FC2ブログ

「ライト・ノベル」

 2020-03-28
滝本竜彦が2018年の11月末に出した、かなり久し振りの新刊となる、『ライト・ノベル』を今更ながら購入。
具体的に数字で言うならば、新作長編としては約17年振りのことだったらしいです。

そんな本作、読んでみればわかるのですけれども、かつて彼が書いていた幾つかの作品とは随分と違う作風になっています。
その点を 海猫沢めろん は「ここには、かつてのネガティヴで後ろ向きな少年と、それを救ってくれる聖母のような少女は存在しない。青春の蹉跌も存在しない。だが、確かにこれは滝本竜彦の作品なのだ」と評しています。
なるほど、まさしくその通りなものであると言えるのではないかと、私も思います。

ちなみに、公式の粗筋はこんな感じです。

「こんにちはーにゃ!」――貴重な青春を無難に過ごすだけの高校生・ふみひろの前に出現した光のゲート。そこを潜り抜け出てきたのは、猫耳やしっぽを持つ美しい女の子だった。以来ふみひろの前には、美少女という名の天使たちが次々と現れる。普通の少年に突然訪れるハーレムな日常。そこに隠された驚くべき世界の真実とは―!?


作品タイトルである「ライト・ノベル」とは英字表記で「light novel」となっていて、それはいわゆる小説ジャンルとしてのライトノベルと同じです。
しかしながら、本作におけるそれは、エンタメ文芸ジャンルとしての「軽い小説」というものではなくて、「光の小説」という意味になります。
ただし、いわゆるラノベ的な設定が作中に意図的に散りばめられていることを指摘するまでもなく、これは敢えてダブル・ミーニング的に使っているのは間違いないわけで、そこに作者の意図を読み取れなくもないかな、と思ったりもします。

率直にいって、賛否両論が割れそうな渾沌とした作品なのですが……
読み心地、読了感は悪くなく、おそらくはこの幻惑的なテイストこそが狙いで書かれているのだろうと考えれば、復帰作にかなり大胆なものを持ってきたなという感が無くもありません。
思えば滝本竜彦という人はもともと無難な作品など書いてこない人であったので、そこは相変わらずということですね。
何だか安心しました。

本になっている彼の小説で唯一未読な『ムーの少年』も、こうなると入手して読まねばならないかな……。



タグ :

こんな時期だから、ですかね……

 2020-03-25
世の中は新型コロナの影響で完全に自粛モード。
それは当然であり、この時期に飲み食い歌い騒ぐということは、普通はしないよなとは思いますけれども、あまりにも沈滞ムードが続いていると、気が滅入ってくるのは否めません。

そんな中、ちょっと前の週末に、知人から新宿のハイアット・リージェンシーでのアフタヌーン・ティーに誘われました。
それは、別の知人に祝い事があったので、それを2人でお祝いしようという趣旨だったのですが、仕事が年間最繁忙期で大変なことになってはいるものの、こういうことは簡単に切り捨てていい話では無いので、何とか時間を調整して出席してきました。

写真は、その日に食べた、アフタヌーン・ティーのメニュー。

お値段もなかなかに素敵なものがありましたが、やはり、さすがはハイアット・リージェンシー、最高に美味しかったです。
財布の負担はともかくとして、こういうことを気軽にやれるようになること、コロナ問題ができる限り早く収束することを、願わずにはおりません。





タグ :

「ツインスター・サイクロン・ランナウェイ」

 2020-03-21
百合SFアンソロジー『アステリズムに花束を』に収録されていた短編を長編化した、小川一水の『ツインスター・サイクロン・ランナウェイ』。
作者自ら「ガス惑星巨大ロケット漁業百合SF」と銘打った本作の、公式の粗筋は以下の通りです。

人類が宇宙へ広がってから6000年。辺境の巨大ガス惑星では、都市型宇宙船に住む周回者(サークス)たちが、大気を泳ぐ昏魚(ベッシュ)を捕えて暮らしていた。男女の夫婦者が漁をすると定められた社会で振られてばかりだった漁師のテラは、謎の家出少女ダイオードと出逢い、異例の女性ペアで強力な礎柱船(ピラーボート)に乗り組む。体格も性格も正反対のふたりは、誰も予想しなかった漁獲をあげることに――。日本SF大賞『天冥の標』作者が贈る、新たな宇宙の物語!


遠い未来、宇宙に広く生存域を拡大した人類社会の辺境、巨大ガス惑星の軌道上に氏族ごとに都市宇宙船を浮かべて生活するという社会が形成されている世界設定です。
そこで描かれるのは、その社会を支配する男尊女卑の思考・慣習に全力で立ち向かう2人の女性の物語。

こういう書き方をすると、ジェンダー論を大上段に振りかざしてきたりしている作品なのかと思われるかもしれません。
ですがそうではなくて、本作はどちらかというと、「百合SF」というお題に応える為に、主人公とヒロインの関係が百合であることに正当性を持たせるというか、理論武装をする為の手段としてそういう設定を導入しているという印象がある、かな?
それはそれで、真剣に社会的男女格差問題に取り組んでいる人達から反感を買いそうに感じられるかもしれません。
しかし、小川一水という作家にはもともと、その手の思想に対して反発するものがあったのではないでしょうか。
それは、彼のこれまでの著作に出てくる女性キャラの造形を考えれば分かります。
とはいえそれを作品内で直接的に主張したり露骨に思想的な描写をすることを避けて、あくまでエンタメ小説やSF小説の枠の中で穏やかにそれを訴えていたのが、今回はこういう形で出ているということなのではないかな、と思います。

だから、そういった問題に興味がある人も無い人も関係なく、純粋にエンターテインメントとしての小説を楽しみたい人、「ガス惑星」で「巨大ロケット」を使った「漁業」をする「SF」に興味のある人は、とにもかくにも本作を読んで、その面白さに浸ってほしいと思います。

『アステリズムに花束を』収録の短編版を長編にするに当たって、当然、物語だけでなく設定やキャラクターも膨らませているのですけれど、それがまた、いい感じになっています。
一応、これは単巻で終わる前提で書かれているようですが、ヒロインであるダイオードと氏族の関係の辺りでまだまだ膨らませる余地は大きく残っていそうですし、続編も期待したいところ。




タグ :

何を「お勧め」にするか

 2020-03-19
映画の公開が延期になったり、ライブや公演が中止になったり、エンタメ関係でも各所に影響が出ている新型コロナ。
状況からしてやむを得ないことではあるのですが……
そんな中でも例えば映画で上映延期という手段を取れる作品と、それができない作品とが大きく分かれているところに、色々な力関係とか資金問題とかを感じてしまったりもして、ちょっと切なくなったりも。

私自身は、このブログをご覧の方はご存じの様に、そんな中でもいくつかの作品の上映を鑑賞しに行ったりしました。
とはいえ、自分自身のことでもないのに、リスクを負ってでも映画館に映画を観に行こうと、多くの人に言えたりはしないのですけれど。

外出を控えて家に籠る場合には、どうやって時間を潰していくかが問題になりますよね。
そういう時は読書をしましょう、というのは誰もが考えることで、Twitter の「#休校読書」のハッシュタグでは、学校が突然休みになってしまった小中高生などに向けたお勧め本を紹介するという活動が行われています。
例えばこの先に大学に進み、社会に進んでいくことを考えれば、文字を読むという習慣、文章はどのように書かれるのかということを体感的に骨身に浸み込ませる経験を、小中学生がしておくことは、実はかなり大事なことなのではないかと思っています。
それは、結局は基礎学力を高めることにも繋がっていくはずですし。
問題集やドリルをやるのも悪くないですが、「勉強」という色味のついていない読書をするのも、いいんじゃないかなと、自分の子供時代を振り返ってみても、そんな風に考えるのです。

で、これはあくまでも個人的な意見ですが、こういう時に、普段あまり(あるいは全く)本を読まないような子供に、いわゆる「名作文学」を勧めるのは愚作ではないでしょうか。
読書は楽しいよ、物語は楽しいよ、新たな知識を得るのは楽しいよ、ということを体感してほしい。
ならば、娯楽小説、冒険小説、ラノベ、そういったもので、まずは、時間を忘れて活字を追うことを経験するのが、いいのではないか。
そういう流れで、では自分なら何をお勧めするのか、というところまで考えて、ふと思考停止してしまいました。
例えば私は「本館」の「読む」でそれなりの数の小説やマンガをお勧めしていますが、あれは小中学生にお薦めすることを想定して書いていないので、さすがにこれはその年代の子供に読ませるのはちょっとどうかなというようなものも混ざっています。
まさにこれは読んでほしいな、というものも、ラインナップの中にはあるとはいえ。

うーん。
姪っ子に勧めるとしたら何か、という視点で、私の推薦本を例えば10冊くらい、考えてみようかな……

タグ :

パリ~ニースの表彰台

 2020-03-15
新型コロナの問題はイタリアだけに留まらず、スペインやドイツやフランス等々EUの全域に感染が拡大する傾向にありますよね。
そんな中では、自転車ロードレースもそれに全く無関係と行かないのは当然のこと。
レース開始の時点で既に当初出場予定だった複数のチームが出場辞退するなどの状況にあったパリ~ニースも、さらに途中離脱したチームがあったり、ニースでの最終ステージがキャンセルされて全7ステージとなったりと、色々なことがコロナ関係で起きていました。

そんな中でも最後まで走り切って総合優勝の栄誉を手にしたのは、現ドイツチャンピオンであるボーラ・ハンスグローエのマキシミリアン・シャフマン。
第1ステージで総合首位の座を手にしてから、最終日までそれを手放さずに維持し続けた彼の走りは称賛に値するものでした。
また、他の選手の走りにも、今後のシーズンの走りを期待できそうなものがありました。
つまり、レースそのものは素晴らしいものでした。

それだけにコロナ問題が無ければという思いも出てくるのは否定できないところなのですが……
ここで 「もしも」の仮定を語っても詮無いことです。

イタリア、フランス、ベルギー等々、この時期に毎年大きなレースを開催している国で、次々と中止や延期が発表されています。
先日は遂に、5月に開催予定だったジロ・デ・イタリアも延期されることが決定されています。
状況を考えれば、やむを得ない事ですけれど。


公式サイトはこちらから

タグ :

「咎人の星」

 2020-03-14
2013年から積読の山の中に眠っていた、ゆずはらとしゆき の『咎人の星』。
色々な評判だけを数多く聞いてきているこの一大問題作を、今さらながらに読了しました。

本作の帯には「22歳未満の方はご遠慮ください」との言葉が印刷されているのですけれども、これはまさしくその通りの作品。
要するに、エログロな性愛描写がてんこ盛りですから、そういうのが苦手な人は決して手に取ってはいけません。

テロ組織に育てられた<殺人序列者>として惑星規模の無差別大量虐殺に加担した罪を贖うべく、<連盟>に未加入であり蛮族が生息する辺境の<世界の果ての咎人の星>即ち地球で、<情緒回復計画>に則って現地の<奉仕対象>への奉仕を行うことを課せられたハヤタ。
そんな彼が家政夫として働く家の娘、香名子。
物語は、そんな2人が体験することになる出来事を描いている……という紹介をすると、かなり情緒的な物語がそこに繰り広げられているのではないか、というような予想をされるかもしれません。
しかしながら、これはそのような単純な作品ではありません。
というか、1つの小説、として考えた時に、これはどうなんだろうかと疑問に思うようなこともやっていたりします。
作者の思想がダダもれになっているところは、確かに読みどころではありますが、多数の共感を呼ぶような内容でもないだろうし、そういうのはもうちょっとオブラートに包んで提示した方がいいのではないかな、とか、色々なことを考えてしまった作品でした。

一言で表現するならば、「ヘンな本」ということに尽きます。
そして、その尖り具合も含め、これは何とも言えない、一種の異形な作品を読んでしまったなと感じさせられました。
なお、本作の事は、誰にでも薦めているわけではないよ、ということだけは、最後に書いておきます。
この紹介文と、「本館」でもっと詳しく本作を紹介する、来週末に公開予定の「読む」のページとを読んでなお、興味を持ったという人だけが、相応の覚悟の元に、手を出してみるというのがいいんじゃないのかな、と、私はそんな風に思っています。



タグ :

信州戸隠生蕎麦 みのがさ 神田和泉町店

 2020-03-11
もう数年前からずっと気になっていた店の1つ。
それが、昨年にTV『鉄腕ダッシュ』のカレー企画で取材された、JR秋葉原駅昭和通り口のすぐそばにある立ち食い蕎麦屋、信州戸隠生蕎麦みのがさ昭和通り店。
その放送を観て以来、それまでよりもさらに、是非一度ここで食べてみたいと思っていたのですが、先日、ふと思い立って夕方18時くらいに入店してみました。

ここは、形態的には立ち食い蕎麦屋になります。
一応、店に入って左側の壁にはいくつか椅子席もありますが、基本はカウンターでの立ち食いスタイル。

立ち食いというと、どうしても、蕎麦のクオリティーはあまり高くないというイメージがありますけれど、この みのがさ の蕎麦は、かなり本格的なものであるということを以前から聞いていました(だからこそ、以前から興味を持っていたのです)。
ですので、まずその蕎麦を食べてみなければ始まりませんよね。
けれども『鉄腕ダッシュ』で出てきたカレーも、やはりどうしても気になります。
それで何を頼もうかと一瞬迷ったのですが、ちょうど都合のいいことに、その両方が味わえるセットがありました。
それが下の写真のカレーセットになります。

これで値段は税込で680円なのですから、かなり財布に優しい価格設定だと言えます。
無論、立ち食い系の店であることを考えれば、むしろこれくらいの値段で提供していなければ勝負にはならないとも言えますけれども。

ずば抜けて素晴らしいとまでは言いませんが、蕎麦もカレーライスもかなり美味しかったです。
こうなると、また別の機会に行ってみて、今度はこれとは別のメニューも色々と試してみたくなってきました。
そんなことを思えたということは、これは当たりの店ですね。




タグ :

the delgados 「THE LIGHT BEFORE WE LAND」 他

 2020-03-09
お気に入りになるミュージシャンと、どこでどういうきっかけで出会うかというのは色々なパターンがあります。
例えばTVの音楽番組だったり、街中だったりお客様のところだったりで流れているラジオだったり、ふと空いてしまった時間を潰す為にふらりと寄ったCDショップでの視聴盤だったり。
中には、アニメの主題歌や挿入歌から知ったミュージシャン・グループというのもあります。

今回紹介する the delgados は、そのパターンで存在を知って、オリジナルアルバム全てを揃えるに至ったバンド。
もともと私にとって1曲気に入ったものがあった時にオリジナルアルバムを買ってみるというのは特に珍しくもない普通のことなので、その点ではハードルは特に高くなかったのですが、解散までに発表したアルバムが5枚と少なめだったとはいえ、一気に5枚全てを大人買いするというのは、私にとっても、そんなにあることではありません。
つまり、それくらい気に入ったということです。

その、アニメに使われた曲というのが、「THE LIGHT BEFORE WE LAND」。
『GUNSLINGER GIRL』第1期のOPですね。





実は『GUNSLINGER GIRL』のアニメ自体は、事前に原作漫画に関する情報で知っていた話のアウトラインが好きではないが故に全く視聴していないのですけれども、何かのきっかけで、OPが凄く良いと聞いて、それで試しに、ちょっと観てみたのです。
そんな流れで初めて聴いた「THE LIGHT BEFORE WE LAND」。
上の動画を聴いていただけばお分かりいただけるかと思うのですけれども、これ、実に素晴らしい楽曲ですよね。

the delgados はスコットランドの4人組バンドで、活動をしていたのは1994年から2005年まで。
ジャンルだのなんだのと細かいことは言いますまい。
ちょっとアコースティックな香りも残しつつ、シンフォニックなところもあり、イギリスらしい翳りも感じられる、良質のポップ・ロックだと思います。
「THE LIGHT BEFORE WE LAND」以外の曲も、いくつか貼ってみましょう。
どれも、いい曲ばかりです。
パッと聴いた時の派手さはないですが、じわじわと心に染みてくる魅力がありますよね。
サイケなロック、派手なロック、マニアックで変態チックなアレンジのロックも好きですが、こういうのも、実は結構好きなんですよ、私。










タグ :

「錬金術師の密室」

 2020-03-07
刊行前に担当編集者がネットで行っている宣伝の文言をみて気になっていたのが、紺野天竜の『錬金術師の密室』。
最初に私が興味を感じた公式の粗筋を紹介してみましょう。

アスタルト王国軍務省錬金術対策室室長にして自らも錬金術師のテレサ・パラケルススと青年軍人エミリアは、水上蒸気都市トリスメギストスへ赴いた。大企業メルクリウス擁する錬金術師フェルディナント三世が不老不死を実現し、その神秘公開式が開かれるというのだ。だが式前夜、三世の死体が三重密室で発見され……世界最高の錬金術師はなぜ、いかにして死んだのか?鮮やかな論理が冴え渡るファンタジー×ミステリ長篇


ファンタジーとミステリーの融合、密室状態で発生した不可能犯罪といったものを描いた作品は先達がたくさんあります(例えばちょっと考えただけで、上遠野浩平の「戦地調停士」シリーズ等が思い出されます)。
そういう意味では設定にはそこまでの斬新さはありません。
けれども、どうやらきっちりとロジックを詰めたミステリーであるらしいこと、作者がそもそもミステリー好きであるらしいこともあり、これは何か光るものがありそうだぞ、と思ったのです。

結果から言って、その予感は正しかったです。
序盤を読んだ段階では、いかにもラノベにありそうなキャラクター設定やセリフ回し、会話が描かれるところで、ああ、まぁ、良くある感じのつくりだけれども、それだけにとりあえず手堅いといえば手堅い滑り出しだなと思っていたのですが……
そのベタなノリが、後半に行くにしたがって実に効果的に生きてくるのが良いですね。

ファンタジー世界でのミステリーは、現実世界ではあり得ないようなことでも、例えば「魔法でやったんだ」とか「精霊(モンスターでもいいですが)の存在が特定の物理現象を引き起こした結果として一見すると密室殺人という不可能犯罪が行われたかのような状況が生み出されたのだ」とか、そういうことにしてしまってある種の「逃げ」を打つこともできるかと思います。
それを踏まえたうえで、ミステリーファンの感想などを読んでみても、本作は、そこはかなりフェアに、序盤から作中で描写してきたヒントを丁寧に解釈していけば、ちゃんとロジカルに事件の真相を推察できるようになっているようです。
そこに否定的な意見もありますが、百人が百人とも同じ作品に同じ感想を抱くなんていう不自然なことが世の中に存在するわけが無いので、それはそういうものでしょう。
私としては、私の信頼するミステリー読みの人が本作のミステリーとしてのクオリティーを保証している感想を読んだので、そちらを信じますが、こういうのって、どちらが正しいというものではない部分が多いですからね。

ともあれ、私の感じている範囲では、本作はミステリーとしてアンフェアなことはしておらず、ジャンルのルールには忠実であると考えていい。
つまり、後出し設定での真相解明はしていない。
その点で、ミステリーファンにも納得できる仕上がりになっている。
加えて、これだけ面白いのですから、これはもう、なかなかに優れていると評してしまってもいいでしょう。
かなりのお勧め作品です。
続編への色気があるのを嫌う人もいるかもしれませんが……



タグ :

2020年の パリ~ニース

 2020-03-06
週末の8日(日)から15日までの全8日間の日程で開催されるのが、パリ近郊から南仏のニースまでを走るパリ~ニース。

今、ヨーロッパでも新型コロナの感染者が、段々と増えていっている状況がありますよね。
それ故にこの大会の開催中止や延期もあり得ると思っていたのですけれども、ひとまず、現時点では実行される予定のようです。

実際、ヨーロッパで真っ先に感染が拡大したイタリア、特に北イタリアのこの時期のレースは延期だったり中止だったりになっています。
複数のプロチームはそんなイタリアでのレースには出場しないことを表明していますし、チームイネオスやミッチェルトン・スコットは、3月22日までは全てのレースをキャンセルして出場はしないということを明らかにしました。
これも現状致し方ないのかなとは思いますが……
しかしながら、残念な思いも一方で存在するのは、いかにも否定できないところでもあります。

今年はなかなかに良いシーズンインになっていて、春のレースがどうなるのかにも大いに期待し、楽しみにしていたからこそ、そう思うのですが、さすがに新型のウイルスには勝てませんよね。
むしろパリ~ニースを開催したことによって選手達が感染したりする可能性を考えると、本当に開催していいのか、という気持ち、選手が感染したりしなければいいのだけれど、という気持ちの方が、強いかもしれません。


公式サイトはこちらから

タグ :

劇場版「SHIROBAKO」

 2020-03-01
2014年から2015年にかけて放送された全2クールの作品、『SHIROBAKO』 の新作劇場版の公開が始まりましたね。
ちょうど新型コロナ対策で様々な施設の休館、ライブの中止などが報じられているところでの封切りとなったのは、作品にとってはマイナスでしたけれど、私の行った回は、客の入りはそこそこ。
皆、この作品を劇場で観たい、という思いを強く抱いていたようです。

で、前置きはさておいて、劇場版『SHIROBAKO』の感想です。
公開したばかりの映画のストーリーを具体的に書いてしまうのは興醒めですけれど、下の予告編で分かるくらいのことは、ある程度書いても構わないでしょう。
今回の劇場版は、TVシリーズの4年後、主人公の属する武蔵野アニメーション、通称ムサニが、自社制作作品の制作中止により多額の負債を抱え、社長が引責辞任、多くのスタッフが他社に移ったり独立したりした後の、下請けスタジオとして細々と存続している状態から始まります。
つまり本作は、そのような状態から、主人公の宮森が、そしてムサニ(旧ムサニ)の面々や関係者たちが、どのように立ち上がっていくのかを描いているのです。

夢を仕事にすることの重さ、夢は夢のままにしておけば苦しい現実など知らずに済んだのではないかということ、そしてそれでも尚、夢を追うことを捨てられないこと、夢を追おうとすることの意味、動機。
自分のあこがれや夢を職業にできた人の中でも、それを明確に自覚できている人は世の中にそんなに多くないのではないかとも思うのですが……
新人から中堅になっていくにつれて、当然ながら周囲から求められることはレベルアップしていくものですけれど、そのことと、自分がそれに応えられるかどうかは別問題ですよね。
これはアニメ業界に限らず、どの仕事でもあることです。
宮森達がそれにどう向き合い、抗い、前に進んでいくのか、劇場版『SHIROBAKO』とは、つまりそういう作品だったのかなというのが、現時点での私の感想。
今後、Blu-ray が発売されて、それを何度か観返していくうちに、また別の感想も出てくるかもしれませんけれど。

一言でいうならば、いい映画でした。
『SHIROBAKO』 でオリジナルの新作劇場版を作ると聞いて、どういうものになるかと抱いていた期待は裏切られず、望んでいたもの、あるいは望んでいたもの以上のものを見せてもらったという感じです。


公式サイトは こちら から

タグ :
≪ トップページへこのページの先頭へ  ≫