やはり、フルーム

 2017-07-25
今年のツール・ド・フランスは、以前にもここで書いたように、ステージ優勝や山岳賞、ポイント賞、そして総合と、それぞれの勝負で主役もしくは準主役になるだろうと期待された選手が、次々とリタイアしていくという、例年以上に厳しい展開を見せた3週間となりました。

その理由は単純では無くて、落車だったり体調不良だったり、選手により、シチュエーションにより異なっているのですが……
それにしても、ここまでメインどころがいなくなっていくツールというのは、私の記憶にはありません。
まぁ、元々、ここに全てを賭けてくるようなシチュエーションがあって、他のグラン・ツールと比べても落車なども多いのが、ツール・ド・フランスの特徴の1つではあるのですけれど。

個人的に「彼には是非、頑張ってほしいな」というように思っていた選手も多く途中のステージでレースを去ってしまって、そういう意味では、毎ステージをTV観戦していても今一つ入り込めない大会だったかもしれません。
こんなことを書いてしまうのは、一生懸命走っていた選手には、申し訳ないのですけれど。

そんなツールも先週の日曜日に今年の全日程を終え、例年通りにパリのシャンゼリゼ通りのゴールを迎えました。
「終わり良ければ全て良し」ではありませんけれども、色々とあったレースだったとしても、こうしてその一切が終わった段階でスタートからこれまでを振り返ってみると、これはこれで面白い大会ではあったなと思えるものですね。
もちろん、私の贔屓選手が大活躍できていれば、もっと面白かったかもしれないというようなことが頭をよよぎらない言えば、嘘になります。
けれども、過ぎたことが今からどうなるわけでもないですし、そこは考えても仕方がないことですよね。
「もしも」の話には固執しないで、無事に3週間を走り抜けた選手、その中で何らかの成果を手にできた選手のことを、讃えるべきでしょう。

では各賞の結果を、簡単に。

今年の総合優勝を勝ち取ったのは本命中の本命、チームスカイのクリストファー・フルームでした。
正直、可愛げのないくらいの強さです。
でも、歴代の偉大な勝利者を振り替えてみるに、チャンピオンというのはこういうものですよね。
勝つべくして勝つ、というのは、言うほど簡単なことでは無い、というのは、誰しも分かることですし。
フルームの走りのスタイルはそこまで好きでは無いのですけれども、人間的にはなかなかの好人物ですし、この勝利は、やはり素晴らしいものであります。

スプリンターが手にするポイント賞はチーム・サンウェブのマイケル・マシューズで、山岳賞は同チームのワレン・バルギル。
複数の特別賞ジャージを同時獲得というのは、チームとしては(本当に色々なことがあったツールとはいえ)大成功だと言っていいでしょう。

そして最後、新人賞はオリカ・スコットのサイモン・イェーツが獲得しています。
彼は昨年の新人賞だったアダム・イェーツの双子の兄弟。これはちょっと面白い話ですよね。こうして双子が2年連続で新人賞を獲得というのは、100年を超える長いツールの歴史の中でも、さすがにこれが初めてのことになるらしいです。


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「血と霧2 無名の英雄」

 2017-07-22
多崎礼が、以前から一度書きたいと思っていたという、ハードボイルドな作品。
満を持してそこにチャレンジした作品の後編にあたるのが、今回、「本館」に先がけた読了本紹介に選んだ、『血と霧2 無名の英雄』です。

端的に言って、非常に面白く、優秀なエンターテインメントでもある作品でした。
が、ここでその内容について何か書いてしまうと、この作品をこれから読もうという人にとって興醒め極まりないことになってしまいそうなので今回は避けておきます。

一言でコメントするならば、これは、最後までハードボイルドであったと同時に、深く一途な愛の物語であったと言えるでしょう。
この、決してハッピーエンドとは言えない終わり方をどう受け止めるかは、読者それぞれによるところではありますが、私としては大いに満足のいく内容だったと言えます。
それに、ハードボイルドに攻めるのであれば、むしろ当然こうなるべきだとも思うのです。
なるべくしてなる、というか、このテーマでこういう展開であれば、これしかない、という感じ。

全6話で構成されている物語は、もっと丁寧かつ細かく描いて行こうと思えば、それはそれでできたのでしょう。
けれども、むしろ、必要なことのみを絞って描いてこのボリュームに抑えたことで、ハードボイルド的なストイックさが増したようにも思えます。
それは、本作の場合にはむしろプラスに働くことですよね。

ちなみに、そんな本作は読者にもかなりウケが良かったようで、(元々の部数がそれほど多くなかったということもあるかもしれませんけれど)結構順調に重版もされたようです。
ずっと作品を追いかけている好きな作家だけに、新たな出版社、新たなレーベルでの仕事で、新たな読者も開拓できていればなと思うのですが、さて、どうなっていますでしょうか。
重版こそがその証である、ということなら、何より嬉しいですけれど。

ともあれ、早川書房的にもこのセールスは満足の行くものであったというのは、おそらく間違いないでしょう。
となれば、全3部作として構想されているという本作の第2部、第3部の刊行も大いに期待されるところになります。
まぁ、一度に一作品にしか手を付けれないという多崎礼が、今は別の作品を書いている途中ですので、第2部が出るとしても、そちらが終わってからになるのは、ほぼ確実ですが。

その場合、 それまで早川書房と読者が待っていてくれるか、例えば1年後、2年後に第2部が出ることになったとして、それでも読者がついてきてくれるのか、どれがちょっと心配にもなりますけれど、ここは、なるようになる、と思うしかありませんね。





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2017年 夏クール 放送開始 雑感 その2

 2017-07-20
この7月、つまり、2017年夏クールに放送が始まったアニメ新番組の簡単な感想、今回は、その第2弾になります。
これで、今期の新作については、私が視聴してみたものは一通り感想を書いたことになる、かなぁ。

1) セントールの悩み

原作は、萌え路線の日常系作品と見せかけて、実は背景にかなりシリアスでポリティカルなネタを隠している所が特徴なわけですが、さて、このアニメでそちらの方向は、どこまでやるつもりなのでしょう。
ひたすら萌えを追及するというのでも、それはそれでアニメ化としてはアリなように感じられますけれど、『セントールの悩み』 といえば、形態差別とか、種族差別、種族間紛争といった要素あってこそ、とも思うので、そこはやはり、このアニメでもある程度しっかりと描いておいてほしいんですよね。
そういう、ダークなところがあるのが、魅力なわけですし。

2) プリンセス・プリンシパル

『セントールの悩み』とは逆に、思っていたよりハードだったのが、こちらの作品。
最初に新番組情報でキャラデザインとストーリーのアウトラインを観た時には、これは、あまり私の好きな方向には行ってくれないかもしれないな、とも思ったのですけれども、蓋をあけてみたら、いやいや、これは、いいですね。
この作品の場合は、どこまでハードに行けるか、どこまでシビアに行けるか、が勝負どころになりそうな気します。
出だしの掴みは、ものすごくいい感じでした。

3) ボールルームへようこそ

原作の雰囲気を、比較的再現できていた、かな……?
多々良 は、もっと情けない声のイメージでしたけれども、まあ、でも、今回のこのアニメくらいの感じが、ちょうどいいのかもしれません。
原作のどの辺までのアニメ化がされるのか、それは調べていないのですけれど、ちーちゃん は、出てくる、んですよね……?
彼女の存在も、この作品にとっては大きいと思いますし。

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2017年 夏クール 放送開始 雑感

 2017-07-18
今年も夏クールの新番組が放送を開始していますので、その簡単な感想を、いつものように書いてみます。
掲載順は、例によって視聴順であり、そこに特に含みはありません。

1) 異世界食堂

異世界モノの中の、よくあるパターンの作品のアニメ化。
どの作品が元祖なのかとか、そういうのは調べていないのですけれども、結局のところ、そこにあまりこだわっても仕方が無くて、その作品が単体で面白ければ、それでいいのではないかという考えも成り立ちますね……
で、この 「異世界食堂」 なのですけれども、とりあえず、雰囲気がそれなりに作れていたのではないでしょうか。
雰囲気だけで、そこにプラスアルファがあるわけではない、というのが第1話、第2話の感想なので、これだけだとちょっと厳しいかな、という感じなのですが、そこが今後どうなるのか、が勝負でしょうか。

2) メイドインアビス

雰囲気という点では、こちらは満点。
こちらの問題、というか不安点は、このクオリティーをきちんと最後まで保っていられるかどうか、というところ。
それと、原作が連載継続中ですから、物語が最後まで描かれない、ということが確定的なのが、個人的には、もったいなぁと思っています。
個人的には、このスタッフ、そのクオリティーで、『ハクメイとミコチ』辺りもアニメ化してもらいたいな、なんてことも思ってしまいました。
結構、先が楽しみな作品だと考えています。

3) 将国のアルタイル

うーん。期待していたようには、ピンと来ない第1話でした。
神聖ローマ帝国とかオスマントルコとか、その辺りがモデルになっているのだろうなということで、王朝の興亡ネタが好きな私としては、大河ドラマ的なものが観られるのではないか、というように思っていたのですが、少なくとも出だしでは、そんな風では無かった、かなぁ。
舞台設定とか、キャラ配置とか、大きなドラマになりそうな要素は揃っているのだけれど、今一つ、とっかかり部分に魅力が足りないと言えば、分かりやすいでしょうか。
もうちょっと視聴は続けますが、その辺り、盛り返せるかどうか……。

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「メアリと魔女の花」

 2017-07-16
基本、ジブリの新作を映画館に観に行く、ということからはすっかり遠ざかっていた私ですが、先週末に公開が始まった 『メアリと魔女の花』 については、久しぶりに、劇場のスクリーンで観てみようかなと思いました。

いや、同作が、色々な意味でジブリ作品では無い、ということは、知っています。
スタジオポノック第1作、という表現を使う方が妥当だということは、言うまでも無いことでしょう。
そこには、宮崎駿も、高畠勲も、いないのですから。

しかし、ポノックは、そしてこの 『メアリと魔女の花』 は、誰がどう見たってジブリの系譜がそのまま繋がっている作品であり、その意味では、ジブリの新作と言ってしまっても過言では無い……かどうかは分かりませんが、このスタジオ、この監督、このスタッフ、そしてこの作品を語る時に、ジブリのことを抜きにはできないでしょう。
で、ジブリ系統の作品で、かつ、別作品ででかけた映画館で予告編を観た限りでは、実は、この作品にはあまり触手が動いていませんでした。
どうせ、いつもジブリテイストだろうし、1年もすればTV放送されるだろうから、その時でも別にいいんじゃないか、とか、いっそ、TV放送もどうでもいいかなぁ、というくらいに、関心が薄かったんですよね。
そんな私が、それでも重い腰を上げた理由は簡単かつ単純。
ジブリの制作部門が閉鎖されて、その後の道を模索する中で、ならば自分たちで新たなスタジオを立ち上げて新作を作ってやろうじゃないか、という気概を応援してあげたいな、と感じたからに、他なりません。
やっぱり、チャレンジャーの背中は、少しでも後押ししたくなるじゃないですか(突き落としたくなる、というわけでは無いですよ、もちろん)。

そんな感じで、観に行った 『メアリと魔女の花』。

王道の作品、でした。
物語もシナリオも、後期ジブリ作品っぽいなぁ、という印象が強かったのは、まぁ、実質的にジブリの後継者であるポノックの作品なので、当然と言えば当然のこと。
『借りぐらしのアリエッティ』 も 『思い出のマーニー』 も、どちらもあまりちゃんとは観ていないのでアレですが、出てくるキャラクターの瞳が、(かなりの老人のものも含めて) 妙にキラキラしているのに、違和感というか、ちょっとした気持ち悪さみたいなものを感じてしまったのは、もしや、米林監督の絵柄、なのかなぁ……?
一部、演出がオーバーで鼻についたのも、個人的にはマイナス点だと思います。

しかし、全体としては、丁寧にしっかりと作った、正統派なアニメ映画、ということになるでしょうか。
ジブリが好きだった人であれば、観て損はしない、いい作品ではないでしょうか。

もっとも、後期ジブリの、良いところも悪いところも、そのまま受け継いでいるのは、フレッシュさは無いですし、今後もそれで行くつもりなのかどうか、宮崎駿のコピーから脱するつもりがあるのか、無いのか、は、大いに気になるところですが。



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