ビッグネームなのが、災いしているかも

 2017-11-22
和月伸宏の書類送検問題。
何だか色々と騒がれていますけれど、出版社等の対応はこれからどうするかを会議するのでしょうけれど、過剰反応なところも出てきそうで、それはちょっとなんだかなぁと思ってます。

もちろん、彼の行動自体は、ほめられた話ではありません。
たあ、あくまで罪状は「単純所持」だということは、忘れてはいけないのではないか、とも考えてしまうのです。
つまり、誤解を恐れずに敢えて極端な物言いをさせてもらうならば、実際に児童買春をしたとか、児童ポルノを製作・販売したとかではなく、あくまで、そういうコンテンツを保持していただけ。
それでも犯罪は犯罪ですし、児童ポルノそのものは、正直、ロクでもないものだという意識しかありませんが……

人の性癖を強く責められるほど、私も立派な人間ではないしなぁ。
自分の性癖もアレだ、と言いたいわけではなく。

覚せい剤をやったミュージシャンのCDがあっという間に店頭から消える時にも感じるのですが、基本、作者とその創作物とは、別物だと思った方が、いいのでは?
もちろん、作者の性格や考え方、生い立ち、現状、その他諸々が作品には反映されているので、作家論的方向からアプローチして感想を書く、批評を書く、というような場合に限らず、作者と作品は切っても切り離せない関係なのは、確かなことではありますが。

うーむ。


(以下、追記)

……と思っていたら、彼が買っていたのは違法な裏モノDVDで、しかもその本数がシャレにならないくらい多いようですね。
それはちょっと、さすがに引くなぁ。
それでも作品にまで責を求めるというのは間違いだという考えは、基本的には変わりませんが、和月伸宏 本人に対して感じていた多少の同情心は、すっかり薄れてしまった、かな。

タグ :

「卒業のカノン 穂瑞沙羅華の課外活動」

 2017-11-18
デビュー作である 『神様のパズル』 から続いてきた「穂瑞沙羅華シリーズ」の最終巻にあたるのが、機本伸司の 『卒業のカノン 穂瑞沙羅華の課外活動』 。

ヒロインの穂瑞沙羅華がシャーロック・ホームズ、その助手役にして主人公の綿貫基一、愛称「綿さん」がワトソンであるのは言うまでもないわけです。
が、シリーズ完結を記念して機本伸司が後書きにて行った種明かし……というか、ネタバレにて、それに加えて、他にも色々と、ホームズ関係を中心にしたネーミングのお遊びがあることが書かれていました。
その中にはこれまでシリーズを読んでいて既に「これはアレなんだろうな」と分かっていたものがありましたが、その一方で、なる程これもネタだったかと教えられたモノもあります。
そういうことを知っていようと知っていまいと、作品を読むうえでは特に違いは無いのですけれども、まぁ、作品を読む上での彩りというか、オマケ部分がちょっと増える、という効果はありますね。

さて、そういう前置きはさておき、今回の 『卒業のカノン』 です。
今回のエピソードに盛り込まれた科学・物理的なガジェットは、宇宙太陽光発電。
衛星軌道上に太陽光発電衛星を設置し、そこで発電した電力を、レーザー波やマイクロウェーブの形で地上に送信する、という、アレです。

カリフォルニア州沿岸と東京湾の2か所に巨大な受電設備を建設し、宇宙太陽光発電を事業として行おうというアルテミSS社から、沙羅華に対し、彼女を始めとする遺伝子操作された天才児を生み出してきた元凶である、ゼウレト社CEOシーバス・ラモンの警護要請が来る、というのが、ストーリーの出だし。
詳しいことはこれから読む人の楽しみを奪わない為に書きませんけれども、沙羅華と綿さんのいつものやりとりを堪能できる内容で、シリーズをここまで追いかけてきた身としては、意外性は無いものの、望んでいた、期待していたものを読ませてもらったという感じです。

そして、シリーズ最終巻ということですので、ラストには……っと、これもまた、これから読む人のお楽しみですね。

これでシリーズ完結というのはちょっと寂しいですけれども、シリーズの幕引きにはふさわしい内容だったと思います。
面白く読ませてもらいました。


タグ :

PVも良いですねぇ

 2017-11-16
以前にここでもアニメ化について触れた、樫木祐人のマンガ『ハクメイとミコチ』。
放送開始は次のクール、来年1月からということですが、そのPVが先月末から公開されています。

で、これが、音楽も含めて、かなり良いのです。

いやぁ、こうなると1月の放送開始が待ち遠しいというか、実に期待できそうで、連載開始当初から「ちょっといい作品だな」と思っていた私としても、楽しみが更に増したという感じです。
原作付きのアニメ化は、裏切られた感が満載になってしまうことも多いですけれども、本作の場合は、大丈夫そうですね。




TVアニメ「ハクメイとミコチ」公式サイト

タグ :

SUICIDE SPORTS CAR 「Backseat Butterfly」他

 2017-11-15
私と出口雅之との最初の出会いは、知人から彼がメンバーになっているグループのCDを借りたことでした。
結果、GRASS VALLEY でのデビューから今に至るまで、一応、音源としてリリースされているCDは、大抵のものを保有するに至っています。

そんな彼の、GRASS VALLEY での音源も(何しろ才能と実力を併せ持つメンバーが集まったグループでしたから)いいのですが、今回紹介するのは、1998年から2000年代半ばくらいにかけて活動していた、SUICIDE SPORTS CAR の楽曲です。
このグループのコンセプトは、クラブジャズ、ラテン、ロック、ディスコ、スパイサウンドという感じで、スタイリッシュにかつちょっとした猥雑さも漂わせたりしていて、かなり格好良いものとなっています。

出口雅之 の歌い方は、これは悪口だとは受け止めて欲しくないのですけれども、いかにも 「作った」 感が満載の艶っぽさで、特徴的でもありますから、それと知らずに聴いた場合でも、多分、この歌声が流れた瞬間に、「あれ、これは出口雅之じゃないのかな」と気づくことができるでしょう。
そういう個性があるのはボーカリストとしては大正義なわけですけれども、この作り物加減が苦手、という人も多いと思われます。
実際、私の周囲で、彼の音源を聴かせた時に「うーん、この歌い方は好きじゃないなぁ」という拒否感を示した人も、それなりにいますしね。
その反面、ハマる人はハマるのも事実。
例えば STING や DAVID BOWIE のような、自然に滲み出てくる色気ではなくて、意図的に狙って作られたダンディズム。
それが、出口雅之、かなぁ。

その、ちょっとフェイクっぽさすら漂うような出口雅之の持ち味が、一番生きている、一番格好良く出ているのが、SUICEDE SPORTS CAR である。
熱心なファンの方には色々と異論がありそうなことばかり書いてきましたが、私は、常々そのように思っています。

それでは、そんな SUICEDE SPORTS CAR の楽曲をお楽しみください。
なお、動画が見つけられなかったので紹介楽曲の中には含まれていないのですが、SUICIDE SPORTS CAR がノンストップディスコサウンドに挑戦したアルバム 『SPY DISCO』 は大変な名盤なので、それも合わせて紹介します。
問題は、どれもこれも、廃盤になっている、ということでしょうか……












タグ :

「ジハード6 主よ一握りの憐れみを」

 2017-11-11
聖地イェルサレムをすぐそこに望むところまで迫った第3回十字軍を率いる獅子心王リチャードと、その圧倒的な軍事力からイスラムを守ろうとするヴァレリーことアル=アッディーンの最後の対決を描く、定金伸治の『ジハード6 主よ一握りの憐れみを』。

実際には、ここまで物語の中で次々と登場した様々な人物、例えばロビン・ロクスリーであり、ウィルフレッド・アイヴァンホーであり、東の草原から流れてきた「蒼狼」(もちろん、後にモンゴル帝国を築き上げる彼のことです)といった面々が色々と動き回っているので、実際の物語はヴァレリーとリチャードの知と力のぶつかり合い、という感じには、全くなっていません。
正直、サービス精神旺盛に、同時代に活躍した架空の人物や実在の人物をどんどん登場させて、収拾がつかなくなってしまわないだろうかと危惧もしていたのですけれども、まずまず、上手い具合にまとめてきたのかな、という感じです。

とはいえ、さすがに最後になって急に話を動かし過ぎだろうという部分もあって、その辺はもうちょっと無理なくできなかったものかなとも感じました。
前振り的な伏線が全く無かったわけではないし、やり様はあったかと思うのですが……
まぁ、それは物語が完結して、更に15年程が経過している段階で読んでいるからこそ全体を見返してそんな風に考えられるのであって、実際にこの作品を手掛けていた当時の作者や編集者には、そこまでは無理だった、のかもしれませんが。
何しろ、足掛け11年に渡って発表されてきた作品だといいますしね。

ともあれ、物語はこれで、堂々の完結を迎えます。

史実に従えば、第3回十字軍を迎え撃ったアイユーブ朝のスルタン、サラディンが亡くなった後は誰が後継者となるのかを巡ってイスラム世界は10年ほど混乱し、それを治めて次のスルタンとなったのが、サラディンの弟だったアル=アーディルでした。
それをこの『ジハード』の世界に引き寄せて考えるならば、ラストシーンでサラディンの末妹であるヒロインのエルシードと共に東方に旅立ったヴァレリーがシリア/エジプトに戻ってきてスルタン位に就いた、となるでしょうか。
アル=アッディーンがサラディンの「弟」である、というのも、この場合はポイントですよね。
つまり、ヴァレリーとエルシードは……と解釈できるわけです。

なお、アル=アーディルの次にスルタンになったのは、彼の息子であるアル=カーミル。
この辺りも、本作を読んだ身にすれば、色々と妄想の膨らむところです。

そういう余地が残っていて、かつ、あれこれ想像したくなってくるというのは、つまり、それだけ本作が面白かったということに他ならない、と言っていいでしょう。
読んでいて、作者の男女観にちょっと首をかしげたくなるような部分もありましたが、まぁ、それはそれ。


タグ :
≪ トップページへこのページの先頭へ  ≫ 次ページへ ≫