「BLAME!」

 2017-05-24
全面的にCGを導入したアニメ作品については、その日本における導入期の違和感の印象が強くて、何となくの苦手意識がありました。
しかし、ここ数年の技術の進歩により、アクションにしても顔の表情や動きにしても、あまり違和感を感じさせないようなものが作られるようにもなってきていますし(それでも、まだ、違和感バリバリの作品はあるのですが……その辺りは、予算の関係もあるのでしょうね)、アレルギー的な拒否感は、かなり薄れてきています。
それでも、実のところ、当初は観に行こうという気がほとんど湧いてこなかった作品が、あります。

それが、弐瓶勉のマンガを劇場作品として仕上げた、『BLAME!』。
SF作品ですし、かなり渋めに、硬派に作られているようですから、好みか好みでないかで言えば、間違いなく私の大好物。
なので、普通であれば間違いなく、確実に、映画館に足を運ぶところなのですけれど、そこで前述のCG作画に対する抵抗感というものが、出てくるわけです。
TVシリーズとして製作された作品をその放送時に、基本、電気代以外はタダである状態で観るのと、出費を伴って映画館まで行く、というのとでは、やはり、事情は違いますからね。

そんな私を、強烈に後押しし、こいつはやはり映画館に行かなければいけないか、と思わせた要素は、大きく2つあります。

1つ目が、早川書房が出した、『BLAME!』のアンソロジー本の存在。
ここには、私がその著作を追いかけている 小川一水 が手掛けた作品が収録されていて、それを読みたい、読もうというのであれば、やはり、原作に対する知識は無ければだめだろうと考えたから。

2つ目が、劇場版のノベライズを、これもまた、私が著作を追いかけている作家である 冲方丁 が手掛けているということ。
ならば、冲方版のノベライズを読んで、それからアンソロジーを読めばそれでOKなのではないか、という考えもあるのですけれども、ノベライズを楽しむ前提に、映画を観ておくことは、必須条件とまではいかないまでも、結構大事なことではないか、と思えたのです。

と、こういうわけで、私は劇場アニメ 『BLAME!』 を観に行くことに決めた次第なのですけれども、この流れで行くのであれば本来ならば、その前に原作マンガを読むべきです。
ただ、それなりのボリュームのある作品ですし、実のところ個人的な事情により、今すぐにそれを読む時間は確保できなさそうであること、そうこうしている内に、映画の公開が始まってしまいそうなことから、ここは敢えて先に映画を観てしまうことに。
せっかくならば音響のいいところで鑑賞したかったので、立川のシネマシティに行ってきました。

増殖する都市、そしてそこから排除される住民、という世界設定は、ついこの間読んでこの「別館」でも紹介したばかりの柞刈湯葉『横浜駅SF』を思い出させますが、時系列的には 『BLAME!』 の方が先に発表されています。
実際、柞刈湯葉自身が『横浜駅SF』について、同作は 『BLAME!』 へのオマージュ、パロディーの色合いが濃い作品であると言及しているので、両者に類似性があって当たり前、と言えますね。
徹底したハードさを描いていた『BLAME!』と、どこかユーモラスだった『横浜駅SF』とでは、受ける印象はかなり違いますけれど。

さて、そんな 『BLAME!』 をジャンル分けするならば、「ディストピアSF」ということになるでしょう。
人類の黄昏、ネット接続機械文明の弱点、などなど、語ろうと思えばかなりのネタを用意できる作品でもありますが、公開が始まったばかりでネタバレは避けたいですし、その辺りの論評は、それを得意としている人に席を譲ります。
1つ言えるのは、全体的にテンションが張り詰めている、シビアな物語の作品であったということ。
逆に、そうやって始終、ギリギリの緊迫感があるが故に、物語の進行がちょっと単調になってしまったところがあるように感じられるのが、いかにももったいないということ。
緩急がつけ切れていない感じ、と書けば、お分かりいただけるでしょうか。
まぁ、気を抜くシーンの入れどころもそんなにありませんでしたし、むしろ構成的にはかなり濃密に詰め込んだ感がありますから、結果、こういう風にしかできない、ということなのかもしれません。
100分程の映画であれば、それでも勢いで突っ走れてしまいますしね。

そういう、ちょっと気になるところはありつつも、これは、かなりの傑作映画だと感じています。
特に、私のようなSF好きには、徹底してツボでありましょう。
上映終了後、即座に原作マンガも読むことを決めましたし、何ならサントラCDも買ってしまおうかというくらいに、気に入りました。

昨年は 『君の名は。』『聲の形』 、そして 『この世界の片隅に』 を始め、アニメ映画がなかなかの豊作でしたけれども、今年もそれに負けず劣らずいい年になるのではないか。
そんなことを、強く感じさせられました。

お勧めの、作品です。



公式サイトはこちらから
タグ :

2017年 春クール 新番組 雑感 その2

 2017-04-23
このクールに放送が始まった新番組の、その第1話を観ての簡単な感想、その第2弾を書こうと思います。
すっかり感想を書くのが遅くなってしまった、その理由については、第1弾で書いたとおり。
実のところ、既に第2話を観ている番組も多いのですが、あくまでここに掲載するのは、第1話を観た時点での感想ということで(まぁ、自分でもどうでもいい拘りだとは思いますが)ご了承ください。

1) Re:CREATORS

出だしは、いい感じですね。
ネタとしては、そこまでの新しさは感じない導入ではありましたが、ここから先の展開次第でどうなるのかは、第1話時点では、まだ何とも言えません。
単純なバトルもの的なことになってしまう可能性もありますが、それが悪い、とまでは言いませんけれども、それだと個人的には、少し肩透かしな感じになってしまうかもしれませんが……

2) ID-0

ちょっと地味な感じの始まりを見せた作品で、基本設定も渋めのSFです。
ただ、登場するキャラクターの配置とか、その性格設定は結構ベタな感じでもあるから、エンターテインメント性、画面やストーリーに華があるかどうか、というところは、心配しなくてもいいのかもしれません。
そういう華が無い徹頭徹尾地味な作品も、それはそれで好きですが、TVアニメとして、それはちょっとマズいでしょうしね。
その辺りのバランスをどうとるのか。
あくまでSF的なところでの渋さを無くさずに物語を信仰してほしいものですが、さて、どうなりますか。

3) 有頂天家族2

待ってました、の第2部。
3部作の中間の部分ということで、問題は原作の第3部がまだ、着手もされていないというところですけれども、まぁ、それはそれ。
第1話の冒頭からして、第1シーズンの空気感をそのまま引き継いだテイストなのには、何だか「有難い」ような気分になってしまったりもして、ああ、有頂天家族が返ってきたなぁと、しみじみとなったりもしました。
二代目のキャラデザインや声も、原作を読んで抱いていたイメージとほとんどズレはありませんでしたし、制作サイドの、原作への愛が感じられるアニメ化です、相変わらず。

タグ :

「夜は短し歩けよ乙女」

 2017-04-18
モリミーこと森見登美彦先生の傑作がアニメ映画になった、『夜は短し歩けよ乙女』 を観てきました。

原作の1年を1夜の物語ということに変えてきたことで、さすがにちょっとこれが1晩で起きているというのは無理があるんじゃないか、というところが多々出てきてしまっていましたが、その代わりに、凝縮されてハイスピードで動く物語が生み出す酩酊感が心地よい作品になっていたと思います。

湯浅作品らしいアクの強さ、独特のノリが本作にも強く出ているので、好き嫌いはかなり激しく分かれそうですが……
下の予告編の映像を観てもらえれば、その、湯浅作品のクセは分かると思いますから、その上で、本作をスクリーンで鑑賞する為に劇場に足を運ぶかどうかを判断する、というのが、いいのではないでしょうか。
一度ハマると、ズブズブと深みにはまってしまうような、そんな魅力がありますよね。

作品に付いては、とにもかくにも、ヒロインである黒髪の乙女の魅力が大爆発している、ということに尽きます。
シンプルな線で、しばしば大きくディフォルメしながら描かれる彼女の姿は、非常に生き生きと、はつらつとしていて、なる程、これならば先輩が好きでたまらなくなってしまうのも、分かろうというもの。
李白さんはもっと怪しくてもよかったかもしれませんが、しかし、概ね満足のいく映画化だったと思います。



公式サイトは こちら から

タグ :

2017年 春クール 新番組 雑感 その1

 2017-04-16
春は新生活の始まりの季節であると同時に、新番組が始まる季節でもあります。
そこで、例によってこのクールで始まる新番組の内、私が第1話をチェックしたものから幾つかをピックアップし、その簡単な感想などを書いてみたいと思います。
とはいえ、ちょっと仕事その他が立て込んでいたので、撮り貯めしておいたものをちょこちょこと消化するようにしていたのもあって、感想を書くのが遅くなってしまっているのですけれど……
タイミング的に今こういうエントリっていうのはどうなのよ、と自分でも思わないでもありませんが、まぁ、それはそれ、ということで。

1) サクラダリセット

ストーリーに関してあちこちでなかなかの評判を目にしている作品のアニメ化ということで、ちょっと期待をして観てみました。
本作の原作本は未読ですけれども、同じ作者の別作品である「階段島シリーズ」の方は、これまでに出ている全巻を読んでいますしね。
で、まぁ、そんな感じで第1話を観てみたわけなのですけれども……うーん、微妙。
セリフ主体になってしまうのが悪い、とまでは言いませんけれど、ちょっと、モノローグにしても会話にしても、これは視聴するのにキツい、かなぁ。
原作ならば活字だから、こういう会話や、設定その他もしっかりと頭に染み込ませつつ読めるのでしょうけれども、映像作品としては、このテンポで、このノリは、ちょっと、肌に合わないかも。
第2話は一応、観てみるつもりで録画していますが、その後は、どうなるかな?

2) サクラクエスト

P.A.Works の「お仕事モノ」オリジナルアニメの新作、という触れ込みですが、出だしだけだと、まだ何とも言い難いものがありますね。
とりあえず、主人公の動機付けについては、第1話で明確にできているとは思いますが、門田丑松の、人の話を一切聞かないキャラ付けは、正直、あまり好きではありません。
ああいった、頑固で頭の固まった老人は、現実を見ると、そんなに珍しいものではありませんけれどね。
この辺は、今後の展開で、彼の愛嬌のあるところとか憎めないところが出てくれば、またイメージも変わるでしょうが……。

3) 月がきれい

「釣りキチ三平」風に言うのであれば、尻の穴がむずがゆくなるタイプの、ピュアでまぶしくなる初々しいボーイ・ミーツ・ガールな物語ですね。
こんな恋愛があってたまるか、と、自分の学生時代を振り返って思ってしまうのは、私の周辺がたまたまそうだっただけであって、実際には世間にはこういう出会いが、「ありふれている」とまでは言わずとも、それなりに一定数は存在しているのかもしれません。
20代の頃であれば鼻で笑って視聴継続せずにスルーしていたであろうこの手の物語に、妙に心惹かれるものを感じてしまうのは、それも私が年齢を重ねてしまっていることからくる変化の1つなのでしょう。
ただし、過去の自分を思い出してノスタルジーに浸っているわけではないのは、前述の通りなのですが。
とことんピュアに、こそばゆい物語を、真正面から徹底的に描いてほしい、そんな作品です。

タグ :

2017年冬クール 終了アニメ雑感

 2017-04-08
番組の改編期にはいつも、全話の放送が終了したアニメのざっくりとした感想を書くことにしています。
そんな何か特別なことを書くわけでも無く、通り一遍のことしかなかったりしますけれども、ともあれ、今回もその流れのままに、いくつかの番組を採り上げてみます。

1) 三月のライオン

とりあえず、第2シーズン制作決定、おめでとうございます。
この作品が2クールでアニメ化されるということを初めて聞いた時に、どこで話を切るのかと色々と予想が出ていたわけですが、まずまず、いいところで一旦の終わりとできたのではないでしょうか。
最終話の後半に、コミックス10巻発売時に行われた、(羽海野チカが長年のファンなのだという) BUMP OF CHIKEN とのコラボ企画で書下ろされたエピソード 「ファイター」 を持ってきたというのも、制作サイドの好判断だったと思っています。
将棋を通して主人公の成長を描くこの作品の締めくくりとして、まさにピッタリかな、と。
第2シーズンの話が第1シーズンに輪をかけて重くなるのは原作の内容から確定的ですけれど、色々とホッとさせられるシーンもありますし、この第1シーズンのシャフトの仕事ぶりを観る限り、しっかりしたものを作ってくれるであろうと思われるから、ここは、安心して楽しみに10月からの第2シーズンを待つだけですね。

2) 亜人ちゃんは語りたい

特にどうしても観たいということではなく、完全に「何となく」第1話にチャンネルを合わせた作品です。
どうせよくある萌え作品だろうと想像していたのとはちょっと方向性が違っていて、なかなか面白かったので、そのまま最終話まできっちりと追いかけることとなりました。
人それぞれの個性、差別(or いじめ)、理解、そういったものをやんわりと扱っているわけですけれども、むやみにシリアスになることなく、それでいて焦点がぼけてしまうこともなく、程よい按配でまとめているのが、いいですよね。
その分、深いところまで突っ込めていないじゃないか、中途半端ではないのか、という声も、あるいは出てくるのかもしれませんけれども、そういうところまでをやろうとしている作品じゃないですよね、これ。
あくまでエンターテインメント、あくまで娯楽作品に、何気ない日常系のゆるいテイストで。
そしてそこに、ちょっとだけの問題意識を混ぜる。
今回のクールで、一番、望外に良かったのは、あるいはこれかもしれません。

3) 機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ

色々と批判の声もありますが、まぁ、こうなるだろうなと思われたところに落ち着いたエンディングだったと思います。
鉄火団が成功するという姿はちょっとあり得なかったので、最後が破滅というのは順当な成り行きではありましたが、それでもハッピーエンドを求めた視聴者も多かったのかな……?
細部をつつきだすと、そこに至るまでの経緯も含め、色々な突っ込みどころが多い物語だったのは確かですけれど、おおむね、収まるところに収まった最終話だったと言えるのではないでしょうか。
ずば抜けた傑作だとはちょっと言えませんけど、悪くない作品でした。

タグ :
≪ トップページへこのページの先頭へ  ≫ 次ページへ ≫