「青い海の宇宙港 秋冬篇」

 2017-05-06
雑誌『SFマガジン』に2015年から2016年にかけて連載された作品が、2冊のわかれて単行本化された、その後編が、川端裕人の『青い海の宇宙港 秋冬篇』です。

限りなく種子島な南の島、多根島を舞台に、「宇宙遊学生」の参加メンバーである少年2人と少女1人、そしてと地元の少女1人を加えた宇宙探検隊の活躍を描く本作。
前編は、面白いことは面白いものの、今一つ盛り上がれないなとも感じていたのですが、さすがは川端裕人と言うべきか、この後編は、一転、大いなる盛り上がりを読ませてくれました。

もともと、多くの人が協力してロケットの打ち上げを成功させる、というタイプの物語に私は弱くて、同じ川端裕人のデビュー作である 『夏のロケット』 (文藝春秋 文春文庫)も大好きな作品でした。
その流れで、本作にもかなり期待していたので、この後編の面白さは非常に嬉しい。

ちなみに、その 『夏のロケット』 と本作は同じ世界、同じ時間軸にある物語ということになっています。
とはいえ、本作を読むにあたって、特に 『夏のロケット』 を読んでおかなければ分からないようなことはありませんので、そこはご安心を。
まぁ、そちらも非常に面白いので、未読の方はこれをいい機会として是非、手に取ってみていただきたいところでは、ありますが。

さて、『青い海の宇宙港 秋冬篇』 です。
本作の物語が、小学生達が(大人の協力を得つつ)本格的なロケットを打ち上げるというものになっているのには、いくら既存の古い技術を使っていて新規開発をする必要が無いからといって、さすがにそれは不可能で、無理があり過ぎるだろうという意見もあるでしょう。

が、その辺については本作で描かれているような条件が揃えば不可能ではない、というような技術的な裏付けなどもしっかりとされているようですし、物語が面白くて作品内で破綻や綻びなく整合性が取れているのであれば、そこをあまり突いても野暮なのではないでしょうか。
もちろん世の中には、それでも細かい粗が気になって仕方が無くなるような作品も存在するのも確かなことですが、この 『青い海の宇宙港』 については問題は無いだろうと私は考えます。
これは、できるだけピュアな気持ちになって読むべき物語、できれば現役の小学生……にはちょっと難しいかもしれませんけれども、せめて中学生に読んでほしいような、そんな物語です。



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