AIによる融資審査

 2018-05-23
先月にその名前から「東京」が取れてなくなった三菱UFJ銀行が、人工知能(AI)を使った中小企業向けの融資を2019年度にも始めようとしていることを、ちょと前にニュースで見ました。

AIを使い、預金口座の入出金データから中小企業の返済能力を判断することで、実際に対面しての審査などを行わなくても有効な判断ができるということらしいです。
要は、様々なデータ、取引金額だったり、入金状況や支払状況、公共料金の引き落とし状況などのデータを指標として数値化して、定量的に返済能力、資金的な余裕を判断するということですよね。

ニュースによれば、この技術を活用することで、これまでは融資を受けることがなかなか困難だった創業間もない企業向けにも資金供給ができるような新しい融資モデルを確立することができる、というように三菱UFJは見込んでいる模様。
もちろん、融資部門の人件費もカットできることも、このAI融資を実施しようという動機にあるでしょう。
新たなマーケットを開拓すると同時に、経営合理化にもなるというわけですね。
AIによる定量分析がどこまで、創業間もない企業などが潜在的に持っているかもしれないリスクを低減するのに役立つか、まぁ、数をこなせばこなすだけ、実例という名のデータがさらに累積されていくわけで、審査の精度は上がっていくのかもしれません。

と、こうして見ると、何かすごく新しいことをやろうとしているように聞こえてくるニュースではあるけれど、実際は、分析のための細かいデータを自動で収集して、内部で累積されているデータベースにそれを当てはめていくことで企業の信用力を格付けするという作業を AI にやらせるということにすぎず、抜本的にはそこまで目新しくもないとも思えます。
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「スプラッシュ!」

 2015-09-17
「本館」更新前の読了本紹介、今回は、競艇・ボートレースの世界を舞台にした青春小説である美奈川護の『スプラッシュ!』を選びました。

ボートレースが題材の青春エンターテインメントといえば、TVアニメにもなった河合克敏の『モンキーターン』(小学館 小学館マンガ文庫 全18巻)が既にありますよね。
実際、あれっはいい作品でしたし、その面白さは燦然と輝いています
なので、それに対して美奈川護がどのようなアプローチからボートレースを描くのか、それを確かめてやろうというのが、本作を読むにあたっての私のスタンスでした。

その答えがどのようなものだったかをここで書いてしまうと、さすがにネタバレで興醒めでしょう。
ただ、こういう切り口できたか、となかなか楽しませてもらった面白い作品だったということは、言っておきます。

ところで、本作の主人公の苗字の「渡来」というのは、もしや『モンキーターン』と『週刊少年サンデー』での連載時期が重なる ゆうきまさみ の『じゃじゃ馬グルーミン★UP!』から採っていたりするのでしょうか……
あちらは「わたらい」は「わたらい」でも、漢字が「渡会」ですけれど。

とりあえず、本作を呼んで一番記憶に強く刻まれたのが、「持ちペラ制」って終わっていたんだ、ということだった辺り、『モンキーターン』の影を払拭するまでには至らなかった、のかな?

 スプラッシュ!
 (2014/11/21)
 美奈川 護
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「ファイア・サイン 女性消防士・高柳蘭の奮闘」

 2014-12-30
昨年9月に「本館」で紹介した作品の続編である、「ファイア・サイン 女性消防士・高柳蘭の奮闘」。
いわゆる「お仕事モノ」「特殊業界モノ」の小説になります。
その業界を扱っているのかは、本の題名や下の書影から一目瞭然でしょう。
マンガやアニメ、ドラマ、小説などなど、媒体はどうであれ、消防という題材は、このジャンルではさほど珍しくありません。
となれば、そこで何を描くのか、何を語るのかというのが、重要になってくるわけです。

ちなみに、本作がどういう感じなのかと、簡単にストーリーの概要を書くと……
同僚の殉職というショッキングな出来事を受け、消防士として現場に出ることを自分が選んだ理由、というものに思いをはせる、という、主人公の成長譚として、定番中の定番の展開となっています。

ただし、そういうものとして本作を振り返ってみると、やはり第1作同様、主人公の周辺のキャラクターの描写が不足気味であることが気になります。
また、ただ良くあるパターンに嵌め込んだだけ、と思えてしまうような展開があるのも、ちょっと……
その辺を修正した上でのシリーズ第3作というのも読んでみたいような気はするのですけれど、これはもしかしてディザスターものだったかな、というくらいに横浜という街にとってかなり大きな事件が本作ラストで起きているので、ここまでのものをやっておいて、さて、次はどうするのかということを考えれば、続編を書くのはそこまで簡単なことでは無いかも。

例えば主人公の同期との間に恋愛的なものを持ち込んでみるとか、人間関係の部分でのネタであれば、まだまだ幾らでも出てきそうでは、ありますが。

ファイア・サイン
女性消防士・高柳蘭の奮闘
(宝島社文庫)

(2014/09/04)
佐藤 青南
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「マツリカ・マジョルカ」

 2014-11-15
まもなく文庫版も発売されるというのに、以前買ったまま積読放置状態になっていたなと、やや慌てて読むことになった相沢沙呼の『マツリカ・マジョルカ』が、今回の読了本先行紹介。

学校生活に馴染めずに、友達もいないまま何となく日々を過ごしている高校1年の男子生徒が、本作の主人公。
彼が、とあるきっかけで学校近くの廃墟に住んでいる女子高生(?)と知り合いになることで、色々なことが変わりだす、というアウトラインの日常系ミステリーです。

言うまでもなく、こういう作品ではキャラクター、特にヒロイン役の設定が命になるところ。
メインヒロインであるこの女子高生は、クールと書けば聞こえはいいですが、要するにかなり高飛車な性格の持ち主で、主人公は彼女にパシリ役としていいように使われることになります。
また、サブヒロインとして登場する同級生は、かなりサバサバした性格の持ち主ということで、ここに対比関係があるわけです。
それを上手くいかせているか、というところに若干疑問はあるものの、ツカミはOK、というところでしょう。
多少、どこかで観たような感じな設定なところが、気にならないでもありませんけれど。

KADOKAWAという出版社の傾向を反映してか、同じように女子高生が探偵役で男子生徒がワトソン役という『午前零時のサンドリヨン』(東京創元社 創元推理文庫)のシリーズと比べるとずっとラノベ寄りな、現実味の薄い設定だと言えるでしょう。
それがこちらの作品の魅力ではありますけれども、どちらの方が好きか、と問われると、『午前零時~』の方、かなぁ。
まぁ、こちらはこちらで、面白かったんですけれども。

マツリカ・マジョルカマツリカ・マジョルカ
(2012/03/01)
相沢 沙呼
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これもアリっちゃあアリ、ですね。

 2010-04-21
普段は時間的な制約などもあって連ドラはほとんど見ない私が、珍しく毎週の放送を楽しみにしているのが、今年の大河「龍馬伝」。

福山雅治の坂本龍馬も、放送前の危惧が払拭される熱演ぶりを見せていますし、田中泯の吉田東洋、大森南朋の武智半平太、佐藤健の岡田以蔵、近藤正臣の山内容堂、広末涼子の平井加尾、渡辺いっけいの千葉重吉、貫地谷しほりの千葉佐那、そして先週から登場した夏八木勲の松平春嶽など、まさにこれしかない、というようなベストキャスティングの目白押し。
それぞれの役者も役に入れ込んで演じていることが画面を通して伝わってくる、かなり濃くて熱いドラマとなっていますよね。
美術、演出もそれに応える出来栄えで、ここまでのところ、作品としての完成度は非常に高いと感じています。
だからこそ、私も毎週欠かさず見てしまっているわけですが。

そんな「龍馬伝」ですが、予告の映像を見た瞬間に「これは、無いなぁ」と拒否感に似た思いを感じたのが、実は、勝海舟役の武田鉄也。
別に役者としての武田鉄也を嫌いなわけではありませんが、彼の演技のクセと勝海舟という役との組合せに、どうにもしっくり来なかったのです。
その違和感にも似た感触は、江戸城の合議での初登場シーンを見ても拭えませんでした。
いえ、むしろ強まってしまったくらいだったかもしれません。

しかし、先にも書いた松平春嶽の出てきた第16話「勝麟太郎」での、龍馬とのやりとりで、今はちょっと、その評価を変えなければならないかと考え出しています。
墨田区本所の生まれの江戸っ子である勝らしい、べらんめえな役作りは、なるほど、こういうのであれば武田鉄也はアリだな、と思わせるものでした。
これからますます登場場面も増える重要人物ですから、そのキャスティングが失敗だったら目も当てられないと思っていたので、ちょっとほっとしています。

あとは、あの人物とかあの人物を、誰が演じるか……特に、高杉晋作のキャストがどうなるかは、大いに興味を感じるところです。
まさか、ここまでああいう話の流れを作っておいて、高杉晋作と奇兵隊が出ない、なんてことはないですよね?
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