「きみの声をとどけたい」

 2017-08-28
2週連続でアニメ映画鑑賞ということになるのですが、この週末に公開が始まった、『きみの声をとどけたい』 を新宿で観てきました。
先週の 『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』 もそうだったのですが、この夏に公開される青春系統のアニメは、とかく、その宣伝に昨年大ヒットした 『君の名は。』 を絡めてくる傾向がありますね……

ちょっとしたブームに乗っかって興行成績を上げようとか、少しでも多くの人に作品を鑑賞してもらおうとか、そういう欲があること自体は、悪いとは思いません。
ただ、傾向、方向性の違う作品の宣伝にまで 『君の名は。』 を絡めると、逆に、(実際の作品の完成度とは無関係に)「思っていたのと全然違う」とか、「詐欺だ」とか、そういうマイナスな評判が拡散されることになりはしないかと、そういう懸念も出てくるのですけれど。
そういうことまでは考えていないのか、それとも、考えているけれども、それでも敢えて 『君の名は。』 の知名度を利用しようというのか、そこは分かりませんけど、宣伝方針として、結構なリスクがあるんじゃないのかなぁ、それって。
口コミの、観客動員数を増やせる効果というのは馬鹿になりませんけど、裏返せばつまり、マイナス方向の口コミもあっという間に広がるってことですからね。

さて、そういう余計な話はさておいて、『きみの声をとどけたい』 です。

これ、誰がどう見たって江ノ電であり江の島であり龍口寺なのですが、架空の名称になっているのは、実際の地形、実際の線路といったものを忠実にトレースしているわけでは無くて、結構ちょこちょこと改変しているから、なんでしょうね。
例えば、物語の舞台になる閉店した喫茶店があるY字交差点は、おそらく「小動」の交差点だと思いますけれど、実際にはあそこの江ノ電は路面ではなくて、ちょっと内側に入ったところを走ってますし、それ以外にも、現実の江の島近辺と違っている点は、挙げようと思えば幾つもあります。
つまり、本作に関しては、その舞台は、江の島っぽいどこか、という程度で認識していればOK、ということになります。
そこが、特に物語に大きく関係してきたりするわけではありませんし、まぁ、特に問題は無いでしょう。

青木俊直のキャラクターデザインはシンプルすぎて劇場のスクリーンではどうなるかなと、ちょっと不安も覚えつつ観始めた映画でしたが、その点は、まぁ、わりとすぐに、しっくりと馴染んだので大丈夫。
前半で何だかなぁと感じたのは、(そうでなければ物語が回らないのだろうけれど)主人公が、あまりに押し付けがましくポジティブなので、そこがイラっときたというところ。
あと、いくら鍵が開いていたからといって、勝手に建造物の中に入って、そこにあったレコードを勝手に聴いて、そこにあった機材をいじる、という暴挙に出た主人公は、もっともっと激しく責められてしかるべきだし、あんな謝罪は、謝罪ではありません。
上映時間を考えれば、そういうことまで丁寧に描いてなどいられないという事情は察せられなくもありませんが、例え主人公であっても、犯罪行為には、厳しい罰が与えられるべきです。

結局、最後までそこで感じた違和感と、主人公への忌避感を引きずって観てしまったのが、私にとって、この作品の不幸だと言えるのでしょう。
キャラクターでいうと、ラジオ放送に遅れて加わることになる2人組も、物語上は結構重要なポジションではあるのですけれども、なんでこういう性格の人間が急に現れて、そこで大なり小なりの衝突が起きないのかが、分からなかったです。
喧嘩が発生するのが普通だと言いたいわけでは、ありませんが、主人公はともかくとしても、主人公の友人で同じ部活の次期部長であるキャラとは、一度くらいは衝突がなければ馴染まないタイプなんじゃないの、と思わずにおれないんですが……

全体的に、キャラもストーリーも善意が押しつけがましいと感じられて、かつ、こういう場合、歌を歌わせておけばOKでしょ、というような展開になったのも、個人的には興醒め。
ただ、公式サイトで評判を見ると、私が「何だかなぁ」と感じたところを絶賛している声が(そういうのを選抜して掲載しているとしても)多くて、みんな素直だなぁ、と、ひねくれてしまった我が身を振り返ることにもなってしまいました。

結論、丁寧に作られているなとは思いましたが、最後まで、波長が合わなかった映画だった、というのが、全て、かなぁ。


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