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「目を見て話せない」

 2020-01-18
文庫化を待とうかとも一瞬思ったのですが、概要を見てこれは早めに読みたいなという気持ちになってきてしまったので、似鳥鶏の『目を見て話せない』を購入。
そうやって私を動かした、本作の粗筋は、こんな感じです。

コミュニケーション下手でも、名探偵になりたい。千葉の房総大学の新入生・藤村京は入学早々、友達づくりに乗り遅れ、愕然としていた。自らの<コミュ障>ぶりを嘆いていると、教室に高級な傘の忘れ物を発見する。他人と会話をするのが苦手な藤村は、推理だけで傘の持ち主を特定しようとするが!?セレクトショップの試着室から消える女子大生の謎、カラオケルームで起きた泥酔事件の真相、大学内外で起きる事件をひとつづつ会計していくにつれ、藤村の周りは少しずつ賑やかになっていって――。共感度バツグン。大学生たちの青春日常ミステリ!


という、帯に印刷されていたこの文章のどこに興味を覚えたのかというと、それはズバリ、主人公がコミュ障だというところ。
まぁ要するに、そこにちょっとした共感を覚えて、似鳥鶏がそれをどのように描写しているのかというところに興味が出たのです。

こういうことを知人に言うと、「お前はコミュ障には見えない」と言ってくれる人も多々いるのですけれども、いやいや、私、大概どうかしているコミュ障ですよ。
本作の主人公のような、人と話すことがそもそも出来ないというようなタイプではありませんけれども、主人公の友人の里中から、他人に簡単に声を掛けられるスキルを外して、加越さん的な強情さを若干加味すれば、自分と似たようなものができあがるのかな、という気がします。
こういうのの程度は人それぞれなので、その強度によって、一見したところ他人とのコミュニケートがちゃんと取れているようにも思える人から、誰かと会話をしている姿が想像もできないというような人まで様々でしょうけれど、私は、傍から見たらどれくらいなのでしょうね。
こういうのは自分自身では分からないところも多いので、そこの判断はできていません。
それに、それが分かるようならば、そもそも私はもっと上手く、色々とコミュニケートが取れているはずですから。

ともあれ、そんなこんなで読み始めた本作。主人公達への共感とか、そういうのは抜きにしても、日常の謎系の青春ミステリーとして、面白いものでした。
きれいごとだけではなく、醜さとか負の勘定とかもきちんと描くところとか、ラストに向けてしっかりとした盛り上がりを作ってくるところは、さすが似鳥鶏。
また、随所に脚注が入ってセルフ突っ込みその他をかましてくるところもいつも通りで、あとがきのバカ話も含めて、すっかり楽しませてもらいました。

いい作品ですね、本作。
結構お勧めです。



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