「裏世界ピクニック ふたりの怪異探検ファイル」

 2017-06-03
異世界モノのラノベ的なタイトルであることに加え、それっぽい表紙の装丁にもなっている、宮澤伊織の『裏世界ピクニック ふたりの怪異探検ファイル』。
私が定期的にチェックしている作家だったり書評ブログだったりで、かなり絶賛されていたこともあり、いかにも興味深い感じだったので、これは是非とも読まねばならないと思って購入していたものです。

端的にこの作品をジャンルで表現するならば、多くの書評サイトなどで言われているように、「怪談SF」ということになるのでしょう。
もう少し具体的に書くなら、お化け、妖怪、都市伝説といった怪談を題材に、そこに科学的な要素、考証を加えてSFとしてまとめた作品、ということです。

もちろん、実際に妖怪の存在が科学的に証明されているわけではないので、あくまで思考実験というか、「これこれこういう解釈をすれば、ある程度科学的に根拠づけられる」というような感じなのですが。
それを、どういう理論でやってくるのか面白がりつつ読むのも、この手のSF作品の楽しさの1つだというのは、敢えて言うまでもない、でしょう。

ちなみに、ここで扱われている怪談は、例えば江戸時代もしくはその前から伝えられてきているような伝統的なものでは無くて、ネット時代に語られだした、いわゆる実話怪談・ネットロアになってます。
「くねくね」「八尺様」「きさらぎ駅」等、生理的にゾワッと来るような、そういうものが本作には採り上げられているのですが、それがどのように料理されているのかは、読んでのお楽しみということで、ネタバレはしません。
前述のSF的な設定は、なる程ね、という感じで、「これは、やられた」と思わず膝を打つようなことこそなかったのですが、結構、面白く読ませてもらいました。

未解決のこともあるので続編も出そうと思えば出せそうですけれど、その辺は、作者や担当編集はどう考えているのでしょうか。
評判に違わずなかなか良い作品だったので、2巻を出せる材料があるのであれば、それも読んでみたいと思うのですけれど。

ちょっとお薦めの1作です。



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