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「ピュア」

 2020-05-09
タイトル作品の評判がものすごくいいことと、表紙を含めた装丁の美しさに惹かれ、小野美由紀の『ピュア』を購入しました。
本作を端的に言うならば、性や愛をテーマにしたSFを5編収録した短編集です。
ちなみに公式の粗筋は、以下の通り。

遠い未来、地球軌道上の人工衛星で暮らす女性たちは、国を守るために子供を産むこと、そのための妊娠を義務付けられていた。ただしそれには、地上に棲む男たちを文字通り「食べる」ことが必要とされる――そんな変わり果てた世界で「普通の」女の子として生きるユミの葛藤を描き、ネット上で旋風を巻き起こした衝撃作のほか、幼馴染みの性的な変身をめぐって揺れ動く青春小説「バースデー」、未曾有の実験により12人の胎児の母となった研究者のドラマ「幻胎」など、性とともに生きる人々の姿を活写する5つの物語。


表題作の「ピュア」はカマキリのメスの生態から発想を得た、つまり、「カマキリみたいに女性が男性を食べる世界になったらどうなるんだろう?」というところから構想を発展させた作品とのこと。
その他の4編も、形やネタは違いながらも、「ピュア」と同様に女性の「性」というものと愛を中心に据えた挑戦的な作品が並んでいます(最後の「エイジ」は「ピュア」に出てきた男性キャラクターの視点からの物語ですが)。

小野美由紀がインタビューに答えて曰く、「子宮であなたの脳を殴りに行く5篇、ままならない性と生に翻弄されながら『生まれ直し』のために奮闘する女性たちの話です。」とのこと。
私は男性なので本作で描かれているものについて、本当の意味での理解や共感はできないのでしょうけれど、それでも描き出されるヒリヒリした感情には息を呑むものがありました。
読み始める前には、偏った女性活動家に誤解されるような内容の話なのかなと思ったりもしていたのですけれど、これはそういうのとは違いますね。
もっと広い視野、もっと広い場所を念頭にした作品だという気がします。

なお、純粋さと美しさと淫靡さが同居している(矛盾しているように感じるかもしれませんけれど、そうとしか言えない装画なのです)素晴らしい表紙は是非手元に置いておくべきなので、電子書籍よりも紙の本を買うことを推奨させていただきます。



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