「カミカゼの邦」

 2017-09-30
ライトノベルの分野で活動して20年、神野オキナが一般文芸で初めて発表した作品が、『カミカゼの邦』です。
彼がこれまでの作家生活で得たものを全て注ぎ込んで、作家活動を始める前から抱いていた様々な葛藤や怒りや戸惑いといったものを、血と謀略とバイオレンスと、そしてそれに添えられるエロスと背徳感とで彩って、エンターテインメントとして結実させた1作であり、(本人もコメントしているのですが)まさしく畢生の力作になります。

表紙の見返しにあるあらすじ紹介を、引用させていただいてみましょう。

「魚釣島に日章旗を立てた日本人を中国人民解放軍が拘束。それを機に海上自衛隊護衛艦と中国海軍が交戦状態に入った。在日アメリカ軍もこれに反応、沖縄を舞台に、ほぼ半年にわたって戦争状態が継続することとなった。米軍によって組織された民間の自警軍―琉球義勇軍に参加した沖縄生まれ沖縄育ちの渋谷賢雄は、自らの正体を率い、血で血を洗う激戦を生き抜く。そして、突然の終戦―。東京に居を移した賢雄の周辺を、不審な輩が跋扈し始める。暗躍する中国の非合法工作員<紙の虎>の正体と、その作戦実行部隊<紙の風>の目的は―?やがて賢雄のもとに、かつての個性的な部下たちが、再び集う。さらなる激しい戦いの火蓋が切られた―。」


これを見る限り、物語の前半が沖縄での戦闘、後半が東京での国際謀略アクションなのかなと思う人がいるかもしれませんが、実際のところは、沖縄パートは物語の序章のみ。
2段組で約440ページというボリュームの、60ページ程でしかありません。
むしろ、ここはその後の展開の為の仕込みに過ぎません。

本作は、実際、明日にも現実世界で起きてしまうかもしれない危機を描いていあるのですが、ここに見られる中国、アメリカ、韓国、日本、という国家間の対立と、神野オキナの生まれ育った沖縄の関係その他、本作の全てのページに渡って横溢しているルサンチマンは、義憤や公憤というよりは、冒頭にも書いたように、彼本人がずっと抱え続けていたものであり、この作品を、右寄りとか左寄りとか、思想的なことで判断しようとするのは、その意味でも、明らかに間違いでしょう。

本作は、あらゆる場面であっさりと、それも大量の死体が生み出されていきますし、作者の情念がドロドロと渦巻いてあちこちに牙をむき出していますエロスやバイオレンスに遠慮が無く、モラルは端から考慮されていません。
更に、登場人物が一部を除いてみんな壊れていて、正直、これを苦手だと感じる人は多かろうな、と思わないわけには行かない作品です。
その一方で、読書好きを名乗るのであれば、2017年はこれを読まなければ嘘だろうとも、思ったりしているのですけれど……。


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今季終了アニメ 雑感

 2017-09-29
9月も終わろうとしていますね。
ということは、つまり、番組の改編期になったということです。
試聴をしていたものがいくつか最終回を迎えましたので、例によって、その簡単な感想を掲載してみたいと思います。
なお、順番は、これもいつも通り、その最終回の視聴順です。

1) サクラダ・リセット

小説のアニメ化の難しさを、顕著に表した1作になったのではないでしょうか。
画的に派手なアクションがあるわけではなく、ロジカルな会話に緊迫感を持たせて物語を展開させていく本作のような小説の場合、視聴者にその面白さを上手く伝えることの難しさが露呈した、と言ってもいいかもしれません。
河野裕の作品は、実はきちんと読んでいるのは「階段島」シリーズだけなのですけれども、映像化は難しいタイプの作家なのではないかなというのが私の感じていることで、この『サクラダ・リセット』については、基本的なストーリーは面白そうに思えるのだけれど、放送を毎話欠かさずに観ていても、今一つよく分からない、という、何だか微妙な作品になってしまったな、というのが、結論です。
……惜しいなぁ。

2) Re:CREATORS

色々と詰めの甘さ、突っ込みどころのあるストーリーではありましたが、個人的には、結構好きな作品となりました。
エピローグで1話を使ってくれたのも、物語にいい余韻を持たせてくれましたし、登場キャラの今後について様々に想像(妄想?)する余地をもたらせてくれていた、いい最終回だったと思います。
「終わり良ければ全て良し」ではありませんけれども、ラストバトルに感じた違和感の部分も、このエピローグが全て払拭してくれたという印象です。
いい物語、いいアニメを観させてもらった、という感じでしょうか。

3) 異世界食堂

淡々と、最後まで淡々と終わった、徹頭徹尾淡々とした作品でした。
1つ1つのエピソードが短すぎて、断片的なストーリーというか、物語の「も」の字にもなっていない基本設定だけを色々と見せられたのではないか、という気もしないでもないのですが、それでも、何だか、何となく惹きつけられるものがあるアニメだったように思います。
当初、視聴を止めてしまおうかとも思ったくらいだったのに、結局、最終回まできっちりと観続けてしまったのは、そうさせるだけの魅力が本作にあったからに相違ないのですが、それを明確に「ここが素晴らしい」と説明するのは、何だか難しいかも。
とりあえず、原作、読んでみようかな……?

4) サクラクエスト

話の展開に多少の場当たり感があったのは残念ですが、まぁ、まずまずの出来だった、かな。
この部分はもうちょっとやりようがあったのではないか、とか、微妙な物足りなさの多い作品ではありましたけれども、2クール、それなりに楽しみつつ視聴させてもらいました。
キャラ造形が、それなりにツボにはまったのかなぁ。
例えば、会長なんかは、どちらかというと相当に嫌いなタイプなのですけれど、それでも、それを理由として試聴を切るまでには行かなかったし。
なお、ラストですけれど、由乃については、地元に帰るという形にした方が、物語の締めくくりとしては綺麗になったのではないか、と、個人的には思っています。
アレはアレで、お約束な終わり方ではありましたけれど……

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「怨讐星域Ⅲ 約束の地」

 2017-09-23
全3巻の作品の完結編となる、梶尾真治の『怨讐星域Ⅲ 約束の地』。

太陽フレアの異常膨張により焼き尽くされ、消滅してしまうことが分かった地球から、選ばれた一部の人間を乗せて脱出した世代間宇宙船ノアズ・アーク。
そのノアズ・アークと、ノアズ・アーク出航後に開発された星間転移技術を使って地球を脱出した、切り捨てられた人々。
5世代を重ねる程の年数を要して両者が、移住先である「約束の地」ニューエデンで再会するというのが、今回のストーリーのヤマ場です。

転移組が抱いている恒星間航行組への憎悪と恨みとで捻じれまくった感情が、ノアズ・アークからニューエデンに降下してくる人々を本当に惨殺してしまうのか。
それともそのような血まみれの再開は回避されるのか。
その結果がどうなるのかは、これから本作を読む人のお楽しみとして、ここでは触れないでおきますが、もしかしたら人によって、その内容に不満を抱かれるなんてこともあるかもしれません。
というのも、本作にはラストのカタルシス的なものがあまり無いから。
とはいえ、これは梶尾真治が物語の紡ぎ手として失敗したというようなことを意味しているのではなくて、要するに、作品の方向性がそもそもそういうところを向いていなかったということなのでしょう。

私がそう思うのは、シリーズ第1巻の後書きにおいて梶尾真治自身が、「年代記のようなものが書けないかな」と思って本作の連載(雑誌『SFマガジン』に不定期掲載)を始めた、と記しているから。
もちろんこれだけで断定するのは危険です。
それでも、SFで「年代記」、かつ、梶尾真治の発言ということからイメージされてきたのが、レイ・ブラッドベリの 『火星年代記』 だったんですよね。
で、ああいう作品に仕上げることができないかと模索をされたのであれば、おそらく、散りばめられた要素が最終巻で一気に集結されて一つの大きな物語を描き出す、というようなことは無いだろうなということは、そこから想像されていたという次第。

コアなSFファンだと技術的なところに突っ込みを入れたくなるかもしれませんが、本作が描こうとしているものが、そういうガチガチの技術的な設定を必要としていない、「様々なことが一変してしまった世界においても営まれる人の日常」というようなところにあるのだとすれば、それ等は些末なことだと言ってしまってもいいのかもしれません。
面白かったです。



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「交響詩篇 エウレカセブン ハイエボリューション1」

 2017-09-19
週末に公開が始まった映画、『交響詩篇 エウレカセブン ハイエボリューション1』を観てきました。
もともとのTVシリーズは2005年の4月から1年間放送されてたので、今から12年前のことになりますよね。
2009年に公開された、TV版の画像を再編集して全くのアナザーストーリーとして構成した、最初の劇場版、『交響詩篇 エウレカセブン ポケットは虹でいっぱい』 からでも、7年。
その間に、続編である『エウレカセブンAO』が2012年にTVシリーズとして放送されたりもしていますが、仮にそこからカウントを始めても、5年も経過しているわけです。

確かに、TVシリーズはすごく面白い、いい話の傑作ではありました。
とはいえ、このタイミングで、しかも3部作で、なぜ今、『交響詩篇 エウレカセブン』 の劇場版なのか、というのは、疑問があります。
また、4クール、全50話(ここでは敢えて「ニューオーダー」は含めないでおきます)もある物語を3本の劇場版にするのは、新作カットも多く加えるらしいとはいえ、さすがに、ただのダイジェスト版になってしまうのではないか、ということも、疑問です。

つまり、その疑問に対する答えを知りたいという気持ちと、懐かしさに誘われて、映画館へと足を運んだのです。

そしてエンドロールを迎えたわけなのですが……。
なる程。
制作側の思っていることとは違うかもしれませんけれども、完全に一見さんを切り捨てている作りの映画ですね、これは。
映画の構成は、前半が新作部分であり、物語の前段であった 「ファースト・サマー・オブ・ラブ」 の、圧倒的にぐりぐりと動き回る美しくも格好良い戦闘シーンで、後半は、主人公であるレントンが、どうしようもない「ガキ」の状態から、大人へと成長する階段を一歩上りだすところまでを描く、という感じ。
TVシリーズの前半部分を大胆にカット&アレンジして、映画を、「チャールズとレイとレントンの物語」としてまとめあげています。
こう来たか!という感じで、なかなかグッとくるものもあったのですが、それでも、これが、TVシリーズを観たことがないような人には、色々と、「何が何だかさっぱり分からない」というところばかりの、説明不足な作品であることは、残念ながら否めません。
もしかしたら、最初から、そういった説明をする気は無かったのかもしれませんが(それをやっていたら、冗長になる上、筋書きを読み上げるだけの映画になってしまいますし)。

「ちょっと、全面的に肯定することはできない作り方だけれども、個人的には結構好きな映画化」というのが、今の時点での、私の偽らざる感想です。
第2部以降も、必ず観よう、と心に誓うくらいに。

ただ、これ、世間的な評価は、かなり厳しくなるんじゃないかな……。
この構成で行こう、とGoサインを出した人は、自分のセンスが一般とはズレているということを真剣に考えた方がいいかも。いや、私は、こういうのも結構好きですけどね。
第2部以降の制作が凍結される、なんていうことにだけはならないよう、願っています。
第2部と第3部が、どのような物語になるのか、私が密かに期待しているように、「エウレカとレントンの物語」「アネモネとドミニクの物語」になるのかは分かりませんけれど、いいものを観させてくれるのではなかろうか、というこの期待感があるだけに、そこが、心配です。
スタッフロールの後に流れた予告は、あれは果たして冗談なのか、本気なのか……?



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読書の秋

 2017-09-17
前回紹介した『マツリカ・マトリョシカ』に加え、この週末にかけてまとめ買いした本が、下の写真。
……思いっきり趣味にはしてますが、そもそも自分の趣味では無い本まで買うようなことは(それが仕事上もしくは勉強上必要だというのでもない限り)絶対にやらないので、このような趣味的ラインナップになっているのは、むしろ私にとっては、それだけ「こいつは買いたいな」と思う本が多かったということであって、むしろ非常に幸せなことだと言えます。

ちなみに、これ等を買うのには万単位の費用がかかっていますけれど、それ以上の楽しみを与えてくれるのは確定的だと信頼している作家の作品ばかり(ただし、1つだけ、ちょっと毛色の違う、初めて読んでみるものがまじっていますが)です。
つまり、どこから見ても妥当な出費です。
どちらかというと、これ等の読書体験から得られるものを考えれば、いっそ安いくらいかもしれません。

まぁ、例によって、何を、いつ、どのタイミングで読むのかは、まったく未定なのですが……
あまり積読状態で放置することなく、サクッと読み進めていければ、いいなぁ。



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「マツリカ・マトリョシカ」

 2017-09-16
シリーズ3冊目にして、初の長編となったのが、これまでと少し肌合いを変えて本格推理に寄せてきた、相沢沙呼の『マツリカ・マトリョシカ』。

私があれこれ書くよりも、帯に描かれている粗筋を読んでいただいた方が分かりやすいかなと思ったので、少し長いのですが、引用させてもらいます。

「柴山祐希、高校2年生。彼は学校の近くにある廃墟ビルに棲んでいる、謎の美女・マツリカさんに命じられて、学校の怪談を調査している。ある日、偶然出会った1年生の女子から『開かずの間の胡蝶さん』の怪談を耳にする。2年前、密室状態の第一美術室で起きた、女の子が襲われるという事件。解決されないまま時が過ぎ、柴山の目の前で開かずの扉が開くことになったが、そこには制服を着せられたトルソーが、散らばる蝶の標本と共に転がっていた。現場が誰も出入りできない密室という状況で再び起きた事件。柴山が犯人と疑われる事態になってしまい……。彼はクラスメイトと共に、過去の密室と現在の密室の謎に挑む!!」


殺人は起きていませんが、密室、そして推理合戦という、実に「らしい」ミステリーであり、そしてなかなかに優れた青春小説でもあった本作。
これまでのシリーズ2冊と印象が結構変わっていますが、私としては、それも問題無し。

これを単体で読んでも楽しめるとは思うのですが、できればシリーズを最初から読んでいただいた方が、各キャラクターの関係とか、性格、背景などが分かるので、お薦めです。
ヘタレでありつつ、どこか芯のある主人公に感情移入できるかどうか、という点はあるでしょうし、その太腿へのこだわりの強さにドン引きすることもあるかもしれませんが、面白さは保証します。
今回はそれに加えて、女子制服のプリーツスカートに対するこだわりも明らかになりましたが、その辺がどういうことになっているのかは、読んでみてのお楽しみとしておきましょう。
それを「お楽しみ」と言っている時点で私もどうかしていると思われるかもしれませんが、実はこれ、物語上、意味のあることなのです。本作は推理要素が前面に出ているので、ミステリーのルール違反をしない為にも内容にはほとんど触れずに済ませますけれど、これは、かなり面白い1冊でした。

なお、タイトルには「マトリョシカ」と書かれていますが、これは、シリーズのタイトリングの都合によるものであり、本作において、マトリョシカは出てきません。
そこを期待している人が(そんな人がいるとして)、この感想を読んだ結果本作を手にして、「何だ、マトリョシカが出てこないじゃないか」とがっかりしてしまうと申し訳ないので、最後にその点をお断りさせていただきます。


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2017年のブエルタが終わりました。

 2017-09-12
2017年のブエルタ・ア・エスパーニャも、先週の日曜日に無事にマドリードのゴールまでたどり着きました。

今大会で総合優勝の赤いジャージ、マイヨ・ロホを獲得したのはチームスカイのクリストファー・フルーム。
7月に開催されたツール・ド・フランスに続いての、グラン・ツール2連続制覇になるわけですが、ブエルタの開催が9月になってから、この形でのダブル・ツールは史上初だとのこと。
同一年に2つのグラン・ツールで総合優勝するダブル・ツール自体が非常に希であり、最大級に難しいと言える中、特に厳しいとされる連続する大会でのダブル・ツールは、改めてフルームの強さ、スカイというチームの強さを見せつける結果となりました。

ちなみに、今回のブエルタを自身の引退レースに選んだトレック・セガフレードのアルベルト・コンタドールは、第3ステージで体調不良により3分以上もタイムを失ったものの、その後コンディションを戻してきてからは毎ステージ、チャンスを作り出して積極的な攻撃に終始し、果敢な攻めの走りを繰り返した結果、総合では5位になっています。
しかし、コンタド-ルについては、それよりなにより、前回のエントリでも書いた、第20ステージの超級山岳アングリル頂上ゴールステージでの走りに尽きるでしょう。
なお、今大会を通してのアグレッシブな走りの結果、コンタドールは総合敢闘賞を受賞しています。
これは、偉大なチャンピオンの引退に花を添える功労賞というようなものではなく、21ステージ3週間を通じての彼の走りが勝ち取った、妥当な、そして正当であって、彼以外の誰がこの賞を手に出来ようか、というような受賞だと言えます。

ポイント賞の緑色のジャージ、マイヨ・プントスは、第20ステージを終了した時点で3位につけていたクイックステップ・フロアーズのマッテオ・トレンティンが獲得に大いに意欲を示いたのですが、フルーム要するチームスカイが、トレンティンのポイント加算許すまじ、という感じで、クイックステップの動きに張り合おうという走りを見せました。
結果、この賞は最終ステージのゴールスプリントに参加して11位にすべりこんだフルームがトレンティンとわずか2ポイント差で手にしたのですけれど、おそらく自分がグラン・ツアーのポイント賞を獲得できる最初にして最後であろうチャンスが目の前にある以上、それに挑戦しないわけにはいかなかった、というフルームのコメントを聞くと、その気持も良く分かるので、これは仕方ないかな、と思います。
クイックステップ・フロアーズというチームで考えれば、トレンティンの4勝だけでなく、イヴ・ランパルトとジュリアン・アラフィリップがそれぞれステージを獲っているので、全21ステージで6勝という圧倒的な成績を残したわけで、ポイント賞は惜しかったけれど、大成功のブエルタだと言えるでしょう。

山岳賞の水玉ジャージ、マイヨ・モンターニャは、総合争いの選手達が山岳ステージの勝負で結果的にポイントを加算して追撃してくるのを、積極的に逃げを打つことでそれ以外の山岳ポイントを稼いで何とかかわしきった、キャノンデール・ドラパックのダヴィデ・ヴィレッラが、見事にその手にしています。

総合、ポイント、山岳の3賞の順位を足した数が一番小さい選手が獲得することになるコンビネーション賞は、毎年、総合首位の選手が結果的に獲るのですが、今年もそのパターンを踏襲する結果、つまりフルームが獲得することになりました。何しろ総合1位、ポイント1位、山岳3位ですから、これはもう、圧倒的です。

チームのセレクションから当初は漏れてしまったものの、チームメイトが直前に負傷してしまったことで、急きょメンバーに選ばれたロット・ソウダルのアダム・ハンセンは、今回も見事にブエルタを完走。
グラン・ツールの連続感想記録を19回に伸ばしています。これで、来年のジロにも出場して完走したら、いよいよ記録は20回という大台に乗るわけですが、さて、どうなるでしょう。


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コンタドール、有終の美を飾るステージ優勝!

 2017-09-10
先ほど終わった、ブエルタ・ア・エスパーニャの第20ステージ。
今大会限りの引退を表明している、トレック・セガフレードのアルベルト・コンタドールが、集団からのアタックを成功させ、単独の逃げで、見事に、有終の美を飾るステージ優勝を獲得しました!

これぞコンタ、という勝ち方で、もう、痺れまくってしまいました。
こういう姿を近年は観れていませんでしたから、コンタドールの衰えがそこに現れているようで、ちょっと辛かったのですけれど、今日のコンタドールは、素晴らしかった!!!

正直、興奮しまくっていて、今は、これ以上書けません。
コンタドールファンで良かった、そう確信させてくれた、一生涯忘れられないであろうステージでした。
……今夜、眠れるかな?




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「Little Witch Academia Chronicle」

 2017-09-10
今年の前半に放送されていたTVアニメ 『リトルウィッチアカデミア』 の公式資料本、『Little Witch Academia Chronicle』 が角川から発売になっています。
税抜で3,600円と、決して安くは無い値段ではありますけれども、これは、それに見合うだけの充実した内容の1冊ではないでしょうか。

設定資料集としては、それぞれの図版のサイズが小さくて、個人的な理想でいえば1枚の設定書につき1ページを割り当てて欲しかったので、その点ではマイナス評価もそれなりに付けざるを得ないのですが……
ただ、スタッフの証言だったりインタビューだったりといった、文字情報が、すごく豊富なんですよ。
その分、活字もかなり小さいので、人によっては「読みにくい」と文句を言いたくなるかもしれませんが、いやいや、そこがむしろ良いんじゃないですかねぇ!

あと、表紙を外した状態での、エンボス加工が何気に素晴らしい。
角川、かなり本気を出して作ってますよ、この本。


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「スーパーカブ」

 2017-09-09
1冊丸々、いかにスーパーカブが好きかという情熱がほとばしっているのが、トネ・コーケンの『スーパーカブ』。
物語は非常にシンプルなもので、山梨の北杜市で無利子の奨学金をもらいながら高校に通う一人ぼっちの少女、小熊を主人公にして、何に対しても欲の無かった彼女がある日、中古のスーパーカブに出会うことで、その世界が開けて行く様を描く、というもの。

非常に地味で、尖った部分もほとんど無いなと思うかもしれません。
そう思うのは、全くもって当然であり、実際、内容的に地味であることは、否定できません。
とはいえ、これは、そういう派手さを求めるタイプの作品では、ありませんね。

小熊が一歩一歩成長するところ、スーパーカブが次第に相棒になっていくところ等、何気に充実した読書体験を得ることのできる、そういうタイプです。
多分、私が二輪車乗りであり、かつカブを持っている(もしくは、持っていたことがある)と、作中に出てくる色々な「あるある」を更に楽しめたのかもしれませんが、そういうのを抜きにしても、これは非常に面白く、佳作と言っていいのではないでしょうか。

ちなみに、スーパーカブはこの2017年で世界生産累計台数が1億台を突破する予定ということを以前にどこかで読みました。
本作にも、帯に「ホンダ・スーパーカブ総生産台数100000000台記念作」の文字が。
とはいえ、それで特に HONDA とタイアップをしたりとかはしていないようなのですけれども、そういうところもまた、ちょっとした好感度を覚えます。

とにかく、作者がカブに抱いている愛情が全てで、それだけにフォーカスして書かれた小説であり、その割きりが、かえってこの読後の清々しさを生んでもいる部分は、あるでしょう。
角川が運営するネット小説投稿サイト、カクヨムには、本作の第2部も掲載されていて、それも、まもなく刊行されるので、こちらも楽しみです。



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60/40 「ソフトマシーン SOFT MACHINE」他

 2017-09-07
下山淳というギタリストのことを初めて知ったのは、兄が買った THE ROOSTERZ のCDでだったと思います。
何だか独特の味のある人だなと思いつつ、その頃の私はギタリストへのこだわりというものは、さほど持っていなかったので、名前は覚えたけれども、そこまで、という感じでした。

その後、THE ROOSTERZ は解散。
特に追いかけていたわけでも無いながら、それなりに下山淳の動向は目に入っていて、泉谷しげる のバックバンド LOSER でのプレイも良かったのですが、「コイツはすげぇな」と、何より思ったのは、実弟らと組んだバンド、60/40 の 1st 『60/40』 でした。
かなり以前に、このブログでも紹介したことがありますが、さて、覚えていらっしゃる人がいるかどうか。

まぁ、それはさておき、60/40 です。
1990年代前半に活動して、2枚のアルバムを残したこのグループのサウンドは、ひとことで言えば、プログレでサイケデリック……って、「ふたこと」になってしまっていますね。
中途半端にプログレやサイケの要素を漂わせたりするのではなく、もう、ガチに、どっぷりと、その世界に浸りきって楽しめるのが、60/40 のいいところ。
この世界観は、もう、私の好みのど真ん中近辺で、一聴しただけで凄く気に入ってしまったのです。

ただ、かなしいかな、こういう世界観、こういうサウンドは、セールスの面ではどうしても振るいません。
もともとインディーズでのリリースでしたこともあって、60/40 の活動がそれ以上広がっていくことは、残念ながら、ありませんでした。
本当は、こういうグループがどんどん売れるようであれば、日本の音楽シーンにもいいところがあるな、と思えるのですけれども、まぁ、さすがにそれは難しいですわな。

そんな 60/40 、2枚のオリジナルアルバム 『60/40』 と 『PSYCHRIA』、そしてその後、ライブ音源なども加えて2枚組で発売された 『100=60/40 THE COMPLETE RECORDINGS OF 60/40』 という 3つがリリースされたのですけれども、今現在は、その全てが、中古ショップなどで探し出すしか入手方法がありません。
「COMPLETE」 というくらいだし、最後の1つを探し出せばそれでいいのではないか、というのは確かにその通りなのですが、個人的に、オリジナルアルバムの方が曲順が好みであること、『100=60/40』 には、『60/40』 の最終トラック 「T.N.K.」が収録されていないこと、の2点は、ここで言及しておきます。
なお、「T.N.K.」 は、THE BEATLES の 「Tomorrow Never Knows」 に直訳的な日本語詞を付けてカバーしたものなのですが、これが収録から漏れたのは、権利関係、かなぁ……?
訳詞に承諾が取れなかった、とか。

Youtube にライブ動画が幾つかアップされていたので、「T.N.K.」 も含め、その中で、私が特に好きな曲を最後に貼っておきます。











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ブエルタ、途中経過 その2

 2017-09-05

2017年のブエルタは2回目の休息日が終了。

得意としている個人TTが残っていることを考えても、フルームが盤石、というのは、変わりませんね。
ライバル達の走りが悪いとは言えず、それぞれになかなか良い走りをしているのですけれども、チームスカイとフルームには、なかなか敵わないという感じです。
総合2位のニーバリも、ここから残りのステージでフルームを逆転するのは難しそうな気がしますし、トラブルがなければ、これは、総合首位はフルームで決まり、かなぁ……。

ここにバルベルデやキンタナがいれば、また、状況は少し違ったかもしれませんが、「もしも」や「~だったら」を考えても仕方がないですね。
フルームの走りも、まぁ、嫌いでは無いですし。

個人的には、ポイント賞の行方が非常に興味深いところ。
総合首位の選手がポイント賞もかっさらっていくのがブエルタスタイルですが、毎年それでは面白くないので、ここは、是非とも、トレンティンに頑張ってほしいかな。
かなり難しいのは、分かっていますが。

このレース限りの引退を表明しているコンタドールの、いかにも彼らしい攻めの走りが堪能できているという点だけでも、今年のブエルタは、見逃すことのできない、面白い大会になっています。


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「筺底のエルピス5 -迷い子たちの一歩-」

 2017-09-02
第4巻の衝撃的な展開とラストに打ちのめされた読者を大量生産したのが、オキシタケヒコの 『筺底のエルピス』。
その作品の、1年2ヶ月振りの続巻である、第5巻を読了。

まさしく待望の、という表現が適切な1冊なわけですけれども……
4巻ラストの、あの凄惨さ。
慟哭。
喉の奥から絞り出され魂を締め付けるような絶望から、どのように物語が続くのか、不安が無かったわけではありません。

あの悲惨さを更に突き詰められるのも厳しいし、あれだけの展開で描かれたことを忘れたかのように描かれても、それはそれで物足りない。
それでも、あの苛烈さを体験したヒロインには、それが例えひと時のものに過ぎないとしても、何らかの救いや安らぎがあってほしい。
そんな風に思って読んだ第5巻。
480ページ超という分厚さでありつつ、冗長なところは一切無い、密度の高い話が今回も繰り広げられていました。

これで、内容的には第4章の前半部分だというのですが、「上げて、下げる」がドラマ構成の定番だとすれば、次の第6巻で、またキツい展開がやってきたりはしないかと、それが心配にもなってきます。
実際、色々と先が不安になるような要素、これは今後の仕込みの伏線なんじゃないかという不穏な一文とか、何ヶ所か、あったんですよね。

作品タイトルからすれば、物語の完結の暁には、そこに希望がある、と思いたい。
思って大丈夫、ですよね?
間違いなく傑作と呼ばれる作品となると思われる本作ですので、未読の人は、今からでも手に取ってみるべきです、絶対に。



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