「ビビビ・ビ・バップ」

 2017-10-28
奥泉光の 『ビビビ・ビ・バップ』 は、「本館」の「読む」でも紹介している 『鳥類学者のファンタジア』 主人公である池永霧子(本名は 希梨子)の曾孫であり、同じくフォギーという芸名を名乗ってジャズピアニストとして活動している木戸桐が主人公の、660ページというボリュームを誇るSF作品。
なるべく軽い紙を使おうとしたのでしょう、そのページ数に比して手に持った感じはまるで重くないのですけれども、見た目のインパクトはかなりのもの。
「これ、人を殺せるんじゃないの」というくらい、鈍器として色々とつかえてしまいそうな見た目の1冊です。

とはいえ、装丁のデザイン、表紙のイラストはキャッチーでポップな、なかなかにハイセンス。
私はジャズにはそこまで詳しくないので気が付かなかったのですが、どうやら、作中でも重要な位置を占めるロサンゼルス生まれのバスクラリネット、アルト・サックス、フルート奏者、エリック・ドルフィーの、亡くなる直前に行われたライブの様子を収めたライブアルバム、『Last Date』のジャケット写真のパロディーになっているようです。

これがどういう作品なのかを簡単に説明しようとすると難しいのですが、とりあえず、帯にある惹句を引用すると……
「人類を救うのはアンドロイドの子猫!?女性ジャズピアニストが世界的ロボット研究者から受けた奇妙な依頼。それが人類の運命をゆるがす事件の始まりだった。AI技術による人間観の変容を通奏低音に、稀代の語り手が軽やかに壮大に奏でる近未来エンタテインメント小説!」
「電脳空間(サイバースペース)の架空墓(ヴァーチャルトゥーム)、デジタル人格としての永遠の生命、密室殺害事件、天才工学美少女、機械分身(メカニカルアヴァター)、電脳ウイルス大感染(コンピューターウイルスパンデミック)……21世紀末の超知能社会を奥泉光が描く!」
と、なります。

つまるところ、アンドロイドやAI、人の記憶パターンや人格をコピーして電脳世界に再現するデジタルツインズ等の題材を使って、ネットを介して繋がる電脳スペースに社会のかなりの部分を依存してしまっている人類を襲う大災害を描いている作品、と言えば分かりやすいでしょうか。
かなりスケールの大きな話で、かつ、この物理的な厚さですから、仮にこれを読むのは大変そうだなと、店で実物を目にしたならば思うかもしれませんけれど、そういう心配は、あまりしなくていいでしょう。
本作、実は、かなり読みやすいのです。
その読みやすさの一番の原因は、本作における奥泉光の文体。とにかく饒舌で、軽快なテイストが持ち味で、それは彼の他作品でも感じていたことではあるのですが、今回は特にそれがハマっていると感じました。
また、扱っているテーマの深刻さに対して物語は基本的にドタバタコメディー的な色味が強くて、それもあるから、必要以上にシリアスになることなく気楽に読めるようになっている、とも言えるでしょう。

主人公の関連性も含め、本作は、おそらく『鳥類学者のファンタジア』の続編という扱いにしても差し支えないのでないか、と思います。
いい作品でした。



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ジャパンカップ クリテリウム 2017

 2017-10-23
栃木県の宇都宮市で毎年この時期に行われているのが、日本でも有数のビッグレースの1つである、ジャパンカップ。
今年も、先の週末、21日、22日に開催されました。
全部で2日ある日程の初日は、宇都宮市内の目抜き通りに交通規制をして、多くの観客が簡単に観戦できる環境でのクリテリウムレースが行われます。

毎年書いているので今さらと思うかもしれませんが、「クリテリウム」とは何だという人がいらっしゃるかもしれないので簡単に説明をさせていただくと、要するに一周が数キロメートルという短い距離で設定されたコースを使った、周回レースになります。
この大会のコースは1周が2.25キロメートル。
2周のパレードランを含めると、そこを全部で17周するので、総距離は38.25キロという計算になりますね。

何といっても、9月のブエルタ・ア・エスパーニャで現役を引退したアルベルト・コンタドールが、この今年のこのレースにはゲストで参加しているというのが一番の話題です。
彼は小柄なクライマーでスプリンターではないですから、このレースで結果を出そうとしての参加というわけではありませんが、コンタドールは日本にもファンが多い選手であり、今回の出場はそんなファンへの挨拶という意味もあってのことでしょうから、それはそれです。
それに、トレック・セガフレードの一員としての参加ということは、クリテリウムの3連覇を狙っている別府史之のアシストをコンタドールがするということにもなるわけで、それは、かなり興奮させられます。

さて、生憎の雨の中、滑りやすい路面で行われたレースは、最終スプリント直前で起きた落車で集団が割れる展開に。
そこを上手く抜け出してリードすることができた、NIPPOヴィーニファンティーニのエース、マルコ・カノラがロングスプリントを成功させて優勝となりました。

別府史之は、落車の影響で勝負に絡むことはできませんでしたが、レースを通じて終始集団のコントロールをしていたトレック・セガフレードの、その先頭をコンタドールが引いている姿などを見ることができたのは、嬉しかったですね。
土日は毎週、色々と用事が入ってしまっている状態なので、今年も生で観戦しに行くことはできませんでしたが……
いいレースだった、と言えるのではないでしょうか。


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期日前投票

 2017-10-22
本日は何かと用事が入っている為、昨日の朝に目が覚めたところで、期日前投票をしに市役所まで行ってきました。
「朝イチ」といっても、何気に前日までの疲れが蓄積していたので、起きたのが10時くらいだったから、そんなに朝早くというわけではないのですが。

アパートから市役所までは徒歩で10分くらい。
雨も降っていますから、ゆっくり、のんびりと歩いて到着してみたら、そこには結構な列ができていました。
実は期日前投票に行ったのは今回が生まれて初めてだったので、大体こういうものなのかなぁと一瞬思ってしまったのですが、考えてみれば、これは、投票日当日が台風の接近してくることが予想されるということで、それを避けて期日前投票をしようと考えた人が多かったというのが、真実でしょう。

結果、到着から実際に投票をするまで、30分位列に並ぶことになったのですが……
表に出てみると、私が到着した時には庁舎内の階段で終わっていた行列が、そのまま庁舎を飛び出して、さらに数100メートル伸びていました。

ある程度の台数が収容できるはずの駐車場も、すっかりそのキャパを溢れてしまい、表の道には、期日前投票をしに来た乗用車が長蛇の列を作っていました。
つまり、「期日前投票渋滞」とでも言うべき光景が、そこに生まれていたわけですね。

そこまで有権者意識が高いのか!!
と思いつつも、気になるのは、やはりそこに集まってきた人たちの平均年齢。
今回の選挙は、18歳選挙権が実現されているわけですけれども、さすがに、台風を気にした期日前投票には、さすがにそういう年齢層は来ていませんでした。
これで、雨風が強まってくるであろう明日に、そういう人らが投票に来るかどうか。

今回の選挙、投票率と年齢構成はどうなったのか、興味深いところです。


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「黄昏のブッシャリオン」

 2017-10-21
光背を背負った仏像の形をしている巨大なロボットが格闘技的な構えをしている表紙からして、どこからどう見てもネタ小説のような見かけをしているのが、碌星らせん の『黄昏のブッシャリオン』。

本作の始まるのは未来の関東、おそらくは現在の東京西部、、立川辺りです。
石油等の化石燃料、あるいは原子力、太陽光や風力等の自然エネルギー、そういった物理的なものに頼るのではなく、人の精神の力、その中でも人の「善行」を源とし、衆生が功徳を重ねることでその獲得エネルギーが増加していく「徳エネルギー」が発見された。
さらに、高められた徳の力がマニ車を回すことで永久的にエネルギーを得ることができる機関、徳エネルギーを通常の動力に変換するマニタービン(あるいは徳ジェネレーター)が発明されたことで、そんな無尽蔵の永久機関の開発によるエネルギー革命で平和に包まれた黄金期を迎えながらも、その理想社会を「徳カリプス」と呼ばれる大災害が襲い、人類社会が崩壊してしまう事態になった、というのが本作の基本設定です。

「徳カリプス」、それを少し具体的に説明するならば……
余りに大量の徳がポテンシャルとして蓄積されたことが原因なのか、予想されざる徳雪崩が起きて人々に強制成仏、連鎖的集団解脱現象が発生してしまっというものになります。
そのような黄昏の時代では、本来は人類へ奉仕し、その最大幸福を求めるべく作られた機械知性達が、人の幸福は功徳を高めて解脱することにあるという判断のもとに人々を強制解脱させようと襲ってくるようになっています。
この、荒廃した世界を舞台に、物語が始まります。

以上のような、悪ノリと冗談で作られたとしか思えないような設定の上で描かれるストーリーは、しかし、実はかなりハードでシリアスなディストピアSFだったりするところが、本作のいいところではないでしょうか。
「サイバーパンク」、「スチームパンク」というのは、それぞれSFのジャンルの1つですが、作者は本作について、「徳パンク」を自称しています。
採掘屋たるガンジーとクウカイの2人が、徳エネルギーを求める採掘活動の中で、肉体を舎利バネスティックによって強化した女性、舎利ボーグのノイラ等と出会う、何気に深いテーマを内包した物語は、この1冊ではまだまだ序盤もいいところまでで終わり。
ここから彼ら、彼女らがどうなっていくのか、大いにわくわくさせられてしまいました。と、いったところで、引き続き続巻が出ることを期待しつつ、今回の紹介文はこれまでとしておきましょう。
基本設定の特異さばかり説明している気がしないでもないものの、そこに興味を抱いて本作に手を出してみようと考える人が増えるのであれば、それはそれでいいかな、と。
実際に読んでもらえれば、本作のガチさは伝わると思いますし。



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今期開始アニメ 雑感 その2

 2017-10-19
今期開始アニメの雑感、その第2弾です。
今期はなかなかに良さそうなタイトルが多くて、フォローして行くことが大変になりそうだと考えるとちょっと困ってしまうのですが、まぁ、それは嬉しい悲鳴というものですね。

1) 宝石の国

以前から原作は気になっていたものの、何となく、一度も読んだことのないままに来てしまっていたので、今回のアニメ化は、『宝石の国』という物語を知るには、いいチャンスなのかなと思って、第1話を録画していました。
それを観ていて思ったのですが、この作品、全体的な雰囲気からそこはかとなく萩尾望都の空気を感じるような……
私の勘違いかも知れませんし、あるいは本当に原作者か主要スタッフの誰かがファンなのかもしれませんけれど、ともあれ、わりと最初の辺りでそのように感じてからは、何だかそういう風にしか思えなくなった、というのは、本筋とは関係ないかもしれませんけれど、本作の第1話について私が一番強く印象に残っていること。
CGの使い方は、前回紹介した 「Infini-T Force」 に比べると、しっくり来ていた、かな。
物語的には、まだ何がどうなるのか分からないので、しばらく視聴継続のつもりです。

2) 魔法使いの嫁

EDが、小峰公子作詞、吉良知彦作曲、吉良知彦・上野洋子編曲という楽曲だった、ということが、まず一番のトピック。
その上で、このアニメ化なのですけれども、原作の持っている静謐でダークな雰囲気を、上手く映像に落とし込めているのではないかと思いました。
これは、制作サイドもかなり気合が入っていますね。
作画にしろ演出にしろ、やり過ぎるくらいに丁寧にやらないと、すぐに折角もともと物語が持っている雰囲気を台無しにしてしまいかねないわけですが、そういう意味でも、このままのテイストで、最後まで作りきってほしいものです。
2クールの放送だというのは、じっくりと描くことができるだろうという点では良いのですが、それが制作サイドに負担になってクオリティーが落ちてしまうのだけは避けて欲しいので、ちょっと戦々恐々としながら、毎週の放送を追いかけていきたいと思います。

3) クジラの子らは砂上に歌う

こちらも、非常に美しい美術で魅せてくれる第1話でした。
物語の方は、この段階ではまだ何がどうなるのか分からないのでコメントしにくいところですが……
まぁ、色々とこの手の作品のお約束をきっちりと守ったモノになりそうで、鉄板である、ベタであることは悪いことではないですし、このビジュアルでそれを徹底してくれるのであれば、なかなかの作品となってくれそうだなと思っています。
原作マンガはそれなりに人気もあるようですし、それが裏切られることは無い、と思います。きっと、多分。
ただ、原作が終わっていないという、最近の原作モノアニメによくあるパターンを踏襲していますから、きっと、物語は中途半端なところで終わってしまうのだろうなと思うと、それは何だかなぁ、という気分にもなってしまうのは否めません。
そこをあまり気にせずに、とりあえず画を楽しんでいればいいのかもしれませんけど。

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今期開始アニメ 雑感 その1

 2017-10-18
番組改編期のお約束として、ここまでで視聴した新番組の第1話について、その感想を、いつものように簡単に記してみようと思います。
そしてこれもいつもと同様に、その掲載順は、Blu-ray レコーダーに録画していたものを私が観た順番に過ぎず、そこにとりたてて他意はない、ということは、お断りしておきます。

1) Infini-T Force

ひところに比べると、フルCGアニメに対する拒否感は今ではほぼ無くなったかなと思っているのですが、本作については、特に戦闘シーン以外の部分で色々と違和感を多く覚えてしまいました。
特に本作の場合は、キャラクターの投信と動きと表情と、その全てが、アニメーションとして捉えるには、ちょっと微妙に「こういうのは求めていないな」と感じられてしまい、もちろん人によって感じ方はそれぞれでありましょうが、私にとっては、何とも居心地の悪い印象は拭い去れなかったというところです。
あと、ヒロインの家の設定……スクランブル交差点の横切り方からすると、渋谷区の南平台辺りの高級住宅地辺りをイメージしているのかもしれませんが、いくらなんでも、あんな部屋、テラスはあり得ないでしょう。
そういうところにケチをつけるのは野暮かもしれませんけれど、あれはさすがに、あり得なさすぎです。

2) 十二大戦

典型的なバトルロワイアルものですよね。
ミュータントじみた外見とか、なんで快楽殺人者みたいな奴ばかりなのかとか、そういうところを気にしたら負け、というタイプの作品でしょう。
1クールものでしょうし、勢いで突っ走りきれればそれでいい、という考え方が正解なような気がします。
その方向性であれば、どれだけぶっ飛んだモノを作るかで勝負が左右されるようなところも出てきますから、まずはお手並み拝見という感じで、しばらくは視聴を続けます。

3) Just Because!

青春アニメ枠の新作として、なかなか期待できそうな導入部でした。
自分が過去に実際に送った高校生活と比べると何だか悲しくなってきてしまいそうですが、それはさておき、キャラの配置も悪くないですし、出だしとしては実にいい感じだったのではないでしょうか。
こういう作品に私が期待するのは、爽やかさとか、もどかしさとか、むずむず来る小っ恥ずかしさとか、ちょっとしたドキドキとか、胸を締め付けられるような感じとか、そういった感情を持たせてくれるような展開なのですけれど、その辺、本作はしっかりと堪能させてくれそうです。
いかにもアニメです、というような設定もありますが、基本的に、落ち着いた感じの、淡々としたトーンで進められていたのも、好印象でした。
放送開始アニメの一覧を観ながら、どれをチェックしようかと検討していた時に想像していたレベルの数倍、いい感じにできていた1話でしたので、これは化けてくれるのではないかと、楽しみにしています。

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「エルネスト」

 2017-10-15
今年はエルネスト・ゲバラの没後50年だそうです。

誰だそれ、と思った方もいるかもしれないので、説明すると……
チェ・ゲバラという呼び方の方がよく知られている、、あのゲバラです。
アルゼンチンで生まれ、キューバ革命で名を知られ、その後はアフリカのコンゴ、中米のボリビア等で革命活動を行うものの、ボリビア政府軍に襲撃され最後は銃殺ということになった男。
その共産主義思想に共鳴してはいないのでしょうが、彼の肖像がデザインされたTシャツなどの衣類をファッションとして着用している人を、よく見かけますよね。

そんな年に、日本とキューバの合作作品として公開されることになった映画が、『エルネスト』。
このタイトルだけ見るとゲバラのことを描く映画なのかと思ってしまいますよね。
しかし、実際はそうではありません。
これは、ボリビア革命でゲバラと共にあった日系人のフレディー前村を主人公にして、そのキューバでの医大生時代の日々を描く、まさしく青春映画と言える作品になっていました。

なお、事前の宣伝活動だと、キューバ革命かボリビア革命の闘いの日々でも描いている映画なのではないかとついつい思ってしまうのですけれども、それは間違い。
実際には、東西冷戦下で緊張の高まる中南米で、ハバナの医科大学に留学したボリビアの若者が、仲間だったり好きな女性だったりと過ごす日々にフォーカスした物語です。
つまり、あの宣伝方針は誤解を生むだけで失敗なのではないかと思ってしまいます。
逆効果なんじゃないかな、あれ。

後は、全体的な物語のバランスがちょっと微妙なのも、問題です。
例えば、プロローグとエピローグの広島でのシーンが本筋と今一つ融合できていないで浮いていたり、物語にメリハリが欠けていたりしたのは残念で、そういうところが無ければもっと面白かったのに、青春モノとしていい感じな要素はあるのだから、そこが上手くできていればな、というのは、かなり残念でした。

主演のオダギリジョーの熱演は素晴らしいですし、ハバナの映像は美しかったのですけれど、総じて「惜しいな」としか言えない作品だったかと。


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「スーパーカブ」第2巻

 2017-10-14
ちょっと前に紹介した第1巻同様、ホンダ・スーパーカブ総生産1億台記念作という文字が帯に掲げられている、トネ・コーケンの『スーパー・カブ』第2巻。

非常に短い章を重ねて行くという構成は変わらず、例えばこの第2巻はおよそ250ページに44の章立てとなっていますので、平均すると1つ辺り5.6ページという計算になります。
もっとも、各章は完全に独立したエピソードになっているわけではなくて、わりと連続した内容になっていますし、この第2巻全体を通じて大きな1つのエピソードだとも言える構造ですから、単純にショートショート集と考えるのは間違いでしょう。
その一方で、短いエピソードの積み重ねであることから、ストーリーにしろキャラクターにしろ、色々と深く掘り下げるようなことはされていません。
この辺りは、何に重きを置いている作品なのかということなので、このスタイルが合うか合わないか、読む側の好みの問題になると思います。

主人公である天涯孤独の女子高生、小熊がカブに出会い、自分の世界が広がっていくことを感じるという成長譚だった第1巻。
その延長であるこの第2巻は、山梨県の北杜市、韮崎市、甲府市という地域で、株に寄って繋がっている2人の女子高生の、真冬のカブライフ+アルファ、という感じの内容で、今回も楽しませてもらいました。
なお、新キャラがいることが良い方向に働いたかどうかは……これだけでは、何とも判断しかねるところです。
シリーズ3冊目でも出れば、そこははっきりしてくるでしょう。

ちなみに、角川の小説投稿サイトカクヨムで以前に発表されていた第2章は「大学生編」とタイトルを変え、その前に、今回のこれが「第2章」として入ることになった模様。
そして、現在は、高校時代の第3章が、発表され始めています。
今回の売れ行きが良ければ、そちらも文庫化されるだろうと思われますし、ちょっとワクワクしながら待ちたいと思います。



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パリ~トゥール2017 は トレンティン

 2017-10-11
本場ヨーロッパにおける自転車ロードレース、ワンデイクラシックの最後を飾るのが、史上3番目に古い歴史を誇る伝統のレース、パリの近郊から古城で知られるロワール川沿いにトゥールの町中まで走る、パリ~トゥールです。

競技場等で行われる競技ではなく、街から街へと一般道を走るロードレース。
ですので、完全に平坦なコースは現実問題としてあり得ないわけですが、それでもそのコース特性故に「ド平坦」と言っていいくらいにアップダウンが少ないが故に、スプリンターが大活躍をする傾向が強く、スプリンターズクラシックとも呼ばれるこのレース。
つまり、アタックからの逃げ切りか、さもなくばゴール前の集団スプリントで勝負が決まることが多いのです。

さて、そんなパリ~トゥールの今年のレースは一体どのような感じになったのかというと……
今年は、ゴール少し手前で連続する丘で集団から抜け出した少数の選手による逃げ切りパターンとなりました。
勝負を制したのは一昨年のチャンピオンである、クイックステップ・フロアーズのマッテオ・トレンティン。
本来クイックステップ・フロアーズにおいてこのレースのエースとして出走した昨年勝者のフェルナンド・ガビリアが、途中の落車で遅れてしまったのですが、それを受けた作戦変更がズバリ的中した感じです。
といっても、その場で急遽作戦変更をしたというのではなく、おそらくガリビアにトラブルがあった時の、「こうなったらこうする」という対応策はレース前ミーティングで確認していたはず。
つまりクイックステップ・フロアーズは今回も、(ベストでは無かったにせよ)作戦を的中させて結果を手にし、最強の曲者集団の二つ名通りの走りをしたというわけですね。


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お台場の一角獣

 2017-10-09
ちょっとここに書くのが遅くなりましたが、今月頭の10月1日は雲の無い晴天でしたので、その好天に誘われてふらふらとアパートから、港区のお台場まで出かけてきました。
目的は、その前の週から公開されたユニコーンガンダム。
以前は、ファーストガンダムの実物大像が展示されていた、Diver City TOKYO 前の広場に新たに設置された、アレです。

全身が映っているものと顔がアップになったもの、それと、角度を変えたものを2枚の、計6枚の画像を貼ります。
話題の変形は、さすがに実物大で据え置きという性格上、設定どおりの完全変形とは行かないわけですけれども、それでも最低限のツボは押さえている、という感じ。

ガンプラ世代の私は、もともとこういうのにはひどく弱いのですけれども……
そうでない人でも十分以上に楽しめると思いますので、もしもお台場に行く用事があるという場合には、是非、ユニコーン実物大立像を見物してみることをお勧めいたします。
そして時間が合えば、デストロイモードへの変形も。

正直、ファーストガンダムの後はユニコーンの実物大がお台場に設置される、と聞いた時には、何でユニコーンなのか釈然としないものを感じたりもしましたが、こうして実物を目にすると、うん、やっぱり、格好いいですね。
白い機体が、青空に良く映えています。



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「横浜駅SF 全国版」

 2017-10-07
今年の5月末に「本館」の「読む」に掲載した作品の続編である、柞刈湯葉の『横浜駅SF 全国版』を読了。

続編、という扱いで紹介しましたが、実際的には外伝集というか、サブエピソード集といった方がいいかもしれないような内容になっています。
ここに収録されているのは、「瀬戸内・京都編」「群馬編」「熊本編」「岩手編」の4編で、その全編を貫く軸になるものが「プロローグ」で語られていますので、言い方としては、連作短編、と呼ぶのが正しい、かな。
第1作に出てきたキャラクターも登場して、そこでは触れられなかった謎の部分への言及もありますから、そういう意味では「続編」というのも間違いではありません。
更に、この「全国版」を読んだことで新たに生じる疑問などもあったりするので、これは、作者には是非、『横浜駅SF』を、最低でも、もう1冊は書いてほしいものです。

世界観のイメージは、相変わらず秀逸ですし、田中達之のイラストも作品の雰囲気にはピタリとハマっています。
どこかアイロニカルな文体は、本作には合っているということもあって、今回も非常に楽しく読ませていただきました。

無限に自己増殖を続ける横浜駅が本州のほぼ全てを覆い尽くして「横浜駅化」しており、北海道、四国、九州が横浜駅の侵入を防ぐべく抗戦を続けている、という本作の世界観。
これは、横浜駅が開業以来常にどこかしら工事が行われていることから、永遠に完成しない駅として「日本のサグラダファミリア」とも呼ばれている(工事が始まったのはサグラダファミリアよりも横浜駅の方が先だから、あちらを「スペインの横浜駅」と呼ぶべきだという主張もあり)事実を知っていると、余計に、ネタ小説としか思えなかったりもするくらいです。
しかし、小ネタの仕込まれたディティールが、冗談で終わらずに設定からしっかりと作り込まれていることが分かってくるにつれて、おお、これは意外としっかりと「SF」をやっているではないか、と唸らされるようになってくるのが、本作のいいところ。

どうせ一発ネタのウケ狙いなんだろうと決めつけたりせずに、是非一度、手にとってお読みいただくことを、お勧めします。


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今季終了アニメ 雑感 その2

 2017-10-03
この改変期で放送が終了したアニメの雑感を前回書いた時に、まだ最終回が放送されていなかったが為にリストから漏れた作品に付いて、今回は書いてみたいと思います。

「メイドインアビス」です。

率直に言って、昨今の色々と厳しいアニメ制作環境の中にあって、これは、まるで奇跡のように色々なことが最高レベルでまとまった、名作でした。
第1話のオープニングからして、キャラデザイン、背景、作画、そして音楽と、全ての要素が綺麗に融和して美しい画像を作り出していたのですが、全13話、そのクオリティーを保って走り抜けてくるとは、さすがに思っていませんでした。
つまり、どうせどこかで息切れするだろう、レベルが落ちる回が来るだろう、と考えていたのです。
現在の、業界状況を思えば、それも無理のないことではないでしょうか。
しかし、「メイドインアビス」は、そうならなかった。
これに関しては、常々1クールものが増えすぎていてじっくりと展開を見せる作品が無いと不平不満を漏らしている私としても、この作品が1クールものであったからこそ、ここまで全力を投入して制作することができたのだろうな、これはこの形で正解だな、と思わされました。
原作もまだ終わっていない以上、オリジナルな展開をさせない限りは、物語が途中で終わらざるを得ないわけですけれど、そこで、変なことをせずに、終わらないなら終わらないで、どう切り取るのが最適かということを追及したのだろうなという構成も、良かったです。
特に、2話分を費やして描かれた最終第13話は、素晴らしい内容でした。

良いものを見させてもらいました。
日本のTVアニメーションも、まだまだ終わっていないなと、そんなことを感じさせてくれた作品の1つになったと思います。
これ、第2期もやらないかな……?


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「ドリーム」

 2017-10-01
10月から色々と忙しくなることが確定的なので、その前の最後のお楽しみということで、かなり突然に思い立って、この週末に公開が始まった映画 『ドリーム』 を観てきました。

アメリカがソビエト連邦と熾烈な宇宙開発競争を繰り広げていた時代に、人類初の人工衛星であるスプートニク、そして初の有人宇宙飛行であるガガーリンのボストークといったソ連の成果に焦りを深める NASA において、合衆国初の有人宇宙飛行計画であるマーキュリー計画の成功に貢献した3人の黒人女性のことを描いた作品ですね。
実話をもとにしたものであり、上記の宇宙開発競争もキモではあるのですが、あくまでそれは物語の背景であって、テーマは第1に黒人差別との戦い、そしてそれと比べるとかなり色彩は薄目ですが、男女差別との戦い、という感じでしょうか。

地味といえば地味な作品であり、全体的に、かなり淡々と進む印象なのですが、2時間を超す上映時間を全く退屈せずに観ていられたのは、やはりストーリーの良さと、役者陣の演技の良さがあったからだと思います。
私が観たのは字幕版ですが、これ、吹き替え版があるかどうかは知りませんけれど、下手な吹き替えを観るくらいなら、字幕版でもともとの役者の声の演技、息遣いなどを感じながら観た方が、絶対的に楽しめる作品ではないでしょうか。
チケット代の価値は十分以上にある、良い映画でした。
主役3人が最高にいいですし、ケビン・コスナーの局長は格好良いし、これは、円盤も買いたくなってしまうなぁ……

なお、この映画の原題は 『Hidden Figures』。
これに対する邦題として、最初に配給会社が設定したのが 『ドリーム 私たちのアポロ計画』 というもので、これが問題視されてトラブルになったことを覚えています。
要するに、本作が題材としているのはあくまで有人宇宙飛行を目指したマーキュリー計画であって、月面着陸を目標としたアポロ計画とは関係が無いじゃないかと批判を浴びたわけですけれど、結局、配給会社相手ではラチが明かないということで、制作会社に直接訴えかけて今の 『ドリーム』 に改題されることになったのではなかったかと記憶しています。
それだって、現代には一切そんな単語は入っていないわけですが、まぁ、ここは、宇宙に欠ける 「夢」、差別に負けずに実力を発揮して評価されるという 「夢」、そして公民権運動の中心的存在である マーティン・ルーサー・キング・ジュニア の有名な演説の一節 「I have a dream」とをかけたものなのでしょうから、そう考えれば、これは、そんなに悪いタイトルでは無いかもしれません。




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