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「スノウ・クラッシュ」

 2022-08-13
FACEBOOK が Meta Platforms に社名を変えたこと等をきっかけとして、「メタヴァース」の言葉を生んだ作品である、ニール・スティーヴンスンの『スノウ・クラッシュ』上下巻が新版となって1月に復刻されました。

内容的なところに興味があったので発売日に購入したのですが、以前に読んだ『七人のイヴ』上下巻の印象があまり良くなかったので、さていつ読もうかと迷っているうちに、半年余りが経過してしまいました。
しかし、いつまでもこのままでもなぁということで、意を決して読み始めることに。

連邦政府が無力化し資本家によるフランチャイズ国家が国土を分割統治する一方、オンライン上に仮想世界「メタヴァース」が築かれた近未来のアメリカ。アヴァター技術を開発した凄腕ハッカーにして、マフィアが経営する高速デリバリーピザの<配達人>ヒロ・プロタゴニストはある日、メタヴァースで出会った男に「スノウ・クラッシュ」なる謎のドラッグを手渡されるが……。本書が未来を書き換え、SFは現実と接続された。


というが、上巻裏表紙にある公式の粗筋。

ストーリーを思いっきり要約すると、これはかなり単純な構造の物語。
そこに様々なSF的アイディアで描かれる未来世界の社会構造や、そこで生きる人々のことが色々と詳述されることで、上下巻、全900ページ以上の作品となっています。

「メタヴァース」という言葉が生まれた作品ということから想像していたのは、もっと電脳寄りのスト-リーだったのですが、実際はそうではなく、言語SFという様相を呈していたのにはちょっと驚かされました。
が、なる程、読むと豊穣なイメージが湧き上がってくる、そういう意味では良い作品です。
ただ、純粋に「物語」として考えた場合には、進行上、余計な寄り道をしていたり、分かりにくい解説が入っていたりすることで、物語をドライブさせるという点で、いかにもリズムが悪いかなと感じてしまいました。

もちろんこれは読者それぞれの好みの問題なので、本作のこのテンポこそが自分にはぴったりだ、という人もいらっしゃるとは思います。
そんなわけで個人的には微妙に合わないなと感じてしまったことは否めないものの、まずまず面白かったですし、発表年を考えれば、相当に優れている作品だと言っていいのではないかと思います。



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Mr.Mister 「KYRIE」 他

 2022-08-10
Mr.Mister というグループに私の周囲で最初に注目したのは、小学校~中学校をともにした友人でした。

その頃の私の認識としては、MTV番組などで PV が多く流れていた「KYRIE」は良い曲だと思うけど、というくらいで、それ以外の彼等の曲を聴こうとか、ましてやアルバムを入手してみようとか、そんなことまでは全然考えていませんでした。
また、大学生になってバイトをし始め、ある程度の資金を手にした時点で、MTV で観ていたミュージシャンのCDを何枚か買ってみることがあり、就職してさらに資金が増えてからは、割と積極的に当時のミュージシャンの音源を集めたりもしていましたが、Mr.Mister については、どういうわけかほとんど興味が向かなかったりもしました。

その認識が変わったのがいつ頃だったか。
正直、細かいことは覚えていないのですが、割と最近、どこかのタイミングで「KYRIE」が聴きたくてたまらなくなったことから、彼等のベスト盤を購入したことが、大きな転換点になったのだと思います。
つまり、そこで、なかなか良い曲が多いじゃないか、と感じたわけです。

というわけで、まずは、そのきっかけとなった大ヒット曲、「KYRIE」の動画を貼りましょう。



私の通常の流れだと、試しに買ってみたベスト盤に気に入る曲が多かった場合、ならばオリジナルアルバムも揃えてみようかと思って大人買いに走るのが常なのですが……
どういうわけなのか、Mr.Mister の場合、自分でもちょっと不思議なのですが、ここで再びブレーキがかかって、ベスト盤も手に入れたことだし、これでもう満足かな、という気分になりました。

その後、折に触れてベスト盤を聴き返しているうちに、段々、これならばアルバムも買ってみるべきかなぁと思うようになっていったのですが、たぶん、そうなるまでに10年くらいがかかっています。
自分で言うのもアレですが、私にしてはレアなケースですね。
最終的にオリジナルアルバムを揃える決断をする決定的な後押しになったのは、彼等が残したオリジナルアルバムが実はそんなに多くなく、ちょうど解散が決まるころにレコーディングされていつつもお蔵入りされていた音源を後からリリースされたものも含めて、わずか4枚であったということが大きかったかもしれません。
つまり、買ってみて失敗したと感じるとしても、(金銭的な)痛手は少ないという判断です。
我ながら、かなり後ろ向きですが、実際にはこの心配は、全くの杞憂でした。

彼等のアルバムはどれも、なかなかのものだったのです。
特に、「KERIE」の収録されている 2nd の『WELCOME TO THE REAL WORLD』 は、実に私のツボでした。
そこから、さらに2曲を紹介します。




バンドの人気的にも、このアルバムの時がピークだった、と言っていいのかな……?
この後にリリースされた 『Go ON...』 や、お蔵入りされた 『PULL』 も私は好きなのですが、結局、バンドはそこから解散へと至ってしまったわけですね。
『WELCOME TO THE REAL WORLD』 以外のアルバムからも、それぞれ1曲ずつ、動画を貼ってみましょう。





悪くない、と思うんですけどねぇ。
まぁ、その辺りのことは、私も上述の通り、リアルタイムで彼等の音楽を聴いていた(応援していた)わけではないので、大きなことは言えません。
とりあえず、今回貼った動画で興味を持たれた人は、私も買ったベスト盤から手を出してみるのがいいのではないでしょうか。
というか、あのベスト、今でも買えるのかな。
選曲が、かなり良いのですが。
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「GのレコンギスタⅤ 死線を越えて」

 2022-08-08
大興奮だった第4部 『激闘に叫ぶ愛』 から2週間。
いよいよ、劇場版 『Gのレコンギスタ』 の最後を飾る第5部、『GのレコンギスタⅤ 死線を越えて』 が公開されました。

正直、最初にGレコを全5部の映画にするという話を聞いた時には、富野監督の思い入れが強すぎて少しとっちらかった感じで終わってしまったTV版を、際編集して5本の映画にしたところで、ある意味でたかが知れているのではないか、等と思っていたのは、否定できません。
自分はたいがい年季の入った富野ファンだから、全てきちんと映画館のスクリーンで干渉しようと決めているけれども、中身についてはそこまで期待できないんだろうな、と。
しかし、それは大きな誤りでした。
ですのでここに、そのように感じてしまっていた過去の自分を恥じるとともに、深くお詫び申し上げます。

『Gレコ』、劇場版になっても、今なお詰め込み過ぎている感のある部分は無くなっていません。
それでも細部の修正や見せ方の変更などで、物語は格段に伝わりやすくなりましたし、全体的にストーリーの流れ方がスムーズになったので、分かりにくい・分からない部分は分かりにくい・分からないままでも、物語の大まかな流れはきちんとつかめますし、目の前で提示される映像がいいので、十分以上に楽しむことができます。
おそらく 『Gレコ』 の物語やテーマは、一旦じっくりと視聴をして、そこから折に触れ思い出しているうちに、じわじわと染み入ってくるタイプのものなのではなかろうかと思います。
だから、まずは「何となく」でも理解できていれば、それでとりあえず問題はないのではないかと。
とはいえ、誰もがはっきりと分かる明確な 「勝利」 や 「終戦」 が描かれない作品なので、そこがモヤモヤするとか、結局何がどうなったのかが理解できない、という人は、まだまだ多く存在することでしょう。
それは、『Gレコ』 という作品の構造的な特色故のことなので、どうしようない、仕方のないこととして割り切るしかないのだろうなと思っています。
万人が支持する、万人に受ける作品は、富野監督の作風ではありませんし。

第5部では、第4部に比べ、おそらくTV放映時の素材そのままで使っているところに作画レベルの不安さも多少見られましたが、『Gレコ』 という作品を締めくくる1本の映画として、個人的には大満足です。
TV版のラストで気になっていたことに、劇場版のラストシーンで保管がされていましたし。

Blu-ray の発売が待ち遠しくなりました。



公式サイトは こちら から
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「大天使はミモザの香り」

 2022-08-06
(本館の「雑記」では採り上げていたものの、こちらのブログでは紹介をしなかった)『翼竜館の宝石商人』を先月に読んだ勢いで、ならばこちらもと思って購入したのが、高野史緒の『大天使はミモザの香り』。

時価2億のヴァイオリンが消えた。二重に警備されたパーティ会場、特殊電子錠つきのケースから、ヴァイオリンの名器《ミモザ》が消失!パトロンのマダム、実直なヴァイオリン職人、ヨーロッパ貴族、才媛の秘書嬢、イケメンコーディネーター……誰にも不可能で、誰もが怪しい。……えっ、私も!?アラフォー地味美人×天才(?)高校生コンビにこのトリックは解けるのか!?


という粗筋の、ミステリー作品です。

私はもともと歴史改変スチームパンクSFから彼女の作品に触れているので、こういう現代モノの、普通のライトミステリーにはそこまで興味を覚えませんでした。
そんなわけで、これまでは積極的に読もうとしてこなかったのですけれども、しかし、こうして実際に読んでみると、これはこれでかなり面白いですね。

ベタであることに徹している部分もあって、そういうところは新奇さとか、高野史緒「ならでは」感は薄いのですけれど、だからといってそれで物語がつまらなくなっているわけではありません。
海外ロマンス小説の翻訳も手掛けている主人公が、いざ自分の身にまるでロマンス小説のようなシチュエーションが降りかかった時にどうするのか、というようなところも、何気に捻りが利いていて良かったです。

本作は、どちらかというとライトな読者をターゲットに書かれたのかなという印象のある作品です。
高野緒のSF作品等で横溢しているマニアックさ、ディープさは、音楽的な蘊蓄でほんの触り程度が存在するくらいであり、そこに物足りなさが無いといえば嘘にはなります。
しかし、これはなかなかの佳作ではないでしょうか。



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2022年のサンセバスティアン

 2022-08-02
ツール・ド・フランスがパリのシャンゼリゼにゴールしてから1週間。
スペインのバスク地方、リゾート地として知られるサンセバスティアンの地で行われるワンデイレース、クラシカ・サンセバスティアンが30日の土曜日に開催されました。

ツールから続けて出走してくるツール組だけでなく、8月のブエルタ・ア・エスパーニャに出ることを予定している選手も調整等の目的で出走してくるこのレース。
非常に美しい風景が堪能できるので、私もかなり好きな大会になります。
今年は、全日本選手権を制した新城幸也がナショナルチャンピオン仕様のバーレーン・ヴィクトリアスのジャージを着て参戦することが注目されましたが、彼はあくまで序盤から終盤の勝負所までの、エースのアシストとしての出走なので、中継放送に姿が映るかは微妙かなと思っていたら、案の定、展開的に彼のアシスト姿は映りませんでした。
ちょっと残念ですが、新城はどうやらブエルタにも出そうな感じなので、中継放送上に日本チャンピオンジャージが映るのは、そちらで楽しめる、でしょう、きっと。

そんなレースは、残り距離が46キロを切ったところで、クイックステップ・アルファヴィニルのエース、レムコ・エヴェネプールが猛然とアタック。
そのままライバルたちを突き放していくと、最後の小周回に入る頃には2位に1分差を、そこからの劇坂区間でさらに差を広げて、遂には少し流し気味のビクトリーランになって逃げ切り優勝を決めます。
ラスト1キロは観客を煽るだけ煽って、さながらパレード状態だったレムコは、それでも2位に1分58秒差の圧勝でした。
うーん、強い。

レムコはブエルタにも、おそらく総合優勝狙いも視野に入れて出場する予定らしいですが、3週間のレースで彼がどこまでやれるかはまだ分かりません。
それも含めて、ブエルタの楽しみが増えました。


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