「読者と主人公と二人のこれから」

 2017-04-29
今回「本館」に先がけて紹介する読了本に選んだ岬鷺宮の『読者と主人公と二人のこれから』は、読んでいて全身がムズムズとしてくるような、ボーイ・ミーツ・ガールの物語。

過去のとある出来事から、人と積極的な交流をすることを避けている少年が、本作の主人公。
彼はそんな事情から、高校に入学しても、良い意味でも悪い意味でも目立たず、存在感の薄い3年間を送ろうと決めていたのですが、クラス分け後のホームルームで行われた自己紹介の際に、その目論見が大きく崩れ始めます。

中学時代に出会い、そこに綴られた少女トキコの気持ちに多大な共感を覚えていた小説、『十四歳』。
そのトキコと同姓同名(名前がカタカナ表記か漢字か、の違いはありますが)で、容姿や雰囲気が、まるで本の中からトキコがそのまま出てきたかのように思える柊時子との出会いが、その原因です。
小説家である彼女の姉が、妹をモデルにして書いたのが『十四歳』だったと知った主人公は、小説に描かれたトキコから知った情報などを基に、自分と同じように不器用な時子を何かとフォローしようとするのですが……というのが、物語の導入部となっています。

当然ですけれども、いくらモデルとなった人物であり、そこに描写されている内容は彼女の当時の感情そのものに非常に近いといっても、時子とトキコは別人なわけで、その辺りの齟齬が生み出すことになるものが、本作の物語上、大きな位置を占めてきます。
そこに2人がどう向き合うことになるのか、既に結構なところを書いてしまった気もしますし、これ以上のネタバレは避けておきますが……。
いやぁ、青春、ですねぇ。

さすがに登場キャラクターと年齢的にかなり離れてしまっている私は、深く感情移入しつつ読むというよなことはできずに、むしろ物語のピュアさにムズ痒さを覚えつつ読むことになった、というのは、冒頭に書いた通り。
なお、そのムズ痒さは決して嫌なものではなく、むしろ心地よささえ感じるようなものであり、要するに、楽しみながら面白く読ませてもらったのです。

こういう作品は、私のような年齢層ではなくて、むしろ今現役の中高生に読んでほしいところ。
が、ラノベの読者層の中心となるのは30代や40代というような話もありますし、シリーズものでもない単巻作品、それもほとんど有名ではない作者のものともなれば、露出も少ないでしょうから、なかなか、そういう層に手に取ってもらえることも無いのかもしれません。
かなり面白い、良質で大いにお勧めできる作品なのですけれど……うーむ。



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バルベルデ、そしてスカルポーニ

 2017-04-24
その歴史の古さから(何しろ今回が第103回です)、「ラ・ドワイエンヌ」すなわち「最古参」とも呼ばれる、リエージュ~バストーニュ~リエージュ。
ベルギーのワロン地方で行われるこのレースを以って、春のクラシックシーズンは終わりを告げることになります。

水曜日のフレーシュ・ワロンヌを制して絶好調のアレハンドロ・バルベルデを優勝候補筆頭として、今年も様々な有力選手が出走するこのレース。
一番最初にゴールラインを走り抜けるのが誰になるのか、大いに興味を覚えつつ、生中継を待っていたのですが……


この週末は、リエージュの事よりも何よりも、(アルベルト・コンタドールがドーピング疑惑に絡んで総合優勝の座をはく奪された結果とはいえ)2011年にジロ・デ・イタリアで総合優勝をした偉大なるチャンピオン、ミゲーレ・スカルポーニが、まもなく始まる今年のジロに備えた早朝練習で自宅から出た後に、交差点にさしかかったところで前方不注意のトラックと衝突、亡くなってしまったという
ニュースの衝撃が、あまりに大きすぎました。

穏やかな性格の人格者として知られたスカルポーニ。
最近はアシストとしてグラン・ツールでエースをアシストする姿を見ることが多かったですが、その雄姿は、今でも私の記憶に残っています。


そんなスカルポーニへと勝利を捧げようというのでしょう。
ライバルを振り切って天を指さしながらゴールラインを先頭で通過したのが、優勝候補のアレハンドロ・バルベルデ。
スカルポーニとバルバルデは同年代ですし、方やイタリア、方やスペインと国籍は違えども、おそらくジュニア時代から多くのレースを一緒に走ってきたという、長い付き合いの友人とも言える間柄だったことでしょう。

バルベルデはこのレースこれで4勝目。
今年も好調な彼は今年も秋のシーズン終了まで、勝利を量産して行くのでしょうね、きっと。


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2017年 春クール 新番組 雑感 その2

 2017-04-23
このクールに放送が始まった新番組の、その第1話を観ての簡単な感想、その第2弾を書こうと思います。
すっかり感想を書くのが遅くなってしまった、その理由については、第1弾で書いたとおり。
実のところ、既に第2話を観ている番組も多いのですが、あくまでここに掲載するのは、第1話を観た時点での感想ということで(まぁ、自分でもどうでもいい拘りだとは思いますが)ご了承ください。

1) Re:CREATORS

出だしは、いい感じですね。
ネタとしては、そこまでの新しさは感じない導入ではありましたが、ここから先の展開次第でどうなるのかは、第1話時点では、まだ何とも言えません。
単純なバトルもの的なことになってしまう可能性もありますが、それが悪い、とまでは言いませんけれども、それだと個人的には、少し肩透かしな感じになってしまうかもしれませんが……

2) ID-0

ちょっと地味な感じの始まりを見せた作品で、基本設定も渋めのSFです。
ただ、登場するキャラクターの配置とか、その性格設定は結構ベタな感じでもあるから、エンターテインメント性、画面やストーリーに華があるかどうか、というところは、心配しなくてもいいのかもしれません。
そういう華が無い徹頭徹尾地味な作品も、それはそれで好きですが、TVアニメとして、それはちょっとマズいでしょうしね。
その辺りのバランスをどうとるのか。
あくまでSF的なところでの渋さを無くさずに物語を信仰してほしいものですが、さて、どうなりますか。

3) 有頂天家族2

待ってました、の第2部。
3部作の中間の部分ということで、問題は原作の第3部がまだ、着手もされていないというところですけれども、まぁ、それはそれ。
第1話の冒頭からして、第1シーズンの空気感をそのまま引き継いだテイストなのには、何だか「有難い」ような気分になってしまったりもして、ああ、有頂天家族が返ってきたなぁと、しみじみとなったりもしました。
二代目のキャラデザインや声も、原作を読んで抱いていたイメージとほとんどズレはありませんでしたし、制作サイドの、原作への愛が感じられるアニメ化です、相変わらず。

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「マイルズの旅路」

 2017-04-22
ヴォルコシガン・サガの完結編という触れ込みなのが、ロイス・マクマスター・ビジョルドの『マイルズの旅路』。
ヴィクトールもマイルズもイワンも結婚し、それぞれにそれぞれ、いい年になっていますし、作者のビジョルドも70歳を目前にしているのですから、まぁ、この辺りが幕の引き際としてはいいところ、なのかも。

もちろん、シリーズのファンとしては、続けられるものであればまだまだこの世界を楽しませてもらいたいという気持ちが無いとは言いません。
もっとも、個人的には、このシリーズが一番面白かったのはマイルズ・ネイスミス提督がマイルズ・ヴォルコシガンに戻る前だったと思ってもいます(その後の各エピソードが面白くないというわけでは、ありません)。
主要キャラクターも歳を重ねて、若い頃のような無茶な行動には出なくなってきていて、シリーズのテイストが微妙に変質もしていたから、そういう意味でも、程良い完結時期、なのかな……。

ただ、今回のエピソードが長いシリーズの最後を飾るに相応しいものだったか、と問われると……うーん、個人的意見ではありますが、正直、その点では微妙、かなぁ。
どうせならば、もっと派手に盛り上がるものが最後に来てほしかったような気がします。
ここでのマイルズの38歳という年齢を考えれば、こんなものではないか、というのも、あるかもしれませんけれど。

シリーズの最後に日本的な要素を入れ込んできたのは、ビジョルドからの、シリーズをずっと愛してきた日本人読者へのサービスと感謝の表れでしょう。
それは単純に、嬉しいなと思います。

ラストでさらっと、シリーズを通じての重要人物にあることが起きるのですが、それが確かにはっきりと、ヴォルコシガン・サガという物語の終わりを告げているとも言えますよね。
読み終えて感じる不完全燃焼さは、もう1作、マイルズの母コーデリアを主人公にした作品があるということなので、それを読めば解消される、のかな?
20冊を超えるシリーズ、ここまで長年楽しませてもらったのですから、今はただ、ありがとう、と言わせていただきましょう。




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バルベルデ、4連覇!

 2017-04-20
「北の地獄」パリ~ルーベを最後に北のクラシックが終われば、その次はアルデンヌ・クラシックの3連戦が始まる、というのが、例年、春の自転車ロードレースの流れです。

今年はネットでスポーツ中継を配信するDAZNが日本でサービスを本格的に開始したことで、放映権のアレコレによって J-Sports での春のクラシックシーズン生中継が、グッと少なくなってしまっています。
そんな中、数少ない生中継である、アルデンヌ第2戦のフレーシュ・ワロンヌが、19日夜に今年放送されました。

ツール・デ・フランドルに勝ち、さらに前週のアムステル・ゴールドレースでも勝つなど、現在絶好調である、クイックステップ・フロアーズのフィリップ・ジルベール。
そんな彼は、アムステルでの落車の影響で内臓に負傷をしていたことが分かり、大事を取って今回は欠場。
それでも、5度目の優勝にして4連覇という偉業を狙うモヴィスターのアレハンドロ・バルベルデを始め、幾人もの有力選手の熱い戦いが繰り広げられました。

言うまでも無く、勝つだろう、最有力優勝候補だ、と言われる者が、下馬評通りにきっちりと勝利を手にしてみせるというのは、決して簡単なことではありません。
そんな中、ゴール前で、レース名(フレーシュ)である矢を射るポーズを見せつける余裕もある、他を寄せ付けない圧倒的な走りを見せたのは、やはりこの人が来たか、としか言えないバルベルデ。
「ユイの壁」と呼ばれるゴール直前の激坂で、他チームの選手のアタックに反応した彼は、そのままその選手を抜いて最終アタックを開始。
一気に他のライバル達を引き離してゴールすると、チームスタッフらと歓喜を爆発させました。

ゴール前が彼の得意とする地形だからとしても、30代半ばで4連勝達成というのは凄いです。

同じようなコースを得意とするジルベールがいれば、バルベルデといい勝負ができたかもしれませんが、「たられば」をここで言っても仕方がないですよね。


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「夜は短し歩けよ乙女」

 2017-04-18
モリミーこと森見登美彦先生の傑作がアニメ映画になった、『夜は短し歩けよ乙女』 を観てきました。

原作の1年を1夜の物語ということに変えてきたことで、さすがにちょっとこれが1晩で起きているというのは無理があるんじゃないか、というところが多々出てきてしまっていましたが、その代わりに、凝縮されてハイスピードで動く物語が生み出す酩酊感が心地よい作品になっていたと思います。

湯浅作品らしいアクの強さ、独特のノリが本作にも強く出ているので、好き嫌いはかなり激しく分かれそうですが……
下の予告編の映像を観てもらえれば、その、湯浅作品のクセは分かると思いますから、その上で、本作をスクリーンで鑑賞する為に劇場に足を運ぶかどうかを判断する、というのが、いいのではないでしょうか。
一度ハマると、ズブズブと深みにはまってしまうような、そんな魅力がありますよね。

作品に付いては、とにもかくにも、ヒロインである黒髪の乙女の魅力が大爆発している、ということに尽きます。
シンプルな線で、しばしば大きくディフォルメしながら描かれる彼女の姿は、非常に生き生きと、はつらつとしていて、なる程、これならば先輩が好きでたまらなくなってしまうのも、分かろうというもの。
李白さんはもっと怪しくてもよかったかもしれませんが、しかし、概ね満足のいく映画化だったと思います。



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2017年 春クール 新番組 雑感 その1

 2017-04-16
春は新生活の始まりの季節であると同時に、新番組が始まる季節でもあります。
そこで、例によってこのクールで始まる新番組の内、私が第1話をチェックしたものから幾つかをピックアップし、その簡単な感想などを書いてみたいと思います。
とはいえ、ちょっと仕事その他が立て込んでいたので、撮り貯めしておいたものをちょこちょこと消化するようにしていたのもあって、感想を書くのが遅くなってしまっているのですけれど……
タイミング的に今こういうエントリっていうのはどうなのよ、と自分でも思わないでもありませんが、まぁ、それはそれ、ということで。

1) サクラダリセット

ストーリーに関してあちこちでなかなかの評判を目にしている作品のアニメ化ということで、ちょっと期待をして観てみました。
本作の原作本は未読ですけれども、同じ作者の別作品である「階段島シリーズ」の方は、これまでに出ている全巻を読んでいますしね。
で、まぁ、そんな感じで第1話を観てみたわけなのですけれども……うーん、微妙。
セリフ主体になってしまうのが悪い、とまでは言いませんけれど、ちょっと、モノローグにしても会話にしても、これは視聴するのにキツい、かなぁ。
原作ならば活字だから、こういう会話や、設定その他もしっかりと頭に染み込ませつつ読めるのでしょうけれども、映像作品としては、このテンポで、このノリは、ちょっと、肌に合わないかも。
第2話は一応、観てみるつもりで録画していますが、その後は、どうなるかな?

2) サクラクエスト

P.A.Works の「お仕事モノ」オリジナルアニメの新作、という触れ込みですが、出だしだけだと、まだ何とも言い難いものがありますね。
とりあえず、主人公の動機付けについては、第1話で明確にできているとは思いますが、門田丑松の、人の話を一切聞かないキャラ付けは、正直、あまり好きではありません。
ああいった、頑固で頭の固まった老人は、現実を見ると、そんなに珍しいものではありませんけれどね。
この辺は、今後の展開で、彼の愛嬌のあるところとか憎めないところが出てくれば、またイメージも変わるでしょうが……。

3) 月がきれい

「釣りキチ三平」風に言うのであれば、尻の穴がむずがゆくなるタイプの、ピュアでまぶしくなる初々しいボーイ・ミーツ・ガールな物語ですね。
こんな恋愛があってたまるか、と、自分の学生時代を振り返って思ってしまうのは、私の周辺がたまたまそうだっただけであって、実際には世間にはこういう出会いが、「ありふれている」とまでは言わずとも、それなりに一定数は存在しているのかもしれません。
20代の頃であれば鼻で笑って視聴継続せずにスルーしていたであろうこの手の物語に、妙に心惹かれるものを感じてしまうのは、それも私が年齢を重ねてしまっていることからくる変化の1つなのでしょう。
ただし、過去の自分を思い出してノスタルジーに浸っているわけではないのは、前述の通りなのですが。
とことんピュアに、こそばゆい物語を、真正面から徹底的に描いてほしい、そんな作品です。

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「コロボックルに出会うまで 自伝小説 サットルと「豆の木」」

 2017-04-15
今年の2月9日に亡くなった、児童文学作家の 佐藤さとる さん。
その代表作といえば、やはり何といってもコロボックルシリーズが有名でしょう(個人的には、彼の最高傑作は「わんぱく天国」だと思っているのですが)。

そんな彼の、工業専門学校を卒業してから、転職をしつつ童話作家を目指す日々の中でコロボックルシリーズの第1作目である『だれも知らない小さな国』(講談社 講談社文庫)のアイディアを思いつくまでを描いた小説が、『コロボックルに出会うまで 自伝小説 サットルと「豆の木」』。

これを読んだのは、つまり、彼への追悼の気持ちの表れだと思っていただいて、差し支えありません。
小さい頃より、彼の作品には親しませていただいていたので、その訃報には、やはりショックを受けずにはおれませんでした。
とはいえ、こういう訃報に関してしばしば書いていることですけれども、私が子供の頃に既にベテラン気味の作家だったということは、その私が中年になっている今はおいくつくらいになられているのだろうと考えると、そういうニュースをしばしば目にするようになってきてしまっているのも、やむを得ないことでは、ありますよね。

あくまで児童小説家として築いてきたスタイルでこの作品も書かれているので、ややダイジェスト的というか、覚書的というか、そんなテイストになっていると感じられた本作。
もうちょっと色々と描写して語ってくれれば、青春小説としてもいい感じになったのにと思うのはちょっと残念なのですけれども、しかしこれはこれで、いかにも 佐藤さとる っぽいな、とも思うのでした。

他にも未読の作品はあるので、それも、少しずつ読み進めて行くつもりです。



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ちわき まゆみ 「遊星少女フィオラ」他

 2017-04-13
私が ちわきまゆみ のことを知ったのは、TVK が昔夕方に放送していた音楽番組、MUSIC TOMATO の VJ(VIDEO JOCKEY) として出演している姿を見たのが最初です。
なので、一番最初は彼女が音楽をやっているという認識はほとんど無くて、何だか気風のいい人だな、ライターとか、そういう音楽関係の仕事をしている人なのかな、という印象でした。

それから何年かして、彼女が歌っている姿を見ることもあったのですが、当時は、その音楽には、何だかピンと来なかったんですよね。
しかし、更に10数年後、社会人になって何かの拍子に聴いたのが、下の曲、「遊星少女フィオラ」。



この Youtube を観てもらえばわかると思うのですが、歌の上手い下手ではない、強烈なインパクトがあって、瞬間、私はノックアウトされてしまったのでした。
10代の時にはイマイチに感じたものを、30近くになって「こいつはイケてるな」と思う。
その辺りに加齢というものを感じないでもないのですけれど、落ち着いたもの、アコースティックなものに回帰して行ったというのではなくて、メーターが振り切れる方向に突っ走っているというのは、私らしいのか、何なのか……。

正直、好き嫌いが大きく分かれるタイプのミュージシャンだと思います。
一度好きになってしまえば、かなりの中毒性があるという点で、非常に優れて個性的なミュージシャンであり、そしてその個性故に、決してヒットチャートの上位には来れないタイプだとも言えるでしょう。
実際、オリジナルアルバムは1992年の 『EROTIC&PAIN』 以来出ておらず、それ以外のリリースも、1999年のベスト盤 『POPPERMOST』 が最後。

まあ、さすがに今、1980年代の頃のような活動をしてほしいと言っても、それは体力的にも難しいでしょうけれど、彼女が全力を注ぎ込んで制作した、ハジケまくった新作アルバムとか、ちょっと聴いてみたい気はしますね。

最後に、彼女の楽曲の中では1,2を争う位に好きな、「よごれたいのに」 を貼って、今回のエントリを終わりたいと思います。
せめてベスト盤位は、今でも簡単に入手できるようだといいのですけれど、そういうことにはなっていないのが、残念です。




ちわき まゆみ 『POPPERMOST』

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ボーネン引退レースの結果は……

 2017-04-11
自転車ロードレース、2017年の春のクラシックも、いよいよそのクライマックスが到来。
先週末、「北の地獄」「クラシックの女王」と呼ばれるパリ~ルーベが今年も華々しく開催されました。

パヴェと呼ばれる石畳の区間が多く存在し、非常にタフなことで知られるこのレース。
今年はずっと好きだった選手の1人である「ベルギーの王様」トム・ボーネンが、このレースを最後に現役を引退すると宣言していることもあって、例年以上に私としても注目している一戦でした。

世の中にはキングカズこと三浦和良のような例外もありますし、競技によって違いはあるはずですけれども、一般にスポーツ選手が第一線で活躍するのは、おおよそ10年くらいというところでしょう。
から、私が現在の事務所に転職した頃から応援し始めたファビアン・カンチェラーラやホアキン・ロドリゲス、そしてこのトム・ボーネン等が現役から去っていくのも仕方の無い時の流れではあります。
そう考えても、やはりボーネンもレースから去っていくという寂しさは、どうしようもないのですけども。

さて、レースは、やはり、トム・ボーネンを絶対に勝たせたいクイックステップ・フロアーズの走りだったり、世界チャンピオンのペーター・サガンだったりという、事前に予想された有力選手を中心に展開しました。
しかし展開の中で、この両名がどちらも先頭から取り残されるということになって勝負は混沌化。
結局、この日の勝利はBMCレーシング所属、昨年のリオオリンピックの金メダリストでもある苦労人のファン・アーベルマートとなりました。

ボーネンは結局、勝負には絡めずじまい。

もちろん、それが勝負というものなので、致し方がありません。
やはり、彼が優勝する姿、あるいはそこまででなくとも表彰台に上がってくる姿を最後に見たかったな、と思ってしまうのは、好きな選手の引退レースだから、これはやむを得ないのですけれども……


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「旅猫リポート」

 2017-04-10
最初は文芸春秋から、続いて講談社から単行本が刊行され、その後、一部の難読漢字をひらがなにし、総ルビを振って児童書レーベルでの発売となった、有川浩の『旅猫リポート』が、今回、「本館」更新前に紹介する読了本。
ちなみにその後に通常の文庫にもなっている本作なのですが、私が買ったのは、それよりも前に出ていたこの青い鳥文庫版なので(つまり、それだけの間、積読状態になっていたということでもあります)、以下は、それを前提として描かせていただきます。

実のところこの作品については、村上勉の挿絵のイメージもあって、有川浩が典型的な児童小説を書いたんだなと、どうせ猫と少年の一夏の旅的な話なんだろうなと思って、あまり触手が動いていませんでした。
が、実際に読んでみると、そういう私の予想とはちょっと違っていて、これは、なかなか面白い。

とある事情から愛猫を飼えなくなってしまったサトルと、その飼い猫であるナナ。
彼等が新たなる飼い主候補のところを廻るという物語は、前述の通り、作品タイトルと表紙イラストから予想してたものとはちょっと違っていましたが、ペットと飼い主の交流を、ペット側の視点から描く、という基本認識はズレていませんでした。
この旅を通じてサトルは各年代で出会ってきた友人達と会って旧交を温め、ナナはサトルと友人との会話などから、サトルのこれまでの人生を振り返ることになる、というのが本作の仕掛けです。
完全に児童向けかどうかと問われると、若干、どうかなと思う部分もあるのですけれども、しかし概してこれは、児童文庫化する価値のある作品だと感じました。

ベタに徹しているようなストーリーはいかにも有川浩らしいもの。
それはありきたり過ぎてつまらないということに繋がりかねないのですが、しかしこういう題材だとそのベタさは実に有効に働きますね。
一歩間違えば感動の押しつけに堕すところを、微妙なところで踏みとどまることができていますし。

こういう作品を十代前半の少年少女に読んでほしいというのは、出版側の好判断、だと思います。



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2017年冬クール 終了アニメ雑感

 2017-04-08
番組の改編期にはいつも、全話の放送が終了したアニメのざっくりとした感想を書くことにしています。
そんな何か特別なことを書くわけでも無く、通り一遍のことしかなかったりしますけれども、ともあれ、今回もその流れのままに、いくつかの番組を採り上げてみます。

1) 三月のライオン

とりあえず、第2シーズン制作決定、おめでとうございます。
この作品が2クールでアニメ化されるということを初めて聞いた時に、どこで話を切るのかと色々と予想が出ていたわけですが、まずまず、いいところで一旦の終わりとできたのではないでしょうか。
最終話の後半に、コミックス10巻発売時に行われた、(羽海野チカが長年のファンなのだという) BUMP OF CHIKEN とのコラボ企画で書下ろされたエピソード 「ファイター」 を持ってきたというのも、制作サイドの好判断だったと思っています。
将棋を通して主人公の成長を描くこの作品の締めくくりとして、まさにピッタリかな、と。
第2シーズンの話が第1シーズンに輪をかけて重くなるのは原作の内容から確定的ですけれど、色々とホッとさせられるシーンもありますし、この第1シーズンのシャフトの仕事ぶりを観る限り、しっかりしたものを作ってくれるであろうと思われるから、ここは、安心して楽しみに10月からの第2シーズンを待つだけですね。

2) 亜人ちゃんは語りたい

特にどうしても観たいということではなく、完全に「何となく」第1話にチャンネルを合わせた作品です。
どうせよくある萌え作品だろうと想像していたのとはちょっと方向性が違っていて、なかなか面白かったので、そのまま最終話まできっちりと追いかけることとなりました。
人それぞれの個性、差別(or いじめ)、理解、そういったものをやんわりと扱っているわけですけれども、むやみにシリアスになることなく、それでいて焦点がぼけてしまうこともなく、程よい按配でまとめているのが、いいですよね。
その分、深いところまで突っ込めていないじゃないか、中途半端ではないのか、という声も、あるいは出てくるのかもしれませんけれども、そういうところまでをやろうとしている作品じゃないですよね、これ。
あくまでエンターテインメント、あくまで娯楽作品に、何気ない日常系のゆるいテイストで。
そしてそこに、ちょっとだけの問題意識を混ぜる。
今回のクールで、一番、望外に良かったのは、あるいはこれかもしれません。

3) 機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ

色々と批判の声もありますが、まぁ、こうなるだろうなと思われたところに落ち着いたエンディングだったと思います。
鉄火団が成功するという姿はちょっとあり得なかったので、最後が破滅というのは順当な成り行きではありましたが、それでもハッピーエンドを求めた視聴者も多かったのかな……?
細部をつつきだすと、そこに至るまでの経緯も含め、色々な突っ込みどころが多い物語だったのは確かですけれど、おおむね、収まるところに収まった最終話だったと言えるのではないでしょうか。
ずば抜けた傑作だとはちょっと言えませんけど、悪くない作品でした。

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DAZN の限界

 2017-04-04
イタリアでのレースやフランドルでのクラシック、そしてスペインでの一部レースなどの自転車クラシックの放映権をスポーツ動画ネット配信の DAZN が取得して、その為に J-SPORTS ではそれ等が放送されない、ということになった2017年。
以前のエントリにも書いたように、日本語の解説が無いとか、色々な不満が無いわけではありませんけれど、それでも、レースを観られないよりはずっといいので、ある意味ではありがたいことだなと思って、試聴させていただいていたわけですが……

4月2日、北のクラシックのハイライトの1つ、ロンド・ファン・フラーンデレン(ツール・デフランドル)の配信を、DAZN はやってくれませんでした。
DAZN のサーバーも万能ではないのだから、一度に配信できるコンテンツ数に限度があることは、理解できます。
そして、放映権を有するコンテンツが重なった場合には、その中で、試聴数を稼げる人気コンテンツを優先していくであろうことも、商売である以上は、仕方のないことです。
頭では、それは分かっているのですが、それでも、ロンドの放送が無かった、観ることができなかったというのは、かなりショックです。
自転車ロードレースのファンの数が、Jリーグやプロ野球に勝てなかった、というのが全てであって、それ以外の何物でもないわけであり、DAZN を恨んだりするのは筋違いではあるのですが、自分のところで配信できないだろうと分かっているのであれば、J-Sports にサブライセンスを与えてくれていれば、確実に、生中継で放送していただろうにと思えば、やはり、残念であり、悔しくもあり、という感情が渦巻いてしまうのは止められません。

ちなみに、今年のロンドを制したのは、クイックステップ・フロアーズ所属のベルギーチャンピオン、フィリップ・ジルベール。
自身の選手生命もかける覚悟で、年俸ダウンも構わず、BMCレーシング から自ら志願してのクイックステップ移籍だという話もあったベテランが、何と55キロの距離を独走しての、ロンド初制覇を成し遂げたとのこと。
感極まってロードバイクを頭上に持ち上げながらゴールラインを切ったという記事もありましたし、うーん、このレースはやはり中継で観たかったなぁ……

後追い配信でもいいから、DAZN、流してくれないかな。
ジロ・デ・イタリアをどうするのかという問題はありますが、ロンドの配信が無かったことで、解約の方向にかなり気持ちが傾いている現状ですけれど、それがあれば、話は別、になりそうなんですが。


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「となりの革命農家」

 2017-04-01
それが作家としての1つのテーマになっているのかどうかは、分からないのですが……
以前に紹介した 『限界集落株式会社』 とその続編である 『脱・限界集落株式会社』 同様、現代日本の農村(及び農業)の置かれている状況と、その抱える問題の解決策の模索を題材にしているのが、黒野伸一の 『となりの革命農家』 を、今週は紹介します。

今回のネタは、従来よりある農薬を使う慣行農法から有機農法への転換と、異業種からの農業法人参入のあるべき姿とは、というところでしょうか。
その為、Y県大沼市を舞台にした物語は大きく2つの視点、2人のキャラクターを中心に進んでいきます。
まず、農家の家に生まれてお決まりのように一度は東京に出たもののそこでの生活に馴染まずに帰郷、今は道の駅で販売員をしている小原和也。
彼は自分で作った野菜を直売場で売ってくれないかと持ち込みをしてきた少女と出会い、その彼女と共に有機農法に取り組むことになります。
続いて、大沼氏に進出した農業生産法人アグリコ・ジャパン部長の上田理保子。
親会社である東日本フーズでは大学を卒業して就職をしてからわずか3年で役付きになるなど異例の出世をしていた彼女は、自分の上司である常務と専務との社内の権力抗争に巻き込まれる形でアグリコ・ジャパンに出向することになったのですが、赤字続きのここを黒字化して実績を築き、晴れて本社に呼び戻された暁には、自分を追い出した元専務の社長に辞表を叩きつけてやろうということを、その野望としています。
やがて大沼市に、Y県の主導で農業用水路の整備と農道の拡張を行おうという公共事業の話が持ち上がって……というのが、物語の流れです。

水路整備と農道拡張ですから、通常でしたらむしろ農業の効率化や生産量の増加に繋がる話です。
もちろん用地買収などで問題が全く無いとは言わないものの、一般的に、全体としてはその地域にとってはむしろ良い効果が見込まれることだと言えるでしょう。
しかし、それでは物語が盛り上がらない。
ですので、当然この公共事業の裏側には表沙汰にできない本当の目的だったり、利権や汚職だったりといったものが絡み合って来て、そこが本作のヤマ場になります。
その辺の詳しいことは(バレバレな気もしますが)ネタバレ防止の為にここでは書かないでおきますけれど、ベタながらも、いい感じの物語で、適度な恋愛要素も盛り込まれていてエンタメ小説として押さえるべきところは押さえており、面白く読ませてもらいました。

ただ、難が無いわけでは、ありません。
ネタとして浮かんだものを一つの物語に上手く組み上げたとは思いますし、農業法人による大規模農業との比較として個人農家による有機農法を持ってくるのは分かるのですが、作品中で、それぞれがそれぞれに別の物語を描いていて(乖離しているとまでは言わないものの)今一つ合流しない感があるのは、残念です。
そこら辺がもっと上手く消化できていれば、更にいい作品になったのにな、と思いました。



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