「波の手紙が響くとき」

 2017-03-18
以前紹介した 『筐底のエルピス』 が非常に面白かったので、これは作者の別作品も読んでみなければなるまいと買ってみた オキシタケヒコの 『波の手紙が響くとき』 が、今回紹介する、読了本。

オーディオルームの設計やメンテナンスを主要業務とする武佐音響研究所に持ち込まれる様々な依頼を、天使の声帯を持つ所長の佐敷裕一郎、口の悪い音響技術者の武藤富士伸、雑用係の鍋島カリンという3人の所員が音響的な知識や技術を駆使して解決して行く物語で、短編・中編合わせて全部で4つの章からなっています。
この内、第1章はSFというよりもミステリーという印象の強い話で、なんでこれが「ハヤカワSFシリーズ Jコレクション」というレーベルから出ているのかと首をひねったりもしたのですけれども、その後、物語を読み進めて行くにつれ、なる程、これは確かにSFであるな、と納得させられました。
登場してくるキャラクターが多少ステレオタイプに見えるのがちょっと気になるところですし、今一つキャラ立てできていないところもあるのですが、概して、いい感じの関係が描かれていたと思います。

私は少々度をこした音楽好きでコレクターですが、それだけに、音楽が(更に言えば「音」が)人に及ぼす影響というものは常々実感しています。
自分でも、テンションを上げる為にはこういう音楽、落ち着いた気分で疲れを抜きたいならこういう音楽、というような、いわばお約束になっている、定番のミュージシャンや楽曲もあります。
ですので、本作の後半の展開は、フィクションはフィクションとして、あながち無茶苦茶な展開でも無いな、という、リアリティーを感じさせるようなものだと私は受け止めました。
そういうところが、SF的であり、本作の面白かったところです。

音楽が人の感情に働きかけるモノが大であるならば、「いずくんぞ〇〇に対してをや」ということですよね。



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