「虐殺器官」

 2017-02-06
2009年の3月に34歳の若さで肺ガンにより亡くなったSF作家、伊藤計劃。
その著作をノイタミナで劇場アニメ化する、Project-Itoh は、本来の第2弾として計画されていた 『屍者の帝国』 と、第3弾として計画されていた 『ハーモニー』 は2015年の年末に公開されたものの、第1弾だった 『虐殺器官』 は、当初の制作スタジオの倒産などの影響もあって、新スタジオを設立しての制作の継続こそは発表されていたけれども公開時期だけは決まらないままになっていました。

しかし、その 『虐殺器官』 が、2月3日に満を持して公開開始。
伊藤計劃の作品はもともと好きですし、まさしく待望の、と形容していい映画ですので、これを観ないという選択肢は、存在しません。
早速、チケットの予約をして映画館まで行ってきました。

端的に言えば、渋い作品に仕上がっていたな、という感じです。
それは、物語が、というだけではなく、キャラクターも、演出も、そして登場してくる様々なもののデザインも含めて。
もともとの原作が、そんなに派手なものではなかっただろう、という意識もありますし、村瀬修功が監督をするのだから、必然的にそういうものになってくるに違いない、という予想もしていました。
なので、映画のテイストについては、まぁそうなるだろうね、という感じで、意外なことはありませんでした。
戦闘シーンの派手さとか、そういう画的な見どころもありつつも、基本は会話劇、それも、かなり情報が詰め込まれた密度の高いものなので、読み直しのきかない映像だと厳しいところがあるのと、どうしても地味目になりがちなのは、エンターテインメントとしてはマイナス要素ですけれど、『虐殺器官』を映像化するとなれば、その辺は致し方の無いことでしょう。
色気のあるキャラクター、ストイックな軍事描写等、村瀬修功が本作を担当することになった経緯は分かりませんが、その決定をした人は、実にいい判断をしたと思います。

こういう原作モノの映像化の場合には、原作との相違点、改変ポイントというのが問題になるわけですが、この 『虐殺器官』 においても、原作と違っている部分というのは、存在します。
それも、結構大きな要素がバッサリとカットされていたりしるので、そこについては、原作読者の賛否を呼びそう。
個人的には、その結果として、主人公のクラヴィスと彼が追い詰めようとしたジョン・ポールとの間に、ある種の同類性というか、両者が表裏一体の関係性を持っているかのような印象が出てきているので、これはこれで、アリな改変だと思っています。

本作はかなりストイックにアニメ化された作品ですので、セリフを含む映像から与えられた情報を自分で咀嚼しないと、話の流れが分かりにくいところがあるかもしれません。
多少のバイオレンスな描写もあるので、そういう意味では、単純で爽快な物語を観たいと思う人には、向かない作品と言えます。
それを踏まえて、本作を観に劇場に行くか行かないか、後は、好みの問題ですね。
個人的にはかなり気に入った映画ですので、是非、多くの皆さんに観てもらいたいところですが。


公式サイトは こちら から



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