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「プロジェクトぴあの」

 2020-05-30
かねてより是非読みたいと思っていた1冊が、山本弘の『プロジェクトぴあの』上下巻。
実はずっと文庫化を待っていたのですけれど、なかなかそれが無く、つまりこれは、待望の文庫化ということになります。

アキバから、宇宙へ。「科学の歌姫」で「最後のアイドル」、そして「人類の恩人」であり「世界の変革者」――これまでの常識を覆した新エンジン「ピアノ・ドライブ」を発明した、結城ぴあのの物語。人気アイドル・グループ「ジャンキッシュ」のメンバーである結城ぴあのには、もう一つの顔があった。秋葉原電気街の“お姫様”。電子部品を買い漁る彼女は、自宅のガレージで一人実験を繰り返していたが、その目的は「宇宙へ行くこと」であった。バラエティ番組のレギュラー・コーナーをきっかけに注目を集め、抜群の歌唱力を兼ね備えていたぴあのは、ジャンキッシュから卒業。“メカぴあの”との対決などを経て、トップ・アイドルへの階段を駆け上がっていく一方で、宇宙への夢を実現すべく、ぴあのは実験を繰り返すのだが……。超科学、人工知能、拡張現実、スーパーフレア……山本弘ワールド全開の感動SF長編。


というのが上巻の粗筋ですが、どんなジャンルでも、それまではまるで考えられてもいなかった画期的な、そして型破りな方法でブレイクスルーを達成する天才には、とかく変人と呼ばれるような人が多いとしばしば言われますよね。
様々な伝記、小説やマンガでもそれは描写されていて、実在の人物だけでなくフィクションの登場人物まで含めるとしたならば、そういった桁外れで常識外な天才キャラクター(実在の人物にキャラクターという言葉を使うのもちょっとどうかという気がしますが)が総数で何人いるのか、見当もつきません。

この『プロジェクトぴあの』もその系譜に連なる作品です。

こういうネタの場合は、描かれる天才の奇人変人ぶりに愛嬌があって、どこか読者を惹きつけるようなものであることが望ましいわけですが、本作のヒロイン 結城ぴあの はその点でもばっちり合格点。
作中で展開されている物理学の話は文系の私には少々ちんぷんかんぷんなところもありますけれど、そこは雰囲気で乗り切れるので問題ありません。
こういうところでリアリティーのある(と思われる)ウソを書けるのは、とんでも科学研究家としても知られた山本弘の面目躍如でしょう。
彼の書くSF作品の面白さは、こういうところにも理由がありますよね。

なかなかのボリュームを誇る大作ですが、非常に読みやすいですし、アイドルという私達にも結構馴染みのある設定を使っていることもあって、実にスムーズに、最初から最後まで一気に読み終えました。
いやぁ、面白かった。好きですね、これ。





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