「沈黙 -サイレンス-」

 2017-01-29
遠藤周作の代表作の1つを、『タクシードライバー』等のマーティン・スコセッシ監督が、原作と出会ってから28年の構想期間を経て映画化した、『沈黙 -サイレンス-』。
以前に観た予告編で興味を覚えていたので、公開から1週間の先週末に劇場に行ってきました。

私は未読なのですけれど、『沈黙』といえば、そもそも原作自体が非常に有名で、その内容も広く知られている作品です。
ですが、それでも、ここで細かい内容を書いてしまうのはいかにも興醒めというものでしょう。
なので、ここでは基本的にそこには触れずに置jこうと思います。
それでも、私同様に原作未読の人もいらっしゃるでしょうから、ここで簡単に触りだけを書いておくとしたならば、江戸時代初期、幕府によるキリシタン弾圧が激しく行われていた長崎で、自分たちの師匠であり、日本で捕えられて棄教したとされる宣教師を追って密入国した2人の宣教師の物語になります。

神とは、信仰とは、罪とは、強さと弱さ、そして、許しとは。
私はクリスマスにケーキを食べ、寺で厄除け祈祷をし、新年や受験前には神社でお祈りをするというような典型的な日本人で、特定の宗教を信じたりはしていない人間なわけですけれども……
それでも、色々と考えさせられずにおれない映画でした。
宗教的な話題はデリケートなことではありますが、この作品で描かれている題材やテーマは、キリスト教に限らないある種の普遍性もあるのではないでしょうか

主演のアンドリュー・ガーフィールドを始め、役者陣の演技も非常に素晴らしくて、個人的にはイッセー尾形と浅野忠信の2人が、とりわけ強い印象を残したと感じました。
また、本作には思わぬ人が結構出演していて、エンドクレジットに PANTA の文字を見つけた時には、かなり驚かされたのですけれども、PANTA、どこに出ていたかな……?
また、主に台湾で撮影したという映像も美しく、極力音楽の主張を排した抑制された演出も作品に合っていて良かったと思います。

2時間40分の上映時間が長く感じない、それだけの力を持った力作です。
宗教題材なので、誰しもが観るべきだとまでは言えませんが、この映画のことを知ってちょっとでも興味を抱いた人であれば、是非、映画館に足を運んで大スクリーンで観るべきです。
それも、できれば、音響のいい映画館で。

ちなみに、720円という昨今では良心的な価格のパンフレットはテキスト主体の堅実な内容で、久しぶりに映画を観た直後に、欲しい、と思って購入してしまいました。


公式サイトは こちら から



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「深紅の碑文」

 2017-01-28
発売当日に買ったはいいものの、重い内容であることが容易に想像されてなかなか読まずにいる内に、気が付けば文庫落ちされたからも約1年が経過してしまったのが、今回、「本館」に先がけて紹介する読了本として選んだ、上田早夕里 の『深紅の碑文』上下巻。

地球全土に大氷河期をもたらすと予想される、地球内部の熱循環であるプルームテクトニクスが引き起こす壊滅的な環境変動 <大異変> が早ければ数十年後に現実のものとなることが確実となっている世界。
つまり、滅亡が確定している世界で、それでもわずかなりの希望の為に少しでも最善の道を辿ろうともがく人々を描く作品です。
世界と人類の終焉が来ることが確定しているのが大前提ですので、どうしても暗く重苦しい内容であり語り口になるのは、致し方のないことでしょう。

前作『華龍の宮』では、それでも、<大異変>後の世界に人がいかにして生き残るか、という部分にも多少は焦点が合っていたような印象があるのですが……
本作は、避けえないカタストロフィーに対し、その日をいかにして迎えるべきか、陸上民と海上民、そしてそれぞれの中でも様々に対立する人々の争いをどうやって終わらせるのか。
そういう、ネゴシエーション的なところがクローズアップされた物語になっています。

<大異変> が発生した結果として人類がどうなってしまうのかというのは、実は既に前作のエピローグで描かれています。
そう思えば、本作における主人公達の頑張りが、いざ世界を破滅的災害が襲った時に実を結ぶかどうかというのは分かってしまっているのですが……。

この物語のキモになるのは、奇跡的な解決策や技術革新ということではなく、99%以上の確率で負け戦になると分かっていて、それでもなお抗い続ける人の姿を描くことにある、わけですね。
そこに物語的な意味でのカタルシスは無いのですが、じわじわと心に迫ってくるもののある作品だと感じました。
完成度だったり読み終えた後の充実感だったりといった要素でいえば『華龍の宮』の方が上かもしれないのですが、しかし、これは想像以上にいい作品だったと思います。
実は、読み始める前には続編を書いたことが蛇足になりはしないかという心配もしていたのですが、それも幸い、杞憂に終わってくれましたし。

 深紅の碑文(下)
 (2016/2/24)
 上田 早夕里
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東京>パリ&北京

 2017-01-26
冬の朝はとかく寒くてたまりませんけれども、その一方で空気中に塵が少なくて澄んでいるので、例えば冠雪した富士山の姿が下の写真のように非常にくっきりと見えて、それが嬉しかったりしますよね。
何だかんだ言って、富士山というものに一定の思い入れを抱いてしまうのは、日本人の性でしょうか。
だから、電車の窓でも、街を歩いている時でも、そこに富士山が見えると、気持ちがついついワクワクとしてしまうのを止められません。



そういえば、小学校の頃に丹沢の大山山頂から見た東京都内は、空に一本黒い帯が街を覆うように走っていました。
それはもう、あれは大気汚染が作りだしたものだと、一目ではっきりと目で分かるくらい。
それがいつからか、そんな黒い帯の下だったはずの東京からも、これだけクリアーに富士山の姿が見えるようになったのは、つまり東京の大気が、あの頃に比べると遥かに綺麗になったということです。
原因として考えられるのは、工場や焼却炉の排ガス規制もそうですし、ディーゼル車への規制も大きく働いた結果でしょう。

新銀行東京しかり、築地市場の豊洲移転しかり。
個人的にはあまりいい印象の無い石原都政でしたが、ディーゼル車の規制はそんな政策の中でも、群を抜いて素晴らしい施策だったと思っています。
もしかしたら、唯一のプラス政策かもしれない、というくらいに。

そうして東京の大気が浄化されていく一方で、石炭による暖房や自動車の増加等々により、中国の北京辺りはとんでもないことになっていきましたよね。
PM2.5 の飛散量は、一向に減る気配を見せません。
近代化、工業化の過程で公害が出るというのは、かつて日本も辿ってきた道です。
成長、発展を目指すのであれば、どうしてもそういう過程を経ずには済ませられないのだとしても、これはさすがに酷いなあと感じていたら……

なんと、最近は、近代化や工業化はかなり昔にひと段落ついているはずの、フランスの首都パリにおいても、大気汚染が非常に深刻なことになっているのだとか。
自動車のほとんどがディーゼル車であることとか、旧式の暖炉の仕様や工場の煙などが原因だ、という記事をネットで読みましたけれども、ユーラシア大陸の東と西のどちらともで、似たようなことを原因に似たようなことになってしまっているというのも、何だかなあ。
それが人というものだ、と済ませてしまうのは簡単ですけれども、それではちょっと救いが無さすぎです。
フォルクスワーゲン社がクリーンディーゼル車の排ガス不正を行っていたということが、こういうところにも負の影響を及ぼしているのではないか、と思ったのですが、実際、無関係ではないでしょうね。

10年以上前に私がパリに旅行した時には大気汚染なんて感じは無かったのにと思うと、少々切なくもなってきてしまいます。
在りし日の姿というわけではありませんが、最後に、その際に撮影した2004年秋のパリの空の青さの分かる写真を貼っておきます。
どうせならば、パリの大気汚染を伝えるニュースにしばしば出てくるエッフェル塔が被写体のものにしたかったのですが、青空をバックにした、ちょうど良さげなものがありませんでした。
そこで次点として、モンマルトルの丘にそびえるサクレ・クール大聖堂を写したものを選んでいます。

北京は一度も行ったことが無いのであれですが、私の中のパリのイメージは今もこの青空です。



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2017年冬クール 新番組 雑感

 2017-01-22
番組改編期のお約束として、新たに放送が始まった新番組の感想を書くことにしていますので、かなり遅くなってしまいましたが、今回もそれに倣って、1月開始の番組の簡単な雑感を書いてみたいと思います。
といっても、今期は、ここで感想を書こうと思えたタイトルがあまり無かったのですが。

なお、これもいつものように、掲載順は私がその番組を観た順番であり、そして内容は、あくまで第1話を観た段階での感想だということも、お断りしておきます。
中には既に2話が放送されているものもありますが、それは反映されていないもの、ということですね。

1) 青の退魔師 京都不浄王篇

以前のTVシリーズの放送は……2011年ですか。
翌2012年末の劇場版公開というのもありましたが、そこからでも約4年のスパンが開いての第2期放送というのは、探してみれば他にも似た事例はあるかもしれませんけれど、昨今のアニメ界ではなかなか無いことのようにも思えます。
それはつまり、それだけこのタイトルに人気があった、ということですね。
ちゃんと確認はしていないのですが、第1話を視聴した感じ、キャストも変更は無いよう。
こういうので、第2シーズンになったら声が変わったりすると興ざめですからね。

2014年3月で放送が終わった「宇宙兄弟」も、原作が完結した辺りで、第2シーズン放送開始、となってくれないかな……?

2) リトルウィッチアカデミア

今期、一番待ち望んでいたタイトルです。
Youtube で観たアニメミライ版も、2015年に公開された劇場版も、実に私好みでしたので、このTV版にも大いに期待をしていました。
その期待は裏切られず、第1話からグリグリと動き回っていますし、キャラは魅力的で、話も導入部としては満点。
アニメミライ版の時から、昨今では逆に珍しいくらいに非常にオーソ-ドックスな作りの作品なのですが、そのオーソドックスさをしっかりと保っていてくれたのは、嬉しい限り。
第1話でいきなり、アニメミライ版~劇場版とは違う流れで主人公がシャイニーロッドを入手していましたし、今回のTV版は、過去の2作とは別の時間軸にあるものだと考えるべき、かな。
2クールの放送予定がどのような構成になっているのかは分かりませんが、個人的には、ずっと日常話を続けてくれても構わないくらい、この作品の空気感がすきです。

3) 弱虫ペダル NEW GENERATION

すっかりシリーズが定着した感がありますね。
この第3シーズンからは、3年生が卒業しての新体制、ということですが、第1話の時点では、まだ新入部員云々ということにはなっていません。
ならば、3年の引退がここでのハイライトになるはず、と思ったのですけれど、意外とあっさりと流されてしまいました。
特に、巻島が卒業を前にしてイギリスに行ってしまう、というところが、かなりサラッと済まされたのは、ちょっと消化不良というか、違和感があるというか、それでいいのか、と思ったところ。
第2話以降で、その辺はちょっとフォローがあるのかもしれませんが……

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「アンダーグラウンド・マーケット」

 2017-01-21
以前に読んだ 『オービタル・クラウド』 と 『Gene Mapper -full build-』 が共にかなり面白かったので、これは著者である藤井太洋の他作品も読んで行かなければなるまいということを前から考えていたのですけれども、そろそろそれを実行に移そう読了した 『アンダーグラウンド・マーケット』 が、今週の「本館」更新に先がけた読了本紹介として選んだ1冊。

2020年の東京オリンピックを誘致する活動の中で日本政府がTPPの労働力流動化条項を呑んだことで、日本人と同等の扱いと成功を夢見た移民が流入し、移民人口が1,000万人を超えたという架空の2018年東京が舞台の作品です。
作中、安価な労働力として消費されることを嫌った少なからぬ移民が、持ち前のITスキルを活用して同じ境遇の移民相手のビジネスを起業したのですが、少ない利益の中から「公平な税制」の美辞麗句の元に一律15%に設定されるようになっている法人税や消費税、所得税を納めることが難しいと感じた彼等は、出身国への送金に用いていた仮想通貨を取引の決済手段としても使い始め、その経済活動を日本円を媒体とした「表の経済」からデジタルな「地下経済」へと移行させています。
そんな彼等が使っているのが、中華系やインド系の企業が日本円に連動させる形で提供した「N円」。
このN円はあっという間に移民の間に広まって、本作の物語の時点では移民間の費用の支払い、屋台等での飲食費、生活雑貨や食料品の購入代金なども全て、このN円が使われるようになっています。

主人公は企業に就職して表の経済の一員となることに失敗し、地下経済の中で生きる道を選んだ若きITエンジニア。
中小企業の商売を、仮想通貨であるN円を使った無税取引に改造する仕事を請け負って報酬を得ています。
そんな彼が相棒と共に請け負ったWebサイト改造の仕事で、決済システムを巡る問題が発生して……という展開から、物語はN円を巡っての大きなトラブルへと発展して行きます。

経済小説とか架空世界のSF小説というより、読後はむしろ、若者たちが自分達の才能と情熱を武器にして古い体制と対決して行く青春小説を読んだ、という感が強く残ります。

なお、本作の要となるN円の設定などを見ていると、ビットコインのことを連想せずにはおれませんでした。
2014年2月のマウントゴックス社の経営破綻をきっかけに名前を聞くことも少なくなってきていたビットコインですが、そのまま立ち消えになってしまったかと思いきや、ちょっと気になったのでネット等で調べてみたら、ここのところまた脚光を浴びつつあるようです。

今回の本題では無いので触れずに済ませますが、N円の発想のベースになったであろうビットコインと作中のN円との違い等を比べてみるのも、もしかしたら、ちょっと楽しいかもしれませんね。

 アンダーグラウンド・マーケット
 (朝日文庫)

 (2016/7/7)
 藤井 太洋
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天国と地獄

 2017-01-18
築地市場の移転先として工事が完成した豊洲の新市場、これまでにも、間取りがおかしいとか、構造強度がもたないのではないかとか、盛り土が無いとか、色々なことが発生していますよね。
自民都連にしろ都庁幹部職員にしろ、「豊洲への移転」ということだけが目的であって、それ以外のことは関心がない。
例えば、地下空間に溜まった地下水からベンゼンが検出されようが、マグロの解体が仲卸店でできなかろうが、荷物を積んだターレットトラックの重みで床が痛もうが(場合によっては床が抜けてしまおうが)、彼らにはどうでもいいことなのかもしれませんね。
要は、オリンピック前に築地の土地が空くことと、工事を請け負うゼネコンからのキックバックや下請けに入った業者からの献金等が得られればそれでいい、と。
利権、金権がドロドロで嫌気が差しますが、そうとしか思えないような状況が実際にそこにあるのだから、仕方がないです。

そんな豊洲で、昨年末に採取された試料の検査結果が、このところ大きな話題となっていますよね。
最大で環境基準値の79倍に当たる有害物質のベンゼンと、環境基準的には検出された時点で量を問わずにアウトになるシアンが、結構多くの地点で検出されたという、アレです。
まぁ、これについては、そうなるような気がしていたというのが正直な感想。
それにしても出てきた数値があまりにひどいので、過去のサンプリング調査に改竄は無かったのかという疑問まで噴出してきて、いやぁ、これは、収拾がつかなくなってきましたね。
こうなってしまっては、豊洲への移転は完全に白紙に戻すしか無いのではないでしょうか。
既に作ってしまった新市場の建物をどうするのか、という問題もありますけれども、事は既にそういう段階の話ではなくなっているでしょう。

これをして、小池都知事は「進むも地獄、退くも地獄」なんて表現を使っているメディアがありましたけれども、その論調が、何となく責任を彼女に押し付けようとしているようで、それはちょっと違うだろ、と思ってしまいました。
むしろ追及されるべきは、前任者、前々任者、前々々任者の方で、何故、行くところまで行かなければこの事実が発覚しなかったのか、というところこそが、問われるべきでしょ。
小池嫌いのマスコミが印象操作をしようとしている、のかなぁ?

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THE ALFEE 「COMPLEX BLUE -愛だけ哀しすぎて -」

 2017-01-17
「メリーアン」や「星空のディスタンス」がヒットして THE ALFEE の名前が広く知られるようになったのは、私がまだ小さい頃です。
その当時は、格好いい曲だなぁと漠然と思いはしても、それ止まりで、その先に何かあるというわけではありませんでした。
年齢的なこともあり、LP(今ならCDですが)を買う金銭もなかったですしね。
正直、グループ名についても、安全地帯 と THE ALFEE がちょっとグチャグチャになっていたところすら、あります。
もちろん、今は、全然別物だということは分かっています。

そんな THE ALFEE と私との本格的な接点は、大学時代の友人が、「これ、いいよ」と、彼等のアルバム 『ARCADIA』 を貸してくれたところから始まります。
エスニック & プログレ& ハードロック感がバリバリのサウンドに、こいつは確かにいいな、と思ったのを、覚えています。
その辺りで、私の、彼らを見る目は、はっきりと変わりました。

といって、その後も、既発売のアルバムを揃えに走ったりはしていないので、これ好きだなと思いはしたものの、徹底的にツボにハマったとまでは、言えないのかもしれませんが……

ちなみに、私の持っているもののなかで、という限定つきではありますけれど、THE ALFEE のアルバムの中で、これが1番素晴らしい、と思っているのが、1995年にリリースされた16thアルバム、『夢幻の果てに』。
私がプログレ好きだからなのかもしれませんけれども、激しさと、悲しさと、愛しさとが、プログレッシブロックなテイストでミックスされたこのアルバムは、全体の統一感という点では、私が2番目に好きな前述の 『ARCADIA』 のエスニック・ハードロック一色に染まったサウンドに比べると弱いのですけれども、THE ALFEE のアルバム、という括りであれば、より 「らしい」 作品なのではないかなと思います。

そんな 『夢幻の果てに』 に収録された珠玉のバラードが、「COMPLEX BLUE -愛だけ哀しすぎて-」。
実は、カラオケにおける私の Favourite Song の1つだったりします。
一方で、仕事関係のカラオケで歌ってしまうと、場の空気がアレな感じになってしまう曲の1つでも、あるのですが。



他にもお勧めの収録曲のライブ動画を2つ、貼っておきます。
「冒険者たち」は、1994年から1995年にかけてNHK教育で放送されていたアニメ 『モンタナ・ジョーンズ』 のOPだったので、その関係でご存じの人もいらっしゃるかもしれませんね。
もう1つの 「幻夜祭」 は、彼等のやるプログレがどんなものなのか、これを聴けば分かりやすいかなと思って選んでみました。





 夢幻の果てに
 (2013/7/24)
 THE ALFEE
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また、最後に、「オマケ」というわけではありませんが、『ARCADIA』 収録の 「Masquerade Love」 のライブ動画も貼っておきます。
これで、桜井、坂崎、高見沢のそれぞれのリードボーカル曲と、3人のコーラスワークを堪能できる曲を、それぞれ見ることができますしね。



 ARCADIA
 (2013/7/24)
 THE ALFEE
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「カムパネルラ」

 2017-01-14
今回、「本館」に先がけて紹介する読了本として選んだのは、山田正紀の長編SF作品である『カムパネルラ』。
本屋でその書名を見かけた瞬間に、即座に手に取って購入を決めた一冊です。

このブログをお読みの人の中で、「カムパネルラ」と言われても、それが何を指すのか全く分からない、という人はどれくらいいらっしゃるでしょうか。
私が小さい頃からの宮沢賢治ファンだから、個人的には、改めて言うまでも無いことかもしれないとさえ思うくらいなのですが、「カムパネルラ」とは、賢治の代表作「銀河鉄道の夜」に登場する、主人公ジョバンニの親友にして彼と一緒に幻想四次の銀河鉄道に乗る少年の名前です。

そんな大きな名前をタイトルに冠した本作は、作者が賢治と「銀河鉄道の夜」に題材を得て架空の日本を舞台にした描いたディストピアSF。
前述の通りに、もともと幼少の頃から賢治の作品が好きで、ちくま文庫版の全集も所有している私ですので、大いに面白く読ませてもらいました。

この『カムパネルラ』のキモは、「銀河鉄道の夜」の初期稿と一般に知られている第四稿との間に存在する、内容の大きな変化にあります。
そこに、同じく賢治の死後に発表された「風の又三郎」と、その原型となる作品ではあるものの内容は大きく異なる「風野又三郎」との相違を絡めてきた本作には、なる程、あれをこう料理してくるのか、と唸らされたました。

そう考えると本当の意味できっちりと楽しんで読むには、事前学習的にそれらの作品を読んでおく必要がありそう。
なので、そういうものをいきなり他人に薦めていいものか、更にそれを「本館」だけではなくて、この「別館」の方でもプッシュするということには、躊躇を感じないわけではありません。
ですが、面白いものは面白い、という基本的大前提に則り、そこを敢えて、紹介させていただこう、と。

なお、「銀河鉄道の夜」の第三稿や「風野又三郎」は、世に普通に売っている宮澤賢治作品集的な文庫などには、さすがに収録されていないません。
ですが、ちくま文庫から出ている宮沢賢治全集であれば、今でも簡単に読むことができます。
興味が出たという人は、是非、そちらもお読みください。

 カムパネルラ
 (創元日本SF叢書)

 (2016/10/10)
 山田 正紀
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「傷物語Ⅲ 冷血篇」

 2017-01-12
2017年の最初に観たアニメ映画は、2016年1月に観た 『鉄血篇』、同8月に観た 『熱血篇』 に続く、『傷物語』3部作の完結編。

制作発表から実際に映画が完成するまでに、えらい長い時間のかかった作品ではありましたが、いざ劇場公開が始まってからは、半年ごとのペースですから、まずまず順調だったと言えるのではないでしょうか。
1作辺り1時間程度の作品では、あるのですけれど。

内容的に、1時間×3部作とするよりは、1時間半×2部作、またはいっそ2時間~2時間半書ける1作で終わらせた方が、映画としてもストーリーとしても、もっとずっとすっきりしたのではないかという思いは、今回の 『冷血篇』 でも変わらず。
まぁ、そういう無駄にも思える演出や、長回しのセリフこそが、本作の制作スタジオであるシャフトの持ち味、「らしさ」であり、これまでのシリーズも全てそんな感じだったではないか、と言えばそれまで。
もともと、西尾維新の原作も、一人称での冗長な語り口が特徴ですしね。

『傷物語』 というエピソードのストーリーについては、既に原作をだいぶ前に読んでいるので、今回、とりたてて思うことはありません。
強いて書くならば、ああ、こんな話だったよね、という感じ。
なので私の関心は、どういった作画をしてきて、そこにどういう演出をしてくるのか、というところに行くことになる、のですが……

いやぁ、今回も、前2作を引き継いで、かなりエッジの効いた、切れ味のよい作画と演出が繰り広げられていました。
別の表現をすれば、クセが強い(強すぎる、とも言えます)ということなのですが、いわゆるシャフト的な演出の中でも、際立って攻めている作画と演出で、これは受け付けない、と拒否感を示す人も結構多そう。
監督の作家性だとか、アーティスティックな感じだとか、そう言ってもいいでしょう。
「生」と「死」を扱っているということもあり、スプラスティックなドギツい表現、ショッキングな描写も多いのですが、それは、この物語には、必要にして不可欠なものでしょう。
延々と続く会話やモノローグが多いのは、もともと原作がそういうもの(そこが持ち味にもなっているのですけれど)だから仕方が無いのですし、カット割りその他が工夫されていて、そんなに違和感は無いのですけれども、退屈だという人もいるでしょう。
ただ、後半のアクションの圧倒的な描写は、誰しもがうなるところではないでしょうか。
血みどろ(ただし、結構コミカルな感じに観ることができます)、ですけどね。

物語以外のところで言うなら、今回、改めて凄いな、と気づかされたのは、キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードを演じた坂本真綾の、年齢別の演じ分け。
これには、やっぱろプロって凄いんだな、と、素直に感心させられました。
後は、スタフロールの時に流れていたED、クレモンティーヌの歌う「étoile et toi [édition le blanc]」が絶品。
「熱血篇」 のEDのリアレンジですが、もともと良かった曲が、さらに素晴らしくなっていました。

アニメマニアか、「物語」シリーズという作品のファンにしか、お勧めできないような映画ですけれど、個人的には、結構好きですよ、この3部作。


公式サイトは こちら から



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2016年秋クールアニメ 終了時雑感 その2

 2017-01-09
昨年末に最終回まで放送されたアニメの簡単な感想、その第2弾です。
例によって、計算順には特に意味は無く、ただ単に、私がそれを視聴した順番だというだけのことです。

1) Occultic;Nine -オカルティックナイン-

『STEINS;GATE』 は最高に面白い作品でしたし、なんのかんの言って 『ROBOTICS;NOTES』 も好きだったので、何気に期待して観始めた番組。
放送開始の際の感想には載せていませんでしたが、実は、毎週、結構楽しんで観ていました。
最初はノリにちょっとついていけない部分もありましたけれど、そこはそれ、志倉千代丸 の作品はそれが売りの1つでもあるわけですし、視聴を続けていればグイグイと面白くなるのではないかと思って観続けていたら、実際、後半は怒涛の畳み込みでした。
非常に面白かったです。
ただ残念なのは、1クールに収める為に、ラストがちょっと急ぎ過ぎになってしまった感があること。
これが2クールあれば、その辺がもっと丁寧に描けたはず。
もちろん、全24話とかになった場合、間延びしてダルい話になってしまう恐れも無いわけではないのですけれど、この物語であれば、その心配はいらなかったのではないかなぁ。

2) 響け!ユーフォニアム2

安定の作画、演出で、毎回楽しませてもらいました。
こちらも、原作の第2巻、第3巻を全13話に押し込んできているので、物語が駆け足になるおそれがあったのですが、エピソードの取捨選択を徹底した結果、流れにそういった違和感は無かったかな。
ただ、これはアニメ化してほしかった、というようなものもバッサリと切られているので、完璧に満足できるかと問われると、そこはちょっと、アレなのですけれど。
また、1クールにまとめる為なのか、あるいはその他の理由(例えば、立華高校編もアニメ化しようという思惑があるから、似たような描写になるのを敢えて避けた、とか)があるからか、希美 と みぞれ との、和解後の関係性に改変が加えられたのも、それはどうなんだろうか、と気になってしまったところ。
あれは、みぞれ の片想いだった、というところがミソだったのですけれど……
作中で主人公の久美子と、幼馴染である秀一との関係が中途半端で終わったのは、Blu-ray や DVD の特典エピソードか、劇場版への含みだったりするでしょうか。
前者だとしたら、それは個人的にはあまり好きなやり方ではないのですけど、映像ソフトが売れなければ製作費の回収に難があるのだとすれば、それはそれで致し方ない部分もある、のかな?

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「凶器は壊れた黒の叫び」

 2017-01-07
 2017年で最初に、この「別館」において紹介する読了本は、「階段島シリーズ」の第4作目となる、河野裕の『凶器は壊れた黒の叫び』。

各所で高い評価を得ているシリーズの最新作ということで、どうしたって刊行前から高い期待を寄せられてしまう宿命を背負うのは、これは仕方のないところでしょう。
そのような作品の場合、その期待、課せられてしまったハードルに応えられているのかいないのか、また、陳腐でありふれた展開に堕ち込むことなく、読者に新鮮さを提供し続けていられるかどうか、そこが大きな鍵になってきますよね。
いわゆる、「予想は裏切り、期待は裏切らない」という状態を達成できているか、ということです。

それを踏まえつつ、読んでみた本作。
今回も話はかなり動いていて、これまで描かれてきた人間関係に大きな変化が訪れそうな予兆が描かれました。
不安定で不条理で優しい場所である階段島がこれからどうなるのか、そこで暮らす「自分に捨てられた」人達がどうなってしまうのか、物語は加速度を増しつつあります。
期待値に比して100点満点とまでは行きませんでしたが、まずまず、いい感じの1冊となっていました。

作者のインタビュー等によれば、どうやら「階段島シリーズ」は、その構成的に折り返し地点を過ぎているらしいです。
ここまで話が進んでいて、実はまだまだ序盤だよと言われても困ってしまうので、これは納得。
おそらくですけれども、起承転結で言えば「転」の序盤くらいにはなっていると思われますので、この感じだと全6巻か7巻くらいに、なるのでしょうか。

その上で、ここでちょっと話は変わるのですけれど、実は、個人的に、このシリーズに関しては、面白いし刺激もあるのだけれど、何だか乗り切れない、入りきれない、微妙な「コレじゃナイ」感を覚え続けていたりするのです。
で、それは、実は河野裕という作家が一般に最も評価されているところかもしれない文章スタイルが、私には今一つ合わない(何だかちょっとクドく感じられるのです))からかもしれないということを、本作を読んでいて感じたのですが、まぁ、それは余談。

だからシリーズを読むのを止める、ということは、ここまで読んできて先の展開も気になっている以上は、あり得ないことですしね。

 凶器は壊れた黒の叫び
 (新潮文庫nex)

 (2016/10/28)
 河野 裕
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2016年秋クールアニメ 終了時雑感

 2017-01-03
2017年冬クールも、そろそろ放送が始まろうかというタイミングですね。
この番組改編期はいつものように、12月に最終回を迎えたアニメ番組の、簡単な感想を書いていきたいと思います。
掲載順は、いつものように、私がその番組の録画を観た順番。
必ずしも放送日の順とは一致しないかもしれませんが、そこはそれ、ということで。

1) ブブキ・ブランキ 星の巨人

話の流れのせわしなさと、分かりやすく記号化された結果エキセントリックに過ぎる性格になっているキャラばかりで、かつ、その行動に裏付けとなる描写が無くて、その為に、しばしば突飛なものに思えてしまうというマイナス要素は、第1シーズンと変わらず。
それもあって、話の流れに対してどこか醒めた感じで観てしまった、入り込むことができなかったのは残念です。
この辺りは、もう少し上手くやれたんじゃないかなと思うところで、例えば、分割2クールというボリュームに比して多すぎるキャラクターを絞り込む等すれば、多少スッキリした話にできた、かも。
それでも、最終1話まるまるを使ったエピローグは、いい余韻でした。
「終わり良ければ全て良し」じゃないですけれども、それだけで全てOKに思えてしまう辺り、私も単純です。

2) 終末のイゼッタ

ちょっと綺麗に終わらせ過ぎな感じはしましたが、まずまず、無難にまとめてきたという印象です。
幾らなんでも魔女2人だけで地球上のレイラインに流れるエネルギーを全て枯渇させるのは無理が無いかとか、一度枯渇したエネルギーが二度と復活しないという根拠は無いだろうとか、なんでゲールだけオーバーテクノロジーな科学技術を保有しているのか、とか、突っ込みどころは多々あるけれども、まぁ、それは良しとしておきましょう。
ストーリーが、あんまりご都合主義的かつ急ぎ足になったのは、1クール12話というボリュームはいかにも短くて、それが作品の質を落としてしまったというのは、実際、否めない事実ではないでしょうか。
悪くない作品だっただけに、本当は、2クールくらいでじっくり描いてほしかったな……

3) 舟を編む

原作にあった私の好きなシーンが削られてしまったりもしていましたが、上手く全11話でまとめた、良い作品でした。
地味極まりないアニメになったので製作費の回収が無事にできているのか、結構不安になりもするけれど、いかにもノイタミナらしいと言えば、実にノイタミナらしい番組だったのではないでしょうか。
ただ、作中で流れた時間の経過が、今一つ伝わりにくい感じだったのは、マイナス要素。
個人的な意見かも知れませんけれど、キャラクターデザイン上、もっとはっきりと加齢の様を出していてもよかったのではないかと、そんな風に思うのです。
小説のアニメ化として非常に良くできた作品だけに、そこがちょっと残念でした。

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あけまして、おめでとうございます

 2017-01-01
あけましておめでとうございます。

新しい1年が、また、始まりました。

趣味に走ってばかりのロクでもないブログではありますすけれど、これからも適度に継続して行くつもりなので、今後ともよろしくお願いできましたら、嬉しいです。
新年を祝うという意味を込めまして、今年の1回目のエントリには、富士山の写真を使ってみました。
「本館」の、2012年12月の Top 写真に使ったものと同じ撮影場所、東名自動車道の由比PAから昨年12月に撮影したものです。

やっぱり、富士山は、いいですよね!




さて、この由比ですが、台風などが東海地方に襲来するごとに、道路や鉄道が海が荒れていることを理由として通行止めとなる地点として名が上がるので、何だか聞いたことがある地名だと思う人も多いのではないでしょうか。
実際に訪れてみるとそれも無理は無いなと思わされるのは、東名自動車道も国道1号線も、本当に、駿河湾の真横を通るようなことになっているから。
試しにちょっと Google MAP あたりで調べていただけば、これは、そうなってしまうのも当然だとわかっていただけるでしょう。

そんな由比は、桜エビの漁港としても有名ですよね。
なんと国内での水揚げ量は100%が駿河湾であるという桜エビですが、これは漁業の営業許可を静岡県だけが認めている為。
その許可を有する船も、由比・蒲原・大井川地区という3地区を合計して全部で120隻しかないのだそうです。
加えて、漁期は年2回のみで、春漁が3月中旬~6月初旬、秋漁が10月下旬~12月下旬となっており、それ以外は保護を目的とした休漁期間となっているとか。
つまり、(私もそういう意識で見てきていませんでしたが)ちょっとばかり希少なものだと言えるのかもしれませんね、桜エビって。

昨年のことで恐縮ですが、2016年の12月に、ちょっと清水に出かける用事がありました(上の富士山の写真はその日に撮ったものです)。
で、その際、せっかくだからと帰路は清水からすぐに高速に乗ることはせずに、国道1号線を走って由比の町も合わせて訪れ、旬も終わり間近の桜エビを食してきました。

何も下調べなどをしないで行ったのですけれど、とりあえずJR由比駅前にあるタクシーの案内所で聞いたところ、かき揚げならば漁港の店が一番だということ。
なので早速、漁協が由比漁港の一角に開いている食堂へ。



で、ここで食べたのが、「由比丼セット」です。
釜揚げの桜エビとシラスが乗った由比丼に、桜エビのかき揚げと桜エビの味噌汁という内容で、シンプルな料理ですけれども、これが滅法美味しい。
漁師たちがやっている店だからということ故か、丼の飯の量も多いですし、かき揚げも大きくて、すっかり満腹にならせてもらいました。
これで1,000円というのは、安いですね。
さすがに由比は我がアパートからちょっと距離がありますので、そんなに頻繁に行ける場所では無いのですけれども、是非また訪れて食べたいと思わせる味でした。



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