「コロロギ岳から木星トロヤへ」

 2013-07-06
本館の「雑記」で次回更新時に紹介する本からのセレクト、今回は、今年3月末に発売された小川一水の作品、『コロロギ岳から木星トロヤへ』。

本作をひとことで言うならば、時間ものでファーストコンタクトものなSF作品、となるでしょう。
現在早川書房からは大長編『天冥の標』シリーズを刊行中の小川一水ですが、そういう作品に取り組んでいる最中でも色々とネタを思いつくことというのは、もちろん普通にあるわけで、そんなアイディアの中の1つを、おそらくは一気に書き上げたのが本作であろうと思われます。
というのも、240ページほどの物語が最初から最後まで一息のノリで読み切れるような内容になっているからで、こういう読み味になるということは、多分、これを著者が書いた時もきっと、そんな感じだったのかな、というイメージを抱かせられたのです。

とはいえ、これはあくまで私の感じたことなので、実際にどうだったのかは分かりませんよね。
案外、相当に苦労して改稿に改稿を重ねた末に書き上げられたものだという可能性だって、否定はできません。


本作は全体的に非常にコンパクトにまとまっている作品(帯の宣伝文のフレーズを拝借するならば、「さっくり読める短めの長編」)ですし、ストーリーや展開を練り込もうと思えばもっと練り込めたかもしれない、大掛かりにしようと思えばもっと風呂敷を広げられたであろうものを、このくらいのボリュームの、ライトでコミカルな作品として落とし込んでいるのは、『天冥の標』シリーズの息抜き、小休止、箸休め的なポジションの作品としては正しいことでしょう。
実際私も、かなりさくっと読み終えることができました。

だからといって中身がひどく薄いということもなくて、「ああ、しっかりしたSFを読んだなぁ」と感じさせられるような面白い作品になっているところなどは、さすが小川一水、という感じでしょうか。

面白かったです。

コロロギ岳から木星トロヤへ (ハヤカワ文庫JA)コロロギ岳から木星トロヤへ
(ハヤカワ文庫JA)

(2013/03/29)
小川 一水
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