がそびえる大きなロータリーをぐるりと回るようになっていました。
毎日とんでもない交通量を誇るあのロータリーを、平日では無いとはいえども完全に閉鎖してしまったのですから、ここからも主催しているASOがどれだけ第100回記念のメモリアル開催に力を入れてきたかがうかがえます。

けれど、それもこれも、国民的な一大スポーツイベントとしてしっかりとした国家の後押しがあればこそ。
日本で同じことができるかというと……残念ながら、とても無理、ですね。


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