「犬と魔法のファンタジー」

 2017-02-11

作者自身が曰く、「色物好きにおすすめ」であり、かつ「変化球的」ではない「直球な色物になってい」るという作品。
それが、今回の「本館」更新に先がけて紹介する読了本に選んだ、田中ロミオの『犬と魔法のファンタジー』です。

田中ロミオというのは、もともとクセモノであるとしか言えないような作品を書くタイプの人でしたが、これはまた、クセモノな作品を書いてきました。
「いかに夢も希望もないファンタジー作品にするか、ということに心を砕きました」と後書きに書いていますけれど、それでできあがったのが、この、就職氷河期の就活をファンタジー世界に落とし込んだ作品というわけですね。
確かに、夢も希望もありません。

どうせならば最後まで夢も希望も無いままに突っ走っても良かったようにも思いましたが……
そんな憂鬱な作品はさすがに誰も求めていないでしょうし、田中ロミオとしてもそこまでやるつもりは無かったのでしょう。

なお、作品タイトルの『犬と魔法のファンタジー』ですが、これは嘘だとまでは言えないものの、明らかに本作の実際の内容とかなりかけ離れています。
もちろん、それが狙いなのでしょうけれど。
私も大学卒業時の就職活動ではかなり苦労した口なので、(状況は色々と違うところもありますけれど)作中の主人公の苦労や苦悩は良く分かります。
人によってはこれを読むことで精神的にダメージを受けることもあるかもしれない、そんな意欲(?)作です。

……それにしても、よくこの企画を通して実際に発売したなぁ。
こういうのをしれっとラインナプに加えてくるとは、さすがガガガ文庫、普通じゃない。

 犬と魔法のファンタジー
 (ガガガ文庫)

 (2015/7/17)
 田中 ロミオ
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