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「機巧のイヴ 帝都浪漫篇」

 2020-02-08
シリーズの3冊目である、乾緑郎の『機巧のイヴ 帝都浪漫篇』を読了。
まずは、公式の粗筋を引用してみましょう。

浪漫とモダニズムの花咲く1918年。美しき機巧人形・伊武は、女学校の友人・ナオミとともに訪れた猫地蔵坂ホテルで、ある男と運命の出会いを果たす。恋の始まりを予感したそのとき、幸せな日常を引き裂く大震災が襲う。時代の波に翻弄され、廻り出す運命の歯車。そして物語は、大陸の新国家・如洲へ――。心を持たない人形が問いかける、愛とは、そして魂とは。日本SF小説史に残る圧倒的傑作。


この手のものの常として、それってちょっと言い過ぎなのではないのか、というような礼賛がされています。
とはいえ、粗筋を作っている編集者の側からすれば、それで1冊でも多く本が売れるのであれば多少の誇張はするでしょうし、それは当然だなとも思います。
けれども、(今回の『機巧のイヴ 帝都浪漫篇』がそうなっているかどうかはともかくとして)時々、これはさすがに石を投げつけられても文句を言えないレベルかもしれないと思えるものもありますよね、実際のところ。

と、まぁ、そんな余談はさておいて、本作を読んでの感想です。
関東大震災、甘粕事件、満州国建国といったことを架空世界に引き込んで、機巧人形である伊武の物語に絡めているストーリーは、事前に期待していたものを上回るほどの内容であったとまでは言いませんけれど、かなり面白くて、450ページ越えというボリュームを一気に読ませてもらいました。
前作から登場しているキャラクターも、今作で登場したキャラクターも、どちらもいい存在感を出していて、さすがだな、というところ。

解説の大森望も書いていますけれど、どうやら伊武を巡る物語は全3部作として、今回の『帝都浪漫篇』で完結となる模様です。
残念か残念でないかで言えば残念という気持ちもありますが……
しかし、あんまりダラダラと続けても作品の質を落とすだけですし、物語のまとまりとしても、ここで終わっておくというのは、そんなに悪いことではないと思います。

第二次大戦下の伊武や、終戦後の焼け野原と化した国土と伊武というものも読んでみたかった気もしますけれども、それは私の妄想レベルに留めておくことにしましょう。




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